クーリング・オフ通知の電子化

メールでも「発信主義」維持、改めて答弁 通達で明確化、野党は条文修正を要求

 特商法改正案の審議が始まった4月27日の衆院・消費者問題特別委員会では、書面交付の電子化と両輪をなすと言える 「クーリング・オフ通知の電子化」についても質疑が行われた。ここで、メールによるク・オフ通知においてもハガキ等の場合と同じく 「発信主義」が維持される旨が政府から改めて説明された一方、野党は、改正案がメールによるク・オフ通知の扱いに直接、触れていないことを指摘。 条文を修正し、メールによるク・オフも発信主義を取ることの法的担保を求めた。
 法案には、書面による従来のク・オフに加えて、「記録媒体に記録された電磁的記録」について「当該記録媒体を発送した時」もク・オフが成立する改正が盛り込まれた。 が、条文を字義通りに読んだ場合、「記録媒体を発送した時」にメールによる通知が含まれるかどうかはっきりしないおそれがあり、 含まれない場合は、民法の「到達主義」が優先する可能性がぬぐえない。
 このため、法案の審議入りに先立ち、4月6日の委員会で尾辻かな子議員(立憲民主党)が、メールによるク・オフ通知にも発信主義が適用されるかを質疑。 これに対して、消費者庁の片桐一幸審議官が「電子メールを含む電磁的記録によるクーリング・オフも可能としている」「仮に、 電子メールが色んな事情で不到達であったとしても、消費者のクーリング・オフの行使が明確であれば、その効力は発生しえる」と答弁し、 発信主義が維持される旨を説明していた。

 が、法案の条文においては、メールの取り扱いを直接、規定していないことに変わりはない (続きは2021年5月13日号参照)