訪販協まとめ 2020年度のDS市場規模

4.97%減の1.5兆円、コロナ禍が直撃 「化粧品類」15%減、過去20年で最大の下げ幅

 日本訪問販売協会が、正会員企業の売上データや一部の非加盟事業者の推計値などをもとに21年12月15日までにまとめた、 国内ダイレクトセリング(DS)市場における2020年度(20年4月〜21年3月)の「訪問販売売上高推計値(小売ベース、速報値)」は、 前年度比4.97%減の1兆5638億円だった(グラフ参照、正会員数は11月25日時点で117社)。 コロナ禍や過去最大の下げ幅を記録した化粧品の苦戦を背景に3年連続のマイナス成長となり、下げ幅は前年度から1.58ポイント悪化させた。 速報値の扱いだが、1〜2月中にまとまる確定値との差異は大きくない見通し。
 売上高推計値は、96年度に3兆3400億円のピークを記録。以降は、長期に渡ってマイナストレンドが続いている。今回の下げ幅は過去20年間で、 08年度の8.61%減、06年度の7.52%減、07年度の6.08%減に次いで4番目の大きさとなった。
 20年度のマイナス成長や下げ幅の拡大について、協会事務局では、19年10月に行われた消費税率10%への引き上げに続く形で、 「20年初頭からの新型コロナウイルス感染症拡大による長期の活動自粛などが大きく影響したものと推測される」とした。
 売上推計における上位10品目の順位は、1〜3位が前年度と変わらず(表参照)。
 前年度比は、1位の「化粧品類(ヘアケア、入浴剤など含む)」(2951億円)が15.4%減。19年度に6.7%減だった下げ幅を8.7ポイントも拡大させた。 過去20年間で、「化粧品類」の下げ幅が二ケタを記録したのは、06年度(5223億円、10.5%減)、09年度(4277億円、12.1%減)に続き3度目。
 過去2度を上回る最大の下げ幅となったことについて、協会事務局は「化粧品の中でもエステなど施術用の店舗を持ち、 対面で化粧品やエステの販売・提供を行う事業者の(コロナ禍の)影響度合いは大きいものがあったものと推察する」とした。
 これに対して、2位の「健康食品」(2516億円)は8.8%増とし、3.0%減だった19年度から11.8ポイントの上昇。 3位の「清掃用具」(1742億円)も13.1%増と伸ばし、3.9%増だった19年度から17.0ポイント上昇させた。 4位の「住宅リフォーム」(535億円)は3.8%増で、12.5%増だった19年度からは上げ幅を縮小させた。
 「健康食品」の好調について、協会事務局は、オンラインの活用による販路拡大を推定。
(続きは2022年1月13日号参照)