新型コロナ、DS業界の影響は アンケート第1弾・51社の回答集計

42%が減収、マイナス幅は1割未満〜2割台増収32%に拡大、影響は4〜6月から変わらず
2020年を通じて社会全体を揺るがし、今も本質的な終息は見通せていない新型コロナウイルス問題。ダイレクトセリング(DS)業界は、 緊急事態宣言解除を受けて徐々に営業を再開。しかし、ほとんどの事業者が対面をベースとした活動の根本的な見直しを余儀なくされ、 大きな打撃を被った。そこで本紙は、コロナ問題にともなう各社の影響、対応を聞くアンケート調査を実施。51社の有効回答をまとめた。 (アンケート第2弾は 1月14日号予定)  アンケートでは、まず、20年7月〜9月の四半期の売上高に対して、コロナ問題がどのくらいの影響を与えたかを聞いた。 影響の多くはマイナス面が想定されるものの、殺菌・除菌関連や健康維持に役立つ商品の需要増加といった事象も踏まえ、 プラス面の影響も含むものとして調査した。
 集計の結果、「大きな影響を与えた」(18社)とした企業は有効回答の36%を占め、「小さな影響を与えた」(17社)とした 企業を含めると全体の70%が大小の影響を受けていた(グラフA参照)。
 本紙は20年8月にも同様の調査を実施(20年8月6日号、有効回答52社、集計期間は6月26日〜7月18日)。 この前回アンケートで「大きな―」「小さな―」の合計は73%を占めた。今回アンケートとの差は3ポイントに留まり、 夏に入ってもコロナ問題の影響の程度はほぼ変わっていなかった。

 続いて、7月〜9月の売上高が前年同期(19年7月〜9月)と比べて、どう変化したかを調査。
 もっとも多かったのは「減った」(21社)で全体の42%を占め、「増えた」(16社)の32%を10ポイント上回った (グラフB―1参照)。「ほとんど変わらなかった」(13社)は26%。
 本紙は前回アンケートで、4月〜6月の売上高の前年同期(19年4月〜6月)比を聞いており、この時も49%を占めた 「減った/減る見通し」が最多(グラフβ参照)。一方、今回アンケートでは構成比を7ポイント縮小させ、20%に留まっていた 「増えた/増える見通し」は逆に12ポイント拡大。緊急事態宣言の発出時期と重なった4月〜6月に対して、 7月〜9月は売上に一定の揺り戻しが見られた。

 さらに、7月〜9月の売上高が「減った」「増えた」と回答した企業には、売上高の増減がどの程度だったかも調査。比較対象とした 前年同期(19年7月〜9月)の売上高を100とした場合、どのくらいの値となったかを聞いた。
 結果、減収だった企業の回答は「90〜99」(9社)、「80〜89」(7社)、「70〜79」(5社)に集中(グラフB―2参照)。 減収幅は、1割未満から2割台となっていた。
 増収だった企業は、1割台の増収幅となる「110〜119」(7社)の回答が最多。これに「101〜109」(3社)が続き、 倍増した「200〜」(2社)の回答も複数社からあった。
「新客増」「量・単価増」「就労改善」が上位に
事業・経営へのプラスの影響は?
コロナ問題が、7月〜9月における各社の事業・経営面に及ぼした影響は、プラス面とマイナス面のそれぞれについて複数選択式で聞いた。
 集計の結果、プラス面の影響でもっとも回答が多かったのは「新規顧客の増加」(14社)となり、有効回答の28%を占めた(グラフC参照)。 本紙の前回アンケートにおいても、有効回答52社中7社が選択していたが、今回は倍増させた。回答社には健康食品等の健康関連商品を取り扱う 企業が目立ち、背景には、感染の防止・抑止を目的とした需要の高まりがあると見られる。
 次に多かったのは「購入量・購入単価の増加」「従業員の労働環境の改善」(各12社)。各24%を占め、前者の「購入量―」は新客増加と同様の 事情が窺える。後者の「従業員の―」は、前回アンケートでも?社が選択。やはり感染の防止・抑止を目的に、社会全体でリモートワークや時差出勤、 時短勤務、有給等休暇の取得など奨励され、DS業界でも多数の企業が実施に踏み切ったことが関係したと見られる。
(続きは2021年1月7日号参照)