MLM最前線・タッパーウェア

業界のパイオニアが挑むデジタル改革

 プラスチック密封容器を日本の食卓に 根付かせ、2年後に日本上陸60周年を控 えるタッパーウェアブランズ・ジャパン (東京都千代田区)。業界のパイオニア として知られる同社が、事業のデジタル 化を急ピッチで進めている。2月、デジ タル分野出身の新社長が就任。コロナ禍 でダメージを受けた販売現場の立て直し を図るとともに、デジタルツールを駆使 した新客開拓や、販売員が主催する各種 イベントへの誘客に乗り出した。デジタ ル改革の狙いとポイントを探る。
各販売員に紐づけ「固有リンク」経由のWEB購入推進サイトから
「スタジオ」へ誘客、料理教室サイトの「クスパ」も活用
▲個々の販売員に紐づいた固有リンクを用意し、
   公式ショップ(写真堰jでの購入につなげるほか、
   6月21日から楽天市場でも販売をスタート
 2月1日付でトップ 交代が行われたタッパ ーウェア社。新社長の 石井恵三氏は、前職で 日本コカ・コーラのC DO(デジタル最高責 任者)を務め、デジタ ルマーケティングをは じめとする関連業務の 一切を取り仕切った。 これ以前は、航空券・ ホテル宿泊等の大手予 約サイトのエクスペデ ィア・ジャパンで、社 長としてオンライン事 業の拡大を推進した。
 一方、デジタル化は これからが本番となる 同社は、昨年来のコロ ナ禍で、対面型の勧誘 ・販売が中心だったフ ィールドに「衝撃的な 打撃」(石井社長)を 受けた。
 対面による製品のデ モンストレーションが 困難になったことなど を要因に、20年12月期 の売上高とアクティブ 顧客数は前期比で二ケ タの減少。新規登録数 も19年以前に比べて 「ずいぶんスローダウ ンした」 (同)。特に、 感染時のリスクが高い 高齢層のユーザーが多 いという事情が客足に 影響したという。コロ ナ禍に入る直前の?年 末、公式ショッピング サイトを一旦閉鎖し、 20年12月の再稼働まで 1年を要したこともダ メージを広げた。
リンク経由の購入 報酬プランとも連動
 このような劣勢の挽 回も目標に、2月から の新体制では、デジタ ルと対面の融合を基本 方針に掲げた。
 「これまでは販売員 一人一人の経験に基づ いてやっていた。確か に、得てしてそのほう がデータより正しいこ ともある。だから“匠 の技”は尊重する。で も、それだけでは勝て ない。これからは、デ ジタルによって我々が 得た情報を販売員にど れだけ渡せるかが肝に なる」(石井社長)。
 そこで、まず、新客 開拓に役立ててもらう 狙いで、個々の販売員 に紐づいた固有リンク の提供をスタート。S NS等を通じた拡散を 図っている。
 QRコード化も可能 なリンクのURLは、 「e―TUP」と呼ぶ 公式ショッ ピングサイ トに接続。 リンクを経 由してサイ トで製品が 購入される と、紐づい た販売員の セールス実 績に購入額 が加算され る。購入に ともなう差 益の支払い (月3回) も受けられる。
 報酬プランとも連動。サイトでの年間注 文額が2万円以上に達 した自身の顧客は、 「スターメンバー」タ イト ルから「マネージ ャー」タイトルへの昇 格に必要な傘下育成実 績としてカウントす る。
リンク経由の購入 報酬プランとも連動
 サイト購入者向けの 特典は、6月15日より、 購入額の2%を付与す るポイントプログラム を開始。100ポイン トを1円として購入時 に利用できる(利用は 年2万円以上の注文実 績が条件)。プラスチ ック密封容器や調理器 具などの定番アイテム を特別価格で提供する フラッシュセール なども実施する。
(続きは2021年6月24日号参照)