社説 予断許さぬ業績推移
ダイレクトセリング化粧品上場企業の直近業績が明らかになってきた。業界の注目を集めているポーラ・オルビスホールディングスの2025年12月期第1四半期では、ポーラブランドの売上高は、前年同期比0・3%減の220億9800万円、営業利益については同14.9%増の26億4700万円と2ケタ増を達成した。ポーラでは、2025年に元オルビス社長の小林琢磨氏が新たに社長に就任し、オルビス時代に実績を作ってきたデータ重視の経営をポーラでも実践していく方針を示している。新体制のもとで稼働した最初の3カ月は、その成果を示すことができたようだ。
この3月に通期決算を迎えたシーボン、アイビー化粧品の業績をみると、いずれも前期から回復している。主な要因は、コロナ禍で停滞したサロンでの活動や、イベントやセミナーといったリアル接点の稼働が増加したことが挙げられる。ダイレクトセリング化粧品市場だけでなく、社会全体でリアル回帰の動きが強まっており、追い風となった模様だ。シーボンでは、ポーラ同様、デジタルツールを活用した施策も積極的に展開しており、新規顧客の獲得および既存顧客の継続にもつながっている。コロナ禍を機に多くの企業が導入したSNSなどのデジタルツールは、今後ますます顧客とのコミュニケーションに欠かすことのできない存在となっていくとみられる。
回復傾向がみられるようになったとはいえ、油断は禁物だ。長期的な視点でみれば、先に挙げた3社ともコロナ禍前の業績水準には戻っておらず、いずれもピーク時には遠く及ばない状況にある。社会情勢の変化、消費者の価値観多様化、販売組織の高齢化に伴う営業力の低下等、さまざまな要因が絡み合って現在の状況を構成しており、抜本的な改革は容易ではない。そこで注目されるのは、やはりポーラの今後の展開であろう。同社はこれまでもリーディングカンパニーとして市場の潮流を形成してきた。一方、「ポーラ ザ ビューティー」など従来型のサロンをベースとしたビジネスモデルがコロナ禍によって大きく後退せざるを得なくなったことで、トップをはじめとする経営体制の刷新を実行、新たなステップを踏み出そうとしている。
新体制でも〝より高収益を望める顧客〟を重視する戦略は同じだが、そのアプローチを変えようとしている。「ポーラ プレミアム パス」によるチャネル横断に顧客管理を基盤に、最終的にリアル接点へ誘導する新しい店舗展開は、今年から本格的にスタートする予定だ。その一方で、販売現場では、物価高によるブランドの〝鞍替え〟や、美容医療など他の美容分野との競合を懸念する声も聞かれており、経営陣と販売現場の意識のギャップも気になるところだ。今後の動向から目が離せない。
この3月に通期決算を迎えたシーボン、アイビー化粧品の業績をみると、いずれも前期から回復している。主な要因は、コロナ禍で停滞したサロンでの活動や、イベントやセミナーといったリアル接点の稼働が増加したことが挙げられる。ダイレクトセリング化粧品市場だけでなく、社会全体でリアル回帰の動きが強まっており、追い風となった模様だ。シーボンでは、ポーラ同様、デジタルツールを活用した施策も積極的に展開しており、新規顧客の獲得および既存顧客の継続にもつながっている。コロナ禍を機に多くの企業が導入したSNSなどのデジタルツールは、今後ますます顧客とのコミュニケーションに欠かすことのできない存在となっていくとみられる。
回復傾向がみられるようになったとはいえ、油断は禁物だ。長期的な視点でみれば、先に挙げた3社ともコロナ禍前の業績水準には戻っておらず、いずれもピーク時には遠く及ばない状況にある。社会情勢の変化、消費者の価値観多様化、販売組織の高齢化に伴う営業力の低下等、さまざまな要因が絡み合って現在の状況を構成しており、抜本的な改革は容易ではない。そこで注目されるのは、やはりポーラの今後の展開であろう。同社はこれまでもリーディングカンパニーとして市場の潮流を形成してきた。一方、「ポーラ ザ ビューティー」など従来型のサロンをベースとしたビジネスモデルがコロナ禍によって大きく後退せざるを得なくなったことで、トップをはじめとする経営体制の刷新を実行、新たなステップを踏み出そうとしている。
新体制でも〝より高収益を望める顧客〟を重視する戦略は同じだが、そのアプローチを変えようとしている。「ポーラ プレミアム パス」によるチャネル横断に顧客管理を基盤に、最終的にリアル接点へ誘導する新しい店舗展開は、今年から本格的にスタートする予定だ。その一方で、販売現場では、物価高によるブランドの〝鞍替え〟や、美容医療など他の美容分野との競合を懸念する声も聞かれており、経営陣と販売現場の意識のギャップも気になるところだ。今後の動向から目が離せない。