「原則は紙」、説明義務付けなど提案 書面電子化でヒアリング

消費者宅を離脱後、メールで承諾 クラウド保存、家族等への送信も

 特定商取引法の政省令、ガイドラインで法定書面の電磁的交付に関するルールを策定することを目的に、 消費者庁の「特定商取引法等の契約書面等の電子化に関する検討会」は 8月31日、ワーキングチーム(以下WT、主査=鹿野菜穂子慶大大学院法務研究科教授)の第1回会合をオンラインで開催、 消費者団体3カ所をヒアリングした。電磁的交付の要件となる消費者の承諾をめぐり、原則は紙の交付である旨の説明を義務付ける案や、 訪問販売で消費者宅を離れた後にメールで承諾を得させる案、電子書面のクラウド保存義務、高齢者契約における家族等への交付といったアイデアなどが出た。 WTは今後、月1回程度のヒアリングを継続。来年春を目途に検討会としての意見とりまとめを予定する。
 WTに出席した3団体は@日本消費者協会A日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会(NACS)B主婦連合会。 いずれも法案提出前より、書面電子化に反対の立場から声明等を出してきた。
 消費者の承諾のあり方に関して、@は、承諾を得る際に消費者への明確な説明を事業者に義務付ける事項として、 紙による交付が原則で消費者が希望する場合にのみ電磁的交付が認められることや、 メールが消費者のサーバーに届いた日がクーリング・オフの起算日に当たることなどを提案。消費者が高齢の場合、 本人が望めば第三者の確認を求めることも可能にするべきとした。
 Aは、訪問販売の場合、その場でタブレットPC等に承諾のチェックを入れてもらうのではなく、事業者が消費者宅を離れた後、 メールやSMSで1日以内に明示的な返信を受けることを条件にするアイデアを示した。
 WT委員からは、消費者宅を一旦離脱する点に関して、直ちに′付することを求めている法規定との整合性を問う意見が出され、 Aは「特別な項目を設けてもらうことは無理なのかという思い」「電子化で追加の項目の説明が必要ではないか」と述べた。
 Bは、契約内容やク・オフ制度を説明した上で、それらの中身を明瞭に示した書面か電子データを直ちに交付することや、 承諾したことの書面の控えを交付することを提案。 さらに、後の争いを防ぐためとして、勧誘〜契約申込み〜電磁的交付の承諾に至るプロセスを消費者の同意の下で録音するルールの導入も考えられるとした。
(続きは2021年9月9日号参照)