社説 デジタルは課題解決になるか
サロンなどのリアル拠点を展開する企業の多くが現在、従来のビジネスモデルの改革に注力している。コロナ禍を機に、それまで機能していた「地域の拠点に誘客してカウンセリング&販売する」というスタイルは、根強いファンを獲得する方策としては有用だが、そこに至るまでの導線の確保がより重要性を増している。多様化した価値観やライフスタイルに対応する施策として、各社がオンライン・オフラインの双方を活用した新たなアプローチの構築を急いでいる。
「コロナ禍という事態がなければ、この流れはもう少し遅れてやってきたのではないか」。ある老舗化粧品企業のスタッフはこう述べる。サロンビジネスは、2000年以前から数社が展開してきたが、その流れが本格化したのは2000年に入ってからだ。それ以降、約20年にわたって従来型訪販に変わる顧客接点として機能し、業界に定着してきたが、ここにきて状況が大きく変化した。コロナ禍という社会的な流れに加えて、それまでサロンなどの営業網を支えてきた販売組織の高齢化が深刻化。もっとも、販売員の高齢化については長年にわたって指摘されてきた課題だが、中核を担ってきた団塊世代の女性が第一線で活躍してきたこともあり、サロンビジネスの屋台骨が揺らぐことはなかった。が、現在は状況が一変し、団塊世代のベテラン販売員の引退がそれを加速させている。コロナ禍では消費者のEC利用が増加し、店舗に赴く機会が減ったことで、販売員と顧客のコミュニケーションのハードルが上がり、潜在需要の取りこぼしにつながった。現在はリアル店舗への回帰も進んでいるものの、すべての客足が戻ったわけでなく、消費者の価値観やライフスタイルの変化は不可逆的なものとみられる。
販売員の高齢化については、サロンビジネスだけの話ではなく訪販市場全体を覆う問題だ。日本全体で人手不足が叫ばれる中、訪販業界でも販売員の確保は最重要課題だ。長年にわたって販売組織を牽引してきた団塊世代が今後5~10年で大量離脱することは避けられず、刺したままではビジネスモデルの維持が困難になるのは必然と言える。この問題に対しての1つの解が、冒頭で述べたオンライン・オフラインの活用だ。従来型のサロンを展開しつつも、SNSやアプリなどのデジタルツールとリアル施策との連動を強化することで、このビジネスの強みである直接対面によるカウンセリング、販売につなげる取り組みは、ダイレクトセリング化粧品最大手のポーラをはじめ、各社が本格化させている。特にポーラでは、ECや百貨店、化粧品専門店といった新規チャネルを強化すると同時に、OMOを軸としたサロン網の構築を進め、包括的に委託販売チャネルの弱体化をカバーしようとしているが、今期にその成果が見られるのか、注目される。
「コロナ禍という事態がなければ、この流れはもう少し遅れてやってきたのではないか」。ある老舗化粧品企業のスタッフはこう述べる。サロンビジネスは、2000年以前から数社が展開してきたが、その流れが本格化したのは2000年に入ってからだ。それ以降、約20年にわたって従来型訪販に変わる顧客接点として機能し、業界に定着してきたが、ここにきて状況が大きく変化した。コロナ禍という社会的な流れに加えて、それまでサロンなどの営業網を支えてきた販売組織の高齢化が深刻化。もっとも、販売員の高齢化については長年にわたって指摘されてきた課題だが、中核を担ってきた団塊世代の女性が第一線で活躍してきたこともあり、サロンビジネスの屋台骨が揺らぐことはなかった。が、現在は状況が一変し、団塊世代のベテラン販売員の引退がそれを加速させている。コロナ禍では消費者のEC利用が増加し、店舗に赴く機会が減ったことで、販売員と顧客のコミュニケーションのハードルが上がり、潜在需要の取りこぼしにつながった。現在はリアル店舗への回帰も進んでいるものの、すべての客足が戻ったわけでなく、消費者の価値観やライフスタイルの変化は不可逆的なものとみられる。
販売員の高齢化については、サロンビジネスだけの話ではなく訪販市場全体を覆う問題だ。日本全体で人手不足が叫ばれる中、訪販業界でも販売員の確保は最重要課題だ。長年にわたって販売組織を牽引してきた団塊世代が今後5~10年で大量離脱することは避けられず、刺したままではビジネスモデルの維持が困難になるのは必然と言える。この問題に対しての1つの解が、冒頭で述べたオンライン・オフラインの活用だ。従来型のサロンを展開しつつも、SNSやアプリなどのデジタルツールとリアル施策との連動を強化することで、このビジネスの強みである直接対面によるカウンセリング、販売につなげる取り組みは、ダイレクトセリング化粧品最大手のポーラをはじめ、各社が本格化させている。特にポーラでは、ECや百貨店、化粧品専門店といった新規チャネルを強化すると同時に、OMOを軸としたサロン網の構築を進め、包括的に委託販売チャネルの弱体化をカバーしようとしているが、今期にその成果が見られるのか、注目される。
