ダイレクトセリング化粧品 ニーズ見据えた柔軟施策

コロナ禍でも新サービス創出 新たな「次の一手」の模索続く
 1年半以上続く新型コロナウイルスの感染拡大は、世の中のあり方を大きく変 えた。ダイレクトセリング業界の化粧品分野では、サロンを軸とした対面販売を 主力としつつ、ECなど新規顧客にアプローチしやすいチャネルとの融合を加速 させている。サロンビジネスにおいても、安心して来店できる環境の整備や新メ ニュー、オンラインカウンセリングなど新体制へシフトを進めている。ワクチン 接種が進む一方で、国内外で変異株が猛威を奮っており、コロナ禍の収束は依然 として不透明だ。各社は、ウィズコロナ、アフターコロナに対応した「次の一手」 を求めて新しい商品・サービスを提供するとともに、人材の確保・育成に力を入 れている。


「増収」は半減「減収」は1.6倍に
  表は、本紙が202 1年7月に実施した「第70回ダイレクトセ リング実施企業売上高 ランキング調査」をベ ースに、化粧品を主力 商品とするダイレクト セリング(=DS)企 業42社の直近実績をま とめたもの。42社のう ち、ヤクルト本社は単 体ベースの化粧品事業 の売上高を「前期売上 高」として掲載してい る。直近業績の増減率 をみると、「増収」が 5社(前年同期は10 社)、「横ばい」が14 社(同16社)、「減収」が20社(同12社)とな った。増収企業が半減 した一方で、減収企業 が1.6倍に増えてお り、コロナ禍によるダ メージが顕著に現れる 結果となった。
 42社のうち、エステ サロンや地域密着型の 店舗といったビジネス モデルを展開している 企業は19社となってお り、約45%の企業がサ ロンビジネスを導入し ている。従来型訪販か ら進化した対面型のカ ウンセリング販売とし て20年以上にわたって 業界に浸透してきたサ ロンビジネスだが、コ ロナ禍で「人と人の接 触による感染リスク」 という想定外の事態が 発生したことで、一時 は店舗休業を余儀なく された。サロンビジネ スは、従来型訪販によ るアプローチが困難な 時代に、立地に合わせ た手法でカウンセリン グやエステ、商品販売 を行うことで「見える 化」を進め、新規ユー ザーの間口を広げるこ とに寄与した。コロナ 禍になり、当初はサロ ンという密閉した空間 での施術や接客は躊躇 されたが、現在は各サ ロンで十全な感染防止 対策を講じて安全性を 確保して営業を継続し ている。また、オンラ インによる事前カウン セリングやバーチャル メーク、ビデオ会議ツ ールを用いたイベント や講習など、デジタル ・リアル双方のメリッ トを活用した施策が生 まれており、時代の変 化に柔軟に対応する動 きがみられる。

リアルとデジタル双方の活用進む
 業績面では、これま で堅調に業績を伸ばし てきた企業がコロナ禍 の影響を受けた。中で も、サロンビジネスや 海外展開、シワ改善美 容液など多方面で業界 をけん引してきたポー ラの苦戦が目立った。 直近業績(2021年 12月期第2四半期)で は、V字回復には至ら ないものの、前年同期 の急激な落ち込みから 持ち直しがみられる。 国内ではコロナ禍で需 要が急増したECが好 調に推移しているほか、主力の委託販売チ ャネルでは「リンクル ショットメディカルセ ラム」などが引き続き けん引役を担う。また、 サロンでは既存顧客を 中心にエステメニュー のニーズが回復してお り、ウィズコロナ、ア フターコロナに対応し たサロンビジネスの構 築が進む。同社は来年 1月にエステサービス を刷新、最高峰美容液 「B?Aグランラグゼ V」と連動した新メニューを導入するなど、 付加価値の強化を図る 狙い。
 他の訪販系上位企業 においても、コロナ禍 の影響があらわれてい る。ノエビアやナリス 化粧品、シーボンとい った化粧品企業では、 昨年春の緊急事態宣言 で店舗やサロンを臨時 休業したほか、異業種 とのコラボレーション や商業施設でのブース を使った体験イベント など、新規顧客へのア プローチ施策として有 用とされてきた取組み も相次いで中止となっ た。
 他方で、ニューノー マルに対応した新しい サービスも生まれてい る。コロナ禍ではリア ル・デジタル双方のメ リットを活用した施策 が導入され、「次の一 手」の模索が続く。ナ リス化粧品では、昨年 10月21日から自宅でも サロンと同じ施術を提 供する「プレミアムエ ステ」を実施し、さま ざまな理由で外出が難 しい女性に向けて「お こもり美容」の掘り起 こしを進めるほか、新 メークブランド「ヴィ ータ」や、先ごろ刷新 した研修センターでデ ジタル技術を活用した 新サービスを導入して いる。また、シーボン では、新規顧客と既存 顧客を対象とした「オ ンライン ビューティ ー・アドバイス」や非 接触型の施術などでサ ロン事業の改革を進め ると同時に、ブライダ ル情報サービス事業へ 参入し、事業の多角化、 基盤強化を狙う構えだ。