社説 「消費者窓口」が不満生む矛盾

 日本訪問販売協会が運用する消費者相談室の「訪問販売ホットライン」。24年度の受付件数は前年度比で5年ぶりに増加した(前号4面参照)。ただ、これは、非会員に関わる「問題性なし」相談が二ケタ増となった影響が大。会員と非会員の「問題性あり」相談は前年度を下回り、過去10年の減少傾向が続いた。一方、「問題性あり」相談の中身を見ていくと、ここ数年は、企業の「消費者窓口」対応のミスマッチが苦情を生むという矛盾した状況が垣間見える。
 協会は、「訪問販売ホットライン」に寄せられた相談のうち、勧誘・契約締結プロセスや解約手続きに特定商取引法をはじめとする関連法規違反が疑われたりする相談を「問題性あり」に分類している。判断の基準は複数の項目による加点方式。主な項目は消費者志向、勧誘行為、説明、契約書面、誘引などで、各項目につき1点を割り振っている。1点以上がつけば、その相談は「問題性あり」に分類している。
 これら項目のうち、毎年度、もっとも多くの点数がついているのが、消費者に対する向き合い方を問題視した「消費者志向が不十分」。自主行動基準への抵触に加えて、「当時の世情、行政機関の取組・施策等」を考慮した「独自の基準」で評価している。「問題性あり」とされた会員に関わる事例47件のうち、26件が該当した。前年度の37件に比べると減らしたが、最多であることは変わらない。
 26件の内訳は、22件の「販社(事業者)の問題」が大半を占める(残りは販売員の問題)。そして、22件のうち10件は「消費者窓口の対応に問題」があったとする。
 報告書では、近年の傾向として「販社の顔とも言えるカスタマーセンターの対応に関する苦情が多く寄せられている」と指摘。「一方的に連絡を断つ」「社内で情報が共有されず消費者に混乱を招く」といった、スタッフの不適切・不誠実な対応を一因にあげる。同様の傾向は22~23年度の報告書でも指摘。22年度は「契約締結に直接携わる販売員よりも消費者窓口を担うスタッフの言動が問題視された事例が多かった」「確かに近年は不満を訴える消費者の声を耳にする頻度が増したとの実感もある」としていた。
 また、利便性を意図したデジタル型の対応も不満につながっているとする。チャットボット等の〝顔が見えない対応〟に「気後れする」「機械的で誠意を感じない」といった声が、デジタルに親和性の低い高齢者等から寄せられており、「従前からの対話での対応を好む傾向も窺える」という。協会は、人手不足等から効率性を求めざるを得ない企業側の内情も察している。しかし、そのすれ違いが無用な悪感情を生んでいるなら、改める検討も必要だろう。

(2025年12月4日号)