総務省の調査で判明 健康被害情報、保健所などで 把握したのに通知されず

消費者庁に勧告、周知徹底・仕組み改善を要請
 総務省は11月17日、健康被害情報を含む苦情・相談を把握した関係行政機関から、同情報が消費者庁に通知されていないとして、 通知制度の意義の周知徹底を同庁に求める勧告を行ったと発表した。勧告では徹底と合わせて、不通知だった実情を踏まえ、 現行の通知システムの見直しと的確な運用のための取り組みを検討するようにも求めた。同庁は消費者安全法に基づき、 消費者事故等に関する情報の一元的集約や注意喚起を行うこととされているほか、所謂すき間事案≠フ重大事故等で勧告ができる。
 今回の勧告は、厚生労働省に対しても実施。保健所が、医業類似行為で健康被害等を生じた相談を受け付けたのに、 多くのケースで事実確認を行わずに関係機関の案内のみ実施していたとして、都道府県等に事業者等の指導を徹底させることを厚労省に求めた。
 調査は18年3月〜20年11月に実施。あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう等を含む医業類似行為、 エステティックサービスに関する健康被害の把握・通知状況を調べた。対象機関は都道府県の消費者行政担当部局12カ所のほか、都道府県警19カ所、 市町村24カ所、東京23区4カ所、国民生活センターなど。
 通知の対象となっている情報は、死亡、負傷、疾病等(治療期間1日以上)をともなう消費者事故。通知は、関係行政機関や地方公共団体から 消費者庁に対して行われ、定期公表や注意喚起が行われる(警察や消防が把握した情報は警察庁および消防庁経由で通知)。 通知すべき情報の考え方などを示したマニュアルが用意され、判断を迷うケースでも幅広に通知を求めることとなっている。
 しかし、調査した46保健所等の4分の3にあたる34カ所において、健康被害情報を含む苦情など計174件が受け付けられていたのに、 14〜17年度の一度も消費者庁への通知が行われたことがなかった。不通知の主な理由は、通知制度の不承知に加え、 健康被害との因果関係の判断が難しいことだった。
(続きは2020年12月10日号参照)