最大20団体、WTでヒアリングへ 書面電子化検討会が初会合

消費者相 「骨抜き避ける」「ゼロベースで議論」

池本委員 「附帯決議の方向性、尊重した議論を」


  特定商取引法の政省令、ガイドラインで法定書面の電磁的交付に関するルールを策定す るため、消費者庁の「特定商取引法等の契約書面等の電子化に関する検討会」(以下検討会、座長=河上正二 東大名誉教授)は7月 30日、第1回会合をオンラインで開いた。今後、下部会のワーキン グチーム(以下WT)で消費者・事業者団体 からヒアリングを実施。来年春に検討会と しての意見をとりまとめ、夏の政省令案公表 を目指すことを確認した。検討会の事務局を 務める同庁取引対策課は、電子化規定の施行 予定時期を2023年の春〜夏としている。

WT主査に鹿野委員書面でも意見を受付
 検討会からWTに参 加する委員は3人で、WTの主査に鹿野菜穂 子慶大大学院法務研究科教授が就任。ほか2 人は高芝利仁弁護士と日弁連消費者問題対策 委員会委員の池本誠司弁護士。同庁は特商法 分野を担当する片桐一幸審議官が加わる。
 WTにおけるヒアリ ングは8月後半からスタート。月1回程度の ペースで5〜6回を開き、電磁的交付の前提 となる消費者の真意に基づく承諾を確保する 方法、電子書面の電磁 的な提供方法のあり方、交付相手が高齢者 である場合のトラブル防止策などを聞く。
 ヒアリングの対象は 消費者団体、弁護士団体、事業者団体、デジタル技術の専門家など で、最大20カ所の個人・組織を予定。20カ所には検討会委員の所属 組織を含み、電子化の参考となる他制度の関 係者も含み得るという。取引対策課は「それ以上の希望があれ ば、書面でも意見を受けたい」とした。
 池本委員は、電子化 をめぐって意見書を提出している司法書士の 団体や、国民生活センターもヒアリングする ことを提案。取引対策課は「できるだけ希望に沿えるように調整し たい」と応じた。
 第1回会合に出席した井上信治消費者担当大臣は、冒頭のあいさつで、「これまで関係者、専門家と議論する 機会が必ずしも十分でなかったとの指摘もあった」とした上で、「法律が成立した以上、 その内容が本末転倒や骨抜きとなることは絶対に避けなければならない」「施行まで2年間ある。 ゼロベースから専門家の皆さんのご意見を改めて十分にうかがい、今後の政省令の具体化に向けて丁寧に議論を深めてい く」と方針を示した。

河村委員「不招請勧誘規制、目指すべき」
 これに対して、大臣の次に意見を述べた池本委員は、電磁的交付を真意に基づく明示的思表明がある場合に限定するため、 参院の附帯決議で、書面が持つ消費者保護機能が確保されるように慎重な要件設定を行うことなどが求められていると 指摘。「大臣はゼロベースでとおっしゃったが、附帯決議の方向性は十分に尊重した上で議論を進めるべき」と けん制した。
(続きは2021年8月12日号参照)