2019年度のPIO―NET相談件数

「訪販」9年ぶり増加、背景に「電気」トラブル急増「マルチ」は1割増、「ファンド投資」依然多く
 国民生活センターが8月6日までにまとめた「PIO―NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)」における2019年度の 消費生活相談情報の集計データ(5月末までの入力分、苦情のみ、グラフ参照)によると、相談件数は「訪問販売」が9年ぶりに増加し、 「マルチ取引」は1割の増加となった。構成比ベースで、訪販は電気関連トラブルの拡大が目立ち、マルチは投資系トラブルが引き続き多かった。 年齢別では例年同様、訪販は高齢者、マルチは若者に集中する傾向が見られた。
訪販は7.9万件
 販売購入形態別の相談件数は訪販が前年度比2.6%増の7万9026件。10年度(9万6339件、0.7%増)の増加を最後に、 11年度から18年度まで8年連続で減らしていたが、再び増加させた。なお、19年度以前に受け付けた相談が6月以降にPIO―NETへ入力されるタイムラグが 存在するため、最終的な件数はこれより増加する見通し。国センがWEBサイトで公表している8月31日時点の入力済み件数は7万9314件で、 同時点の前年度入力済み件数(7万7056件)との比較は2.9%増。
 訪販に含まれるアポイントメントセールス、SF商法、キャッチセールスを除いた「家庭訪販」としての件数は、 同0.8%増の4万9139件(販売方法に問題があると見なされた相談のみ)。
電気2.3倍に
 家庭訪販の件数を構成比ベースで見た商品・役務の上位5品目は、@新聞(構成比9.1%)A放送サービス(同8.2%)B電気(同8.1%) C屋根工事(同6.3%)D修理サービス(同5.7%)。
 前年度比は@が1.8ポイント低下、Aが0.8ポイント低下で、上位2品目が構成比を縮小させた。アポセールス等を含む訪販で見た@Aの件数は、 国センサイトの8月31日時点件数で@が同14.6%減の6309件、Aが同13.6%減の6042件。 なお、AはNHKの受信契約トラブルが過半数を占めるとみられる。
 一方、前年度に6位以下だったBが構成比を急速に高め、訪販件数の9年ぶり増加に影響した。訪販で見たBの同時点件数は同138.4%増の5260件。
 Bは、他の取引形態を含む相談全体で見た件数も、同12.9%増の1万3331件と拡大。国センはまとめで、 訪販と電話勧誘販売による電力会社の切り替え等のトラブルがみられたとしている。
(続きは2020年9月10日号参照)