社説 潮目は変わったのか
油断はできないものの、コロナ禍の打撃からの脱却は着実に進んでいる――。ダイレクトセリング化粧品上場企業の直近業績をみると、そのような情勢であることがうかがえる。1面で報じているとおり、ポーラ・オルビスホールディングスの2025年12月期第2四半期では、ポーラブランドの売上高は、前年同期比3・2%減の444億9000万円、営業利益については同0・8%減の52億200万円となった。2ケタ増益を達成した第1四半期から再び減益に転じたものの、業績全般や販売組織の推移をみると、底を打ったような印象を受ける。1月に就任した小林琢磨社長の、データを積極的活用する方針や、ロイヤルカスタマー重視の施策が数字としてあらわれてきたが、コロナ禍の厳しい時期に指揮を取った前社長の及川美紀氏の下地があったからこその成果とも言える。
他のダイレクトセリング化粧品企業――シーボン、アイビー化粧品、ノエビアといった各社の直近業績をみると、バラつきはあるが全体としては回復基調にあるようだ。主な要因としては、コロナ禍で停滞したサロンでの活動や、イベントやセミナーといったリアル接点の稼働が増加したことが挙げられる。社会全体でリアル回帰の動きが強まっており、ダイレクトセリング業界でも同様のトレンドがみられるが、コロナ禍前と異なるのは、オンライン・オフラインを両軸とした施策がメーンとなっている点だ。先に挙げたポーラはその筆頭であり、①アプリなどのデジタル施策の積極活用、②リアル店舗への誘導、③販売員による対面カウンセリング&販売の3ステップが、従来のサロンビジネスに続く「次の一手」として位置づけられつつあるようだ。
四半世紀前のドア・ツー・ドアのような従来型訪販からサロンビジネスへのシフトは、業界全体に大きな影響をもたらした。では、現在起こっている業態改革もパラダイムシフトになる得るのか。大きく異なるのは、20数年前に比べて販売組織が高齢化し、営業力が低下している点だ。社会情勢も変化し、消費者の購買行動も当時とは異なる。従来型訪販からサロンビジネスへのシフトは、「訪販の見える化」という効果をもたらした。これに対し、オンライン・オフライン施策の展開は、多様化した消費者ニーズに柔軟に対応するというメリットをもつ一方で、訪販本来の強みである「人と人のつながり」をどのように訴求していくか、この点のハードルが高い。消費者に幅広い入口を用意し、最終的に販売員とのリアル対面に持っていく導線の確保が要となるが、これに関しては最大手のポーラも試行錯誤の段階にある模様。組織の強み、ブランドの強みをどう打ち出していくか、ここで各社の独自性が発揮されそうだ。
他のダイレクトセリング化粧品企業――シーボン、アイビー化粧品、ノエビアといった各社の直近業績をみると、バラつきはあるが全体としては回復基調にあるようだ。主な要因としては、コロナ禍で停滞したサロンでの活動や、イベントやセミナーといったリアル接点の稼働が増加したことが挙げられる。社会全体でリアル回帰の動きが強まっており、ダイレクトセリング業界でも同様のトレンドがみられるが、コロナ禍前と異なるのは、オンライン・オフラインを両軸とした施策がメーンとなっている点だ。先に挙げたポーラはその筆頭であり、①アプリなどのデジタル施策の積極活用、②リアル店舗への誘導、③販売員による対面カウンセリング&販売の3ステップが、従来のサロンビジネスに続く「次の一手」として位置づけられつつあるようだ。
四半世紀前のドア・ツー・ドアのような従来型訪販からサロンビジネスへのシフトは、業界全体に大きな影響をもたらした。では、現在起こっている業態改革もパラダイムシフトになる得るのか。大きく異なるのは、20数年前に比べて販売組織が高齢化し、営業力が低下している点だ。社会情勢も変化し、消費者の購買行動も当時とは異なる。従来型訪販からサロンビジネスへのシフトは、「訪販の見える化」という効果をもたらした。これに対し、オンライン・オフライン施策の展開は、多様化した消費者ニーズに柔軟に対応するというメリットをもつ一方で、訪販本来の強みである「人と人のつながり」をどのように訴求していくか、この点のハードルが高い。消費者に幅広い入口を用意し、最終的に販売員とのリアル対面に持っていく導線の確保が要となるが、これに関しては最大手のポーラも試行錯誤の段階にある模様。組織の強み、ブランドの強みをどう打ち出していくか、ここで各社の独自性が発揮されそうだ。