〝コロナ禍〟下で健闘する新製品 WEB活用で顧客とのつながり確保「緊急事態宣言前《の勢いつなぐ

 〝コロナ禍〟の影響によって、政府による「緊急事態宣言《の対象地域が、7都道府県から全国に拡大された。東京や大阪などの都市圏では感染者が急増、 特定警戒都道府県以外のエリアでも予断を許さない状況にある。ダイレクトセリング化粧品分野では、多くの企業が都心部でのサロン営業を休止する措置を取って いるほか、それ以外の地域でも営業時間の短縮・施術の中止が相次いでいる。スキンケアなどのお手入れを休止する一方、接触機会が施術に比べて少ない化粧品 の販売を継続することで販売組織の士気を維持したり、インターネットを活用して顧客とのつながりを確保する動きもある。
主力ブランドに新アイテム追加
  ナリス化粧品(本社・大阪市福島区、村岡弘義社長)が今年1月にリニューアルを行ったスキンケアブランド「ルクエ《は、 セルフエステサロン「デ・アイム《とともに、新規ユーザーの〝ナリスブランドへの入り口〟という位置づけを担っている主力ブランドだ。
▲「ルクエ《の追加アイテム「ジェルウォッシュ《(ナリス化粧品)
「デ・アイム《では、新規顧客を対象とした特別キャンペーンとして、「28日間スキンケアモニター《(税込3850円~)を展開しており、 「ルクエ《はその中核を担う。顧客は主に週1回のセルフエステ、「ルクエ《でのスキンケア、専任アドバイザーのカウンセリングによって ナリス化粧品の美容理論を実感できる内容となっている。現在、「デ・アイム《は新型コロナウイルスの感染拡大対策として 4月中の新規予約受付を中(4月3日~30日まで)しており、 残念ながらその役割を十分に果たせていない環境にある。しかしながら、リニューアル発売後、1カ月で前年同期比34%増の売上を達成しており、 出だしは好調。5月21日には、追加アイテムとしてジェル状の洗顔液「ルクエ ジェルウォッシュ《を発売し、困難な状況にあるが「ルクエ《の盛り上がりを 維持したい構えだ。
 「ルクエ《は、ダイレクトセリング系の化粧品としては普及価格帯(税別2200円~4000円)で、前述したように、 これまでナリスブランドに触れたことがない新規ユーザーにとっても手に取りやすいラインナップとなっている。リニューアルした新「ルクエ《は、 さらに〟手にとりやすさ〟を高めており、多様化する女性の価値観やライフスタイルに対応した。「黒ニンジンエキス(カロット液汁)《や 「白花豆エキス(ベニバナインゲン種子エキス)《に加え、ストレスによって低下した皮膚バリア機能を改善する働きがある「モーイエキス(アルゲエキス)《 を配合。同社の美容理論の根幹を成すふきとり化粧水「コンク《には、オリジナルのふきとり成分「純化白花豆エキス(ベニバナインゲン種子エキス)《を 新たに配合。追加アイテムの「ジェルウォッシュ《には、共通成分のほか、「お肌ほぐし洗い成分《や「海藻エキスコンプレックス《を配合し、朝の 新しい洗顔アイテムとして訴求していく。
 〝増客〟をミッションとした同ブランドは、〝分かりやすさ〟もポイント。製品紹介では、「ふきとって、つるつる。《(コンク)、「ごくごく、満たす。《 (ローション)、「すー、ぴたっ。もちもち肌に。《(ミルク)、「ぷるぷる、つるん。《(ジェルウォッシュ)などのオノマトペを採用。 短いメッセージで〟実感ポイント〟を感覚的に伝える手法を取り入れた。〝コロナ禍〟で顧客との接触も難しい中、簡潔に特徴を伝えられるこの手法は、 さらに有用と言えそうだ。
選抜チームのブログ活用「ステイホーム《ケア紹介
 今年で創立40周年を迎えるワミレスコスメティックスでは、顧客との大切な〝出逢いの場〟であるワミレスサロンに通えない人を想定して、 自宅で出来るケアをホームページ上で公開している。
▲新アイテムの特徴と使い方をWEB上で紹介(ワミレスコスメティックス)
 同社の「WLBブログ《は、選抜美容チーム「ワミレスラスティングビューティー(WLB)《の活動を綴ったもの。WLBは、 優れた美容スキルや売上など一定条件をクリアした販売員のみがメンバーに入ることが出来るチームで、これまで「着物ショー《をはじめとする 数多くのショー・イベントのバックステージを担ってきた。そのWLBのブログにおいて、外出自粛でサロンにも行けない人を対象に、「ストレス肌荒れ《や、 マスク着用による「メイク崩れ《「マスク肌荒れ《などの自宅ケアを紹介している。いずれも自宅にある化粧品を使って行えるケアとなっている。 現在、WLBが関わってきたイベントなどは〝コロナ禍〟の影響で中止・延期が続いている。また、全国のサロンの中には営業体制の変更や フェイシャルサービスの停止を行う店舗もある。そんな中でも販売員のモチベーションを維持するとともに、顧客とのつながりを保つ工夫をしている。
 同社はまた、リニューアル発売したベースメイクアイテム「フェイス リキッドコントロールA《「フェイス リキッドコントロールA《について、 ユーチューブの公式チャンネルで取り上げ、その特徴と使い方を紹介。顧客と直接会う機会が減る中、オンラインツールなどを使用して現場の活動を 支援している。
今期の注目商品 今後の動向は
 このほか、ポーラでは、3月2日に発売した新商品の日中用クリーム・日焼け止め「BAライトセレクター《を今期の注目商品と位置づけている。 新技術を導入した同商品を、紫外線対策需要が高まるこれからのシーズンに向けて訴求する。
 特徴は、太陽光の中でも、肌に良い影響を与えるとされる「赤色光《に着目した点。太陽光はこれまで肌老化を引き起こす原因とされてきたが、 研究によって赤色光が皮下にも良い影響をもたらすことが分かった。同商品では、紫外線・近赤外線から肌を守り、赤色光に着目した「ライトセレクト理論《と、 肌誕生因子の1つ「バーシカン《に着目した「ジェネシスバイオアクティブ理論《を提唱。オリジナル複合保湿成分「ADDライトエキス《や、 つや感による立体感をサポートする「ゴールデンLP《「BAコアリキッド《、肌の糖化に着目した「YACエキス《「EGクリアエキス《を配合した。 「ライトセレクト理論《は、紫外線と近赤外線から肌を守りつつ、赤色光を取り入れて肌をサポートする。 オリジナル処方の「セレクトプロテクションヴェール《は、紫外線カット粉体と、赤色光透過&近赤外線カット粉体で構成されており、 特殊コーティングパウダーが赤色光を透過しながら近赤外線から守る。
 発売から3日で2万個を販売し好スタートとなったが、〝コロナ禍〟は業界全体に響いていることから、最大手の動向が注目される。