販売預託取引「原則禁止」報告骨子に合意 特商法・預託法検討委

過量販売、合理的根拠の要請対象に定期購入の解約妨害禁止、解約権創設も

消費者の脆弱性につけ込む悪質商法への対策強化を議論していた消費者庁の「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」 (委員長=河上正二東大名誉教授)は、7月28日の第5回会合(オンライン開催)で、販売と預託がセットで行われる販売預託取引を原則禁止する とした報告書の骨子案を議論し、委員から合意を得た。特商法の見直し事項は合理的根拠要請権の行使範囲の過量販売への拡大、 WEB通販等の定期購入トラブルにおける解約妨害禁止と解約権創設を盛り込んだ。8月19日の次回会合で最終報告案が議論される予定。
合理的根拠「透明性ある基準が必要

 破綻した「ジャパンライフ」等に代表される販売預託取引(販売預託商法)の規制のあり方について、当初は参入規制の導入案が優勢だったが、 第3回会合で原則禁止案に踏み込み、検討委の方針として合意。今回の骨子案に盛り込まれ、改めて委員の賛同を集めた。
 骨子案では同取引を「本質的に詐欺的・欺まん的」「取引行為それ自体が無価値」として、「預託法において、明確に原則禁止とすべき」と明記。 同取引行為に対して、十分な抑止力をもった法定刑や契約を民事上無効とするルールが必要とした。
 預託法の抜本改正も提言。指定商品制の撤廃、勧誘規制強化と広告規制の新設、合理的根拠資料の要請権創設、民事ルールの充実、 適格消費者団体による差止請求、業務禁止命令の導入などをあげた。
 特商法の見直しは、合理的根拠要請権の行使範囲について「過量販売等を対象に追加することを検討すべき」として、 根拠が提出・確認されない場合は法違反となる見なし規定≠フ導入案を盛り込んだ。理由には、専門的で複雑な事項が多く、 立証に時間を要する事案での行政処分の迅速化をあげた。過去の会合では過量だけでなく、 適合性原則違反も行使対象とするアイデアを事務局が示している。
 この導入案に対し、弁護士の高芝利仁委員は、販売時に事業者が保持しておくべき合理的根拠の中身について 「(行政が)透明性のある判断基準を示すことが必要」「事業者が判断に迷うことがないようにしてほしい」と意見。 現行法で過量販売の適用要件となっている、販売した正当な理由がないことや家族構成等を考慮した上で通常必要とされる分量を著しく超えている こと、適用を左右する同一・同種の商品の範囲、複数業者による累積販売の量などを判断の要素に指摘した。
 日本訪問販売協会の大森俊一委員も「過量となる商品の同種性を整理すべき。 過量に当たらないことを示す合理的資料の判断基準の考え方も示すべき」と求めた。
(続きは2020年8月20日号参照)