メナード 幹細胞がコラーゲン産生をコントロール「エクソーム《が産生高め

  日本メナード化粧品(本社・吊古屋市中区、野々川純一社長)はこのほど、藤田医科大学医学部(応用細胞再生医学講座および皮膚科学講座)との共同研究によって、 肌の幹細胞が真皮におけるコラーゲン産生をコントロールしていることを見出した。
 コラーゲンは、肌のハリ・弾力を保つのに重要役割を果たしている。コラーゲン産生は、真皮にある線維芽細胞が県警しており、線維芽細胞は幹細胞(真皮幹細胞)から 生み出される。コラーゲンがどのように作られているのかについてはこれまでに多くの研究が行われてきたが、ターゲットは線維芽細胞が主だった。 今回の共同研究では、真皮幹細胞に着目した。
 細胞同士はそれぞれ独立して働くだけでなく、情報交換を行って協調的に働いている。研究では、肌の幹細胞も自身が生み出した細胞に対して何らかの影響を与えていると考えた。 その結果、真皮幹細胞が「エクソソーム《という小胞を介して線維芽細胞のコラーゲン産生能力を高めていることを見出した。エクソソームは近年、 細胞間の情報伝達ツールとして注目されている。エクソソームは細胞から分泌される小胞で、細胞内に含まれるタンパク質やmiRNAなどを他の細胞に輸送することで、 細胞間の情報伝達を行っている。分泌されたエクソソームを取り込んだ細胞では、遺伝子発現など細胞の機能に変化が起こることが知られている。 エクソソームには多様な作用が報告されており、さまざまな分野で研究が進められているが、皮膚幹細胞由来のエクソソームの役割はこれまで明らかになっていなかった。
 研究では、培養細胞を用いた実験において、真皮幹細胞が分泌したエクソソームを線維芽細胞に添加したところ、エクソソームを線維芽細胞が取り込む様子が観察された。 また、このエクソソームを取り込んだ線維芽細胞の遺伝子発現を解析した結果、コラーゲン産生に関わる遺伝子(COLL1A1)の発現が増加することが分かった。 これらのことから、真皮幹細胞はエクソソームを介して線維芽細胞を活性化することでコラーゲンの産生を促進し、若々しい肌を保っていると考えられる。
 同社では、肌の幹細胞がエクソソームを介して他の細胞に影響を与えるという報告は少なく、研究の成果をもとに、美容に対する新たなアプローチとして位置づけていく構え。