「訪販ホットライン」・2020年度受付状況 

総件数4割減、背景にコロナ禍や「基金」問題
「問題性あり」相談、会員・非会員とも減少

 フリーダイヤル式の消費者相談室「訪問販売ホットライン」を運用する日本訪問販売協会が11月22日までにまとめた2020年度(20年4月〜21年3月)の受付状況によると、 同年度の受付総件数は19年度比で4割減となった(グラフ参照)。勧誘・契約締結過程や解約手続きに特定商取引法をはじめとする関連法規違反が疑われたり、 消費者志向が不十分と考えられる「問題性あり」相談も、19年度の約3分の2に減少した。コロナ禍の影響で件数が抑えられたことに加え、 19年度は「訪問販売消費者救済基金(以下基金)」関連の問い合わせを急増させていた。
 20年度の総受付件数は323件。19年度比は40.4%減で、過去10年間で最少となった。
 取引形態は、174件の「訪問販売(大半が家庭訪販)」が最多で、全体の6割を占めた。ほかは「連鎖販売取引」が43件、「特定継続的役務提供」が17件など。 相談者は「個人(一般消費者)」が206件で最も多く、残りは「団体(消費生活センター等)」が70件、「企業(事業者)」が47件。
 受付状況の報告書では、コロナ禍によってダイレクトセリング市場における対面営業が困難さを増し、「取引の機会が相応に制限されたことで、 必然的にこれに係る相談も減少した」と考えられると分析。感染防止対策のため相談室が一時的に受付時間を短縮したこともあって「前例のない状況がデータに反映された」 という。短縮期間は昨年5〜6月と8月の計3カ月で、通常10時〜16時30分のところ10時30分〜15時30分で受け付けた。
  19年度と比べた大幅減は「基金」問題も関係。元会員で、磁器治療器のレンタルオーナー商法によって2000億円超の被害を生んだ「ジャパンライフ」 (破産手続き中)をめぐり、被害者の「基金」利用申請を20年1月で締め切ると告知したことから、19年度は秋〜冬にかけて被害者や関係先による問い合わせが殺到していた。
 このため、19年度は非会員に関わる「問題性なし」相談が407件と急増。このうち6割弱にあたる233件が「基金」関連の問い合わせだった。 この「基金」関連の問い合わせが20年度は49件まで減少。同年度の総件数の大幅減につながった。
 なお、「基金」関連の問い合わせを除いた受付件数は19年度が309件、20年度が274件で、前年対比で11.3%のマイナスだった。
(続きは2021年12月16日号参照)