営業時間の短縮・臨時休業余儀なくDS化粧品サロンの〝コロナ問題〟対応

新規受付の一時停止など施術は中止、物販のみも想定
 新型コロナウイルスの感染が日本国内で広がり始めると同時に、ダイレクトセリング化粧品企業では、各社が展開する拠点やサロンにおいて、感染防止対策を迅速に実施した。 この点は、まず各社に共通するものだ。例えば、ナリス化粧品では、同社が展開する「デ・アイム《および「ビューティサロン《において、 3月13日付で「新型コロナウイルス感染予防について《と題した文書を発信。政府が公表した感染リスクがある人(37.5度以上の熱、該当国・地域への渡航など) に対し、来店の見直し、予約の変更を行うよう依頼している。一方、店舗においては、エステに使用する備品の消毒・交換、スタッフのマスク着用など、 従来以上に感染症予防対策・衛生管理、スタッフの健康管理に留意するとしている。
感染予防措置を徹底自粛要請にも対応
 これらの内容は、多少の差があっても、多くの企業において同様の措置が取られている。その一方で、状況は刻一刻と変化し、 特に都心部では急速に感染者が拡大している。
サロンの営業にも影響が出始めているが、その対応は店舗の営業形態で異なっているようだ。
 まず、企業側が運営する直営店舗では、企業の方針をダイレクトに反映できるため、早い対応が可能だ。 シーボンの「フェイシャリストサロン《は全国で110店舗が営業しているが、一部フランチャイズを除きほとんどが直営体制となっている。 同社では、前出のような感染予防対策を取った上で、感染リスクの高いエリアでは営業時間の短縮や臨時休業を実施。週末の外出自粛要請が出された首都圏では、 東京、神奈川、千葉、埼玉の店舗(店舗)で当該措置を行った。また、同社はさまざまなイベントにブースを出展し、 スキンケアチェックや体験によって新規顧客との接点開拓を積極的に行っているが、これについても感染状況に協賛先の要請に応じて自粛や中止という判断を行っている。
 ナガセビューティケァは、昨年4月にタニタとコラボレーションした店舗「TANIT A×NAGASEイキイキぷらざ《を静岡県湖西市で営業している。 一時期営業を休止していたが、現在は感染予防対策を行った上で再開。同社では、代理店に対して手洗い・咳エチケットの励行、多数の参加者が集まるイベント等の自粛、 接客時のマスク着用、アルコール消毒などを喚起。社員においては、時差出勤やテレワークの推奨などを実施。販売組織や社員に対する措置については、 他社においても同様の状況にある。
地域の状況に合わせた営業体制を構
 次に、直営形式の店舗と、販売員が運営する形式を展開するケース。ナリス化粧品では、セルフエステサロン「デ・アイム《と、クイックエステを中心に 駅チカの商業施設などで展開する「ビューティサロン《を運営している。大別すると、前者は一定条件を満たした販売員が運営するタイプ、後者は直営タイプが多い。こ のうち、デ・アイムは全国に約400店舗あるため、一律の営業変更はないが、地方自治体からの要請以外に、入居するテナントやビルの方針などに従い、 エリアの状況に合わせて臨時休業や時間短縮を実施。また、4月末まで新規予約受付を一時停止している。ビューティサロンでは、池袋店および吊古屋店で5月末まで、 博多店、陣原店、つくば店、和歌山店では4月末まで新規受付を一時停止している。同社はまた、東京、大阪などでエステティックスクールを開講しているが、 4月末まですべてのイベントと研修を中止している(いずれも4月3日時点の方針)。
 このほか、販売員が運営するタイプのサロンが多いポーラ、日本メナード化粧品においても、地域の状況に応じた営業体制を敷いている。
イベントの延期・中止  販売員の士気維持が課題
 ワミレスコスメティクスが展開する「ワミレスサロン《は、基本的に販売員が運営するタイプの店舗。企業側としては、感染予防措置などの通知を行うが、 実際の営業判断はサロンをもつ販売会社が行うことになる。ダイレクトセリング企業が運営するサロンは、このケースが最も多いのではないだろうか。 同社によると、現状では「お客様がいる限りは営業《という姿勢のサロンが多いが、「緊急事態宣言が出された後は(対応が)変わるかもしれない《 (同社。4月3日時点)。無論、サロンにおける衛生管理の徹底、感染予防などの基本事項は各サロンに通知済みだ。多くのサロンでは、顧客へのお手入れだけでなく、 化粧品企業にとって上可欠である化粧品販売も行う。施術は一時休止するが販売は行うといった柔軟な対応も求められる。
 ワミレスでは、選抜メークチーム「ワミレスラスティングビューティー《(WLB)がさまざまなイベントでモデルのメークを担当してきたが、 関連イベントの中止・延期も増えているという。毎年5月に鎌倉・鶴岡八幡宮で開催している着物ショーは、多くの観光客の目に触れる風物詩になっているが、 延期となった。
 オッペン化粧品では、毎年5月に開催している一般公開イベント「ローズウィーク《の実施の可否を検討している最中だ(4月3日時点)。 吹田市や近隣大学などとコラボレーションして回を重ねるごとに知吊度を上げてきたイベントだが、通常開催か、一部開催か、中止か、 関連自治体や団体とも協議しながら決定するとしている。
 現在の状況がさらに長引けば、毎年夏に開催している高校生女子セブンズラグビー大会「オッペンカップ《への影響が懸念される。 同大会は、セブンズラグビーの公式大会(全3回)の1つで、参加者が大会に懸ける熱意も高いという。同社では、選手のことを考えれば開催したいが、 今後の状況次第で判断するしかないとしている。