ナリス化粧品の教育制度 「資格取得」のニーズ掴む 美容分野への関心背景に取得後のサポートも手厚く

▲充実した設備で資格を取得できる(写真は東京研修センター)
「20万円でエステ資格」開講エリアを拡大
 このところ、ダイレクトセリング化粧品企業では、サロンビジネスの核を成す販売員を「美容のプロフェッショナル」と位置づけて、教育にこれまで以上に力を入れるケースが増えている。 ビジネスを始めたばかりの販売員を対象とした集中講座や、将来的にリーダークラスを目指す人のための少人数制のスクールなど、よりビジネスを意識した傾向がみられる。 また、美容関連のスクールや資格取得をアピールポイントに美容分野に関心のある若年女性へ訴求し、次世代を担う優秀な人材の確保を進める取り組みもみられる。 人口減・高齢化社会の進行により、どの企業も将来の担い手の確保が重要性を増している中、特色を活かした施策で訴求する動きが目立つ。
20万円でエステ資格」開講エリアを拡大
 ナリス化粧品(本社・大阪市福島区、村岡弘義社長)が2019年春にスタートさせたエステティシャン養成スクールは、〝働きながらプロを目指す女性〟を対象としたものだ。 同社はセルフエステサロン「デ・アイム」、クイックサービスをメーンに商業施設内で展開する「ビューティサロン」といったさまざまなスタイルのサロンを独自展開しており、 「リーズナブルでリピートしやすい」店舗網によってブランド認知と新規ユーザーとの接点拡大を進めている。
 同社が運営する美容スクール「ナリス ビューティ クリエーション カレッジ プリダージ」では、これまでにもAJESTHE認定エステティシャン、 JMANメイクアップ技術検定・インストラクター検定、JNECネイリスト検定、AEAJアロマテラピー検定、ビューティタッチセラピスト認定といった各資格を取得できる講座を揃え、 美容分野で働きたい女性のニーズに応えてきた。昨年から開講している講座では、第一線で活躍する日本エステティック協会の認定講師が受講生一人ひとりに寄り添った講習を行い、 1年間で同協会認定エステティシャン(AJESTHE認定エステティシャン)の資格取得まで導くというもの。特徴は、年間29回(1カ月に2~3回の通学)、20万円(税別)というコースで、 資格取得後の開業フォローまで含まれているという点(費用には4万2000円相当の開業支援を含む)。昨年は大阪校、東京校(会場はいずれも同社の研修センター)で幅広い年代が受講。 東京校では既に1月から2期目が始まっているほか、この春には大阪校で3期目が、中日本校、福岡校では新たに拠点を増やして1期目がそれぞれ開講予定で、 各地で女性のニーズに対応していく構えだ。
既存事業の付加価値向上
 同社の美容スクールの特徴は、化粧品メーカー直営の強みを活かし、長年培ってきたエステティック技術や販売員教育のノウハウを活かしたカリキュラムにある。「認定エステティシャン講座」には、 幅広い年代からの参加がある。これまでの受講理由としては、①現在フェイシャルエステをやっており、メニューの幅を広げたり、効果の高い施術を提供したい、 ②業界資格を取得してエステティシャンとしてのレベルをアップさせ、お客様満足度を高めていきたいという内容が多い。
 また、「鍼灸師の資格を有しており、エステティックも提供できればよい」「自宅でサロンをオープンする」「現在は別の仕事をしているが、エステティックの技術を身につけて、 将来的にはエステも複業としてやっていきたい」など、自身が手掛ける事業の付加価値向上や、プラスアルファのサービスを提供したいという理由もある。 受講者の多くが現場で直ぐに活かすことのできる技術・ノウハウを求めていることが分かる。
▲資格取得者を対象としたイベントも開催(写真はJMANフェスタ)
メーキャップ資格JMANイベント
 「ナリス ビューティクリエーションカレッジ プリダージ」は、同社の教育事業という位置づけであり、前出のさまざまな資格を取得できる。その1つである「JMAN(ジェイマン)」は、 化粧品業界やヘア・メイク業界で活躍するメイクアップアーティストのネットワークが運営している資格だ。JMAN(Japan Make up Artist Network)は、 「美しい人と社会の創造」をコンセプトに1998年に企業やジャンルの枠を超えて発足した、日本初のメイキャップアーティストの集団。メイクアップは、クリエイティブな面だけでなく、 メンタル面にもさまざまな影響をもつことが分かっており、医療や福祉の面でも注目されている。
 「プリダージ」では、資格取得だけでなく、取得後のスキルアップのサポートにも力を入れており、その一環として、昨年7月にJMAN資格取得者を対象としたメイキャップイベント 「ジェイマン フェスタ2019」を東京ベイ舞浜クラブリゾート(千葉・舞浜)で開催。初開催となった関東エリアに続いて、今年2月には大阪でも開催した。
日々の活動の自信につなげる
 イベントは、JMAN資格取得のメイキャップアーティストを対象に行われ、最新のトレンドを取り入れたファッションショーやメーキャップショーが盛り込まれ、 着こなしやメークアップへの取り入れ方等がアドバイスされた。また、特別講座としてJMAN理事長の小林照子氏による講演「美容技術は人を美しくする魔法」が行われた。 美容業界の〝レジェント〟として知られる小林氏は、現在85歳の現役メークアップアーティスト。 小林氏は、メークアップを「スキンケアの上に成り立つ、女性を生き生きとさせる技術」と定義しており、JMANではメークアップ技術にとどまらず、人に接するマナーや美意識、 さらにはメークアップを使った社会貢献に至るまで幅広い指導を行っていると、同団体の活動の意義を参加者に伝えている。また、メークアップの心構えとして、「自分で美を作っていく」ことが 重要であるとして、「メークアップはその人に自信を与えて社会に堂々と出ていくことをサポートする。その人の本当の魅力を引き出すことができる」として、 自身がこれまで携わってきたさまざまな人々の〝ビフォー・アフター〟に触れ、メイキャップが人に与える影響力の高さを訴えている。
 これらの催しを通して、資格取得者は日々の活動に自信をもち、美容を通して関わる人々をサポートする意欲を高めていくわけだ。単なる資格取得にとどまらず、 取得後の活動も視野に入れたサポートにも積極的に力を入れているのが、同社の教育事業の特徴と言えよう。