48社・返金遅延の理由は

クローバーコインの上場、直前に「中断」引き金は北海道財務局の「指導」「媒介」行為と指摘
 会員による既払い金返還請求訴訟の背景にあるのが、約束したはずの返金をいつまでも行わないという、48社の不誠実な対応だ。
 同社は17年10月の行政処分の翌月、会員に宛てた書面で「クローバーコインの購入契約を解約したいと希望される皆様には100パーセント解約に応じさせて いただき、損害をお与えしないようにする」との方針を堅持すると宣言していた。が、返金の作業は一向に進まず、しびれを切らした会員の提訴が相次ぐ。
 なぜ、返金が進まないのか。この要因を探る上でキーワードに浮上するのが「2018年3月」という時期になる。
  クローバーコイン(以下Cコイン)を購入した会員に対する返金作業が2018年3月からほとんど進んでいない「48(よつば)ホールディングス」 (以下48社、札幌市)。この理由を解き明かす上で伏線となるのが、その半年前に行われた行政処分になる。
▲48ホールディングスは、
   香港の仮想通貨取引所「バウヒニア」
  (現在は閉鎖、写真は閉鎖の告知ページ)
  におけるクローバーコインのICOを
  目指していたが、北海道財務局から
  改正資金決済法違反の指摘を受け、
  取引開始の直前に手続きを中断
 苦情相談の増加や取引銀行口座の凍結などを背景として、17年8月に立入検査を行った消費者庁は、48社の特定商取引法違反を認定。 同10月に3カ月の業務停止命令と改善指示を行った。
 48社はCコインの将来的なICO(新規仮想通貨公開)を計画。公開後の売買・取引で利益が得られるとCコインを販売していたが、処分では「完全に上がる。 買わなきゃ損をする」「公開前の仮想通貨を購入すれば1カ月半後の公開時には10倍に値上がりする」などと値上がり確実かのように会員が説明していたことが 不実告知と認定された。
 この処分をきっかけに、48社は連鎖販売取引事業から撤退。ICO計画も先行きを危ぶむ声が高まる。
 会員の一人は「処分が出て『この会社、大丈夫か?』と皆がざわついた。Cコインを買ったのは、上場して値上がりすれば儲かるから。会社がつぶれたら、 上場もなくなりかねない」「勧誘した上の人は、下から『お金を返して』と言われたくないので『大丈夫だよ』と話していたが……」と当時を振り返る。
 この時期、会員の間で「年明けに上場」との噂も広がっていたが、結局実現しないまま18年1月を終えることとなる。
 処分による混乱の中、苛立ちを深めるフィールド。しかし、2月1日、このような雰囲気を一変させるメールが48社から会員に送られる。
 「クローバーコイン(CVC)の取引所への上場について」と題したメールは、香港の仮想通貨取引所である「バウヒニア(Bauhinia Exchange)」で Cコインの上場が決定したと告知。Cコインが仮想通貨として取引できるようになるため口座の開設方法を案内すること、上場を記念して会員へCコイン1000枚を プレゼントすることが説明された。
 さらに、2月14日配信のメールで、同15日にCコインが「バウヒニア」で登録され、3月上旬より取引できるようになると告知された。
 会員の一人によれば、実際に取引は出来たようだ。  取引可能時期として告知された3月上旬よりも前、2月後半に取引を試みたところ、48社の会員専用サイトから送信を指示したCコインの一部が 「バウヒニア」の口座に反映されたという。「バウヒニアのサイトで(Cコインの)チャートがすでに動いていたので、売却を指示したら実際に売れた。 ビットコインとかの仮想通貨に交換して、別の取引所のアカウントに送ることもできた」。待ち望んでいたICOが目前となり、フィールドは沸き立ったという。
(続きは2020年9月24日号参照)