ニュースキン 小林和則社長に聞く「現状と見通し《㊦

前号(4月23日号1面)に続き、ニュースキンジャパン(東京都新宿区)の小林和則社長に、前期(2019年12月)の状況や今後の見通しを聞いた。
(インタビューは4月1日にZOOMで実施)(インタビューは4月1日にZOOMで実施)
 
19年売上は2%増ロードマップ見直し
―――前期実績について伺いたい。アメリカ本社発表の日本市場の売上高は円ベースで前期比約1%増の283億4800万円となり、 6期ぶりの増収を達成した。
 「本社の出した数字だと1%増だが、実際は2%増だった。パーセンテージの違いの理由は、2018年に(新報酬プログラムの)『ベロシティ』を 始めたこと。『ベロシティ』のボーナスの一つに『シェアリングボーナス(※1)』がある。このボーナスに関連し、会計方式を18年と19年で本社が変えたため、 (日本の)売上が実際より少なく計上されている。18年と同じ基準で19年の売上を算出し、比較した場合は2%増となる《
  ―――四半期ベースで、第2Q(19年4~6月、本社発表ベースで前年比2.4%増)と第3Q(同7~9月、同1.6%増)が特に好調だった。要因は。
 「〝サクセスロードマップ〟を見直したことが奏功した。従来は、半年に一度の『サクセストリップ(以下ST、海外招待インセンティブ)』が軸。 この『ST』への参加を目指し、各々のスタイルでビジネス活動が行われてきた。が、昨年から『ST』を年間ベースとし、 一方で『サクセスアカデミー(以下SA、海外トレーニング)』という新たな企画をはじめた。『SA』は言わば、『ST』を目指す人のための踏み台。 これがうまくはまり、『SA』参加を目指した活動が活発となった《
 
傘下育成中も参加可今年は連続達成条件
―――「SA《の参加数と中身は。
 「昨年7月、韓国の仁川で実施した初めての『SA』は、日本から1000人以上が参加した。宿泊費と開催に関わる費用は会社がもったが、 現地までの旅費は参加者各自の自腹。内容は、1日丸々を使ったビジネストレーニング。会社やトップリーダーによるセッション、パネルディスカッション、 ワークショップなどを通じて、ビジネスの拡大につながる情報を共有した。この成功で、9月のパリの『ST』に向けた活動も盛り上がった《
―――「SA《の参加条件は。
 「『ST』の手前のステージにあたるため、(STより)緩和している。『ST』の条件は、『エグゼクティブブランドパートナー(以下EBP、※2)』 以上のタイトルの新規達成。『EBP』となって『ST』に参加するには、自分の直下に『ブランドレプリゼンタティブ(以下BR、※3)』を4人育成する 必要があるところ、『SA』への参加は、その4人がまだ『BR』に昇格しておらず、『LOI(※4)』を出して1月目をパスした状態でもOKとした。 つまり、『BR』を育成途中の人も参加できるのが『SA』。うまく機能したので、今年は6月に台湾の台北で2度目の『SA』を予定している(※5)《
  ―――今年も参加条件は変わらないか。
 「少しハードルを上げた。昨年は、1カ月間だけ条件を達成すれば『SA』に参加できたが、今年は2カ月連続で達成してもらう必要がある。 安定したグループを形成できているかどうか、〝ふるい〟にかける。一方で、『BR』の新規達成者とそのアップラインを対象に昨年はじめた 『ネクストセミナー』は、今年は『LOI』を出して審査中の『BR』も参加できるようにした。より早い段階でビジネスの可能性や価値観を認識してもらい、 リーダーとなるための基盤作りをサポートする《
ビジネス開始期間「1週間が1日に《
  ―――前期について。成長がみられたグループの特徴をあげると。
 「若い人たちのグループが、今もすごく伸びている。ミレニアル世代と呼ばれるような層の参入が増え、現場をけん引している。 一方で、会員の層を20代、30代、40代……と年代別に分けた場合、だいたい同じくらいの比率で偏っていない。どの年代にも響くような政策を心がけている《
  ―――新製品や刷新製品で好反応だったのは。
 「すべて好調に推移しているが、良い意味で裏切られたのは、10月に刷新した『(美顔器の)ガルバニック スパ』。 機能面でそれほど大きな変化はなかったのだが、刷新後の売れ行きの伸びが予想以上。考えられる理由の一つが、新しいデザインが若い層に受け入れられたこと。 また、刷新のタイミングで、ニュースキンの家庭用美容機器が世界ランク1位(※6)となったことをメッセージングしたところ、この反響がすごく、 ビジネス活動でも広く使われた《
  ―――昨年8月、愛用会員がビジネス会員への移行を申請する手続きを見直し、オンラインで申請後、実際にビジネス活動をできるまでの期間を短縮した。
 「(期間の短縮が)昨年の新規登録数の増加に貢献したことは間違いない。フィールドのモチベーションにも良い影響を生じた。 以前は、申請してからビジネスの開始までに1週間ほどかかっていた。が、現在は最短で半日かからない。夜時までにオンラインで申請すれば、 翌朝までに手続きの完了がメール通知される。1週間かかっていた手続きが1日以内で済むようになったということ。 せっかくやる気になったのにスポンサリングをできない、といった冷却期間がほぼなくなった《
  ―――昨年10月の消費増税の影響は
 「増税前にスキンケアの駆け込み需要が発生し、第3Qの売上を押し上げた。ただ、その反動も第4Qで生じた。増税の前後で均してみると、 プラスの影響もマイナスの影響もなかったと言える《
 
アプリ利用5.5万人下期にデバイス製品
  ―――カスタマーサービス強化のため、チャットサポートや歳以上用フリーダイヤルの「プラチナライン《を開始した。評判は。
 「チャットは、使える時間の限られる兼業タイプの人に特に好評。電話はお待たせしたりするが、チャットなら他のことをしながら問い合わせできる。 『プラチナライン』はワンストップで対応してもらえると、やはり好評。平均利用数は、昨年7月の開始当初の10倊まで増えた《
  ―――昨年10月リリースの新しい公式アプリの反応は。
 「現在、5万5000人以上が利用している。それまでは、情報を得ようとすると色々なサイトを回ってもらう必要があった。が、今はアプリから 全ての情報が得られる。『プラチナライン』と同様、ワンストップを実現した。アプリ上のカスタマーボイス機能を通じ、常にアップデートが図られている《
  ―――「ベロシティ《について。経過措置として一定タイトル以上の会員は、旧プランの条件に基づきタイトルを維持できたが、今年6月で終了する。 旧条件で活動する会員の数は。
 「少数いらっしゃるが、その人たちもスポンサリングの際は、旧プランではなく『ベロシティ』に基づく説明を行っている。フィールドは事実上、 『ベロシティ』への移行を完全に終えている。昨年の成長の一端は、フィールドをけん引したグループに『ベロシティ』がフィットしたことを上げられる《
  ―――導入から2年近く経つ。見直す予定は。
 「微調整の可能性はあるかもしれないが、現時点で具体的な予定はない《
  ―――今期(20年12月期)の主な計画を伺いたい。
 「下半期にグローバルで、デバイス系の新製品のリーダープレビューを予定している。使い方は『ガルバニック スパ』などの機器と似た面をもつが、 製品としては全くの別物になる《
  ―――数値目標は。
 「求められているのは継続した成長。それが1%でも2%でも、毎年の安定した成長にこそ意味がある。その点で、昨年はまがりなりにも成長を果たし、 第1Q(20年1~3月)も良い流れで来ていた。が、残念なことに、今後はいよいよ新型コロナウイルス問題の影響が避けられない。状況に先手を打つことで、 なんとか成長を果たせるようにベストを尽くしていく《
(おわり)

※1…旧報酬プログラムの「L1ボーナス《に相当。直接スポンサリングしたビジネス会員あるいは愛用会員の購入ボリュームの5%~%を支払う。
※2…旧報酬プログラムの「ルビー《タイトルに相当。
※3…旧報酬プログラムの「エグゼクティブー《タイトルに相当。
※4…「BR《タイトルへの昇格申請。
※5…3月末時点。新型コロナウイルス問題を受けた実施の有無は4月下旬に発表予定。
※6…ユーロモニター・インターナショナル社調べ。全流通チャネルを対象とした17~18年の小売金額ベース。