社説 訪販ビジネスの行方は

 1面で報じているとおり、ポーラ・オルビスホールディングスの2025年12月期第3四半期では、主力のポーラブランドにおける委託販売チャネルの苦戦が全体業績に影を落とした。同じポーラブランドにあっても、ECや百貨店といった他の販売チャネルは売上増となっているほか、直販をメーンに展開するオルビスは引き続き好調に推移した。このことから、長年にわたってポーラを支えてきた委託販売チャネルが時代の岐路に立っていることは明らかだ。
 委託販売チャネルは、創業期からポーラの主力であり、現在においても6割近い売上構成比を維持している。同チャネルにおいては、2016年に、委託販売員の名称を「ポーラレディ」から「ビューティーディレクター」に変更したが、これは1つのパラダイムシフトを象徴する出来事であった。同じタイミングでブランドロゴを刷新したほか、ビジュアル「ポーラドッツ」を起用するなど、〝新しいポーラ〟の積極的なプロモーションを行った。その2年後の2018年12月期には、当時一斉を風靡したシワ改善美容液「リンクルショット メディカルセラム」のヒットを追い風に過去最高売上を達成しており、過去四半世紀におけるポーラの絶頂期だったと言っても過言ではない。
 翻って現在、コロナ禍で受けた大打撃からの回復に注力しているが、前述の通り、かつてブランドを支えてきた委託販売チャネルが、販売員の高齢化や消費者の価値観の変化など、さまざまな時代の流れの影響を受けて以前ほどの力を発揮できなくなっている。販売組織の営業力低下を補い、同時に潜在ニーズへアプローチするために、販売チャネルを横断した情報提供やサービスを行うシステム「ポーラ プレミアム パス(=PPP)」を構築したが、現在のところ、抜本的な問題解決には至っていない。
 人と人のつながりを最大の武器とするダイレクトセリングは、えてして属人的になりやすい。例えば、現場で営業活動に従事する販売員が顧客データを管理し、会社全体で共有できず効率的なアプローチが難しいというケースはよく聞かれる。対して、ポーラの「PPP」は、それらの属人的な要素を配してよりスムーズ、効率的にビジネスを展開する目的で構築されたものだ。とはいえ、このビジネスにおいては、〝属人的〟という言葉は必ずしもマイナスに働くものではない。戦後から高度経済成長、バブル期を経て、何度も荒波に晒されながらもダイレクトセリングや訪問販売と呼ばれるビジネスモデルが存続しているのは、決して少なくない顧客が〝属人的〟とされるつながりを求めているからに他ならない。
 ポーラが試みているのは、果たして〝属人的な要素〟の排除なのか、あるいはさらなる進化なのか。小林社長には難しい舵取りが求められている。

(2025年11月27日号)