トップインタビュー エックスワン 市村 智樹社長

ZOOMセミナーが定着、今期は再昇格にもボーナス 
   買い物サイト・スタジオ新設 EC大手の親会社と共同プロジェクトで

エックスワン(本社・東京都港区、市村智樹社長)の21年1月期実績は、MLM事業の売上が微減となった。免税店大手などを得意先とする卸事業がコロナ禍で苦戦する中、 堅調を維持した(全体売上は前期比43%減の約11.4億円)。今期は、引き続きビジネスのオンラインシフトを推し進めるとともに、 一般層をターゲットにしたWEB販路の開拓に注力。EC大手である親会社や得意先の協力も得る。市村社長に話を聞いた。
 (インタビュー実施日は4月1日)
▲エックスワン
市村 智樹 社長

前期売上は微減「予想より良かった」

―――前期(21年1月期)のMLM事業の実績について伺いたい。
 「売上でいうとMLMは微減。そこまで落ち込まずに済み、予想よりは良かったと言える」
  ―――製品の売れ行きは。
 「MLMに関して大きな変化はなかった。強いていえば、薬用ハンドクリームが例年よりよく出た」
  ―――新規登録は。
 「コロナの影響で人と直接会うことが難しくなった。従来のリクルートが難しくなり、前の期(=20年1月期)よりは減った」
  ―――コロナ禍を受けてビジネスのデジタル化に取り組んだ。
 「1度目の非常事態宣言が出た昨年の春から、ZOOMを使ったセミナーやミーティングを行うようになった。当初は、会員も会社も模索の連続だったが、 慣れてくると『逆にこっちのほうがいい』『会場まで行く手間が省ける』といった声が増えはじめ、定期的に配信するようにした」
  ―――今の配信状況は。
 「コロナの前は月に1度、東京、大阪、新潟、福岡の4カ所で企業説明会やプロダクトセミナーを行っていた。コロナでオンラインに切り替えた後は、 月に4回の配信を行っていたが、夏頃から、録画した動画を週3回くらいの頻度で配信するやり方に変えた。会場に特別講師を招くなどした一部のプロダクトセミナーは、 入れる人数を制限した上でライブ配信を行った」
  ―――視聴方法は。
 「事前の申し込みは不要。配信時間に接続すれば、どなたでも見ていただける。会場でやる場合は、参加可能な人数をキャパシティの半分〜3分の1くらいに制限している。 上限を上回る申込があった場合は、2部制を取っている」
  ―――直近の開催は。
 「5月に発売する『モイスチャーヘアウォーター』のプロダクトセミナーを4月17日から全国4カ所で開く予定」
  ―――会員のリクルート状況について。新規登録に結び付いているのは、対面型とオンライン型のどちらか。
 「半々くらいではないか。会員に聞くと、対面の活動もオンラインの活動も『両方やっています』と答えられる方が多い」
  ―――オンラインの活動でよく使われているツールは。
 「ZOOMや様々なSNS。最近だと、(音声SNSの)クラブハウスを始められたという人もいた。主催者以外は話を聞いているだけでもよいので、 新規の敷居が低いようだ」
  ―――オンラインの活動をサポートする取り組みは。
 「3月から、録画配信の動画をYouTubeの公式サイトで限定公開している。会員はいつでも視聴、活用できる」
 
直営の新サイトで一般消費者に販売

―――3月にオンラインで開催した全国大会で、今期(22年1月期)の特別インセンティブとして、過去に達成したことがあるタイトルへの復帰も支払い対象とした 「タイトルアップボーナス」(※)を発表した。
 「初めての昇格だけでなく、復帰した場合も支払うボーナスは珍しいのではないか。 フィールドでも話題となっている。コロナで厳しい状況の中、少しでも支えになるような政策をと考えた」
  ―――大会では、一般向けのWEBショッピングサイトと、直営の青山サロンにスタジオを開設することを明らかにした。7月にオープンするという新サイトの狙いは。
 「今でも、一般の方は会社のホームページから商品を買えるが、そこに来て『いい商品だな。欲しいな』といった興味をそそる場にはなっていない。どちらかといえば、 すでに会員となっている方や(会員に)誘われたのでお試しで買ってみようという方に向けた作りとなっている。  Amazonや楽天でも売っているが、あれは親会社(の家電EC大手のストリーム)の領分。今回、オープンしようとしているのは、 一般の方へ売ることを目的とした直営のサイトになる」
  ―――新サイトとMLMの会員を紐づけるような仕組みは考えているか。

(続きは2021年4月15日号参照)