社説 組織あってのハイブランド

 2026年は、昨年の高市政権の発足を追い風に景気回復を進める機運が高まっている。一方、世界情勢の不安定化はさらに進み不透明さが増しているほか、足元の景気は決して楽観視できるものではない。2面でも報じているように、ダイレクトセリング化粧品分野では、最高級・最高峰クラスのブランドをテコ入れする動きが強まっている。市場の全盛期を担ってきたベテラン販売員が高齢化し、販売組織が縮小する中、顧客1人あたりの単価を挙げ、収益力の向上を図る狙いだ。化粧品市場は以前からコストパフォーマンス重視のセルフ市場と、美容に高い関心をもつコア層をターゲットとした高級・高価格市場が注目を集めてきた。コロナ禍を機に消費者の価値観が多様化した結果、コスパブランドとハイブランドの二極化がさらに進んだ。ダイレクトセリング化粧品企業としては、ハイブランド化に大きく舵を切ることは、ある意味正攻法と言えるが、課題も少なくない。
 昨今の化粧品市場の二極化は、ドラッグストアの多機能化と連動している側面をもつ。生鮮食品から医薬品、日用品と幅広い品揃えで来店を促すドラッグストアは、化粧品企業にとっても有力な販路の1つ。ダイレクトセリング企業においても、訪販組織とは別展開でセルフ市場に進出している企業は多い。ノエビアでは、セルフ化粧品部門の看板ブランド「なめらか本舗」は、化粧品事業の大きな柱となっている。コスパブランドと言っても消費者が求める機能性を盛り込んでいないわけではなく、トレンドに合わせた展開を見せている。これに対し、ノエビアブランドで展開する「スペチアーレ」や「505」は、美容に関心の高いコアユーザーをメーンに展開。高価格・高機能のハイブランドは収益力も高く、化粧品部門の重要な柱となっている。
 ダイレクトセリング化粧品において、ハイブランドを支えてきたのは強い営業力をもつ販売組織だ。ドア・ツー・ドアの従来型訪販からサロンでの対面販売と時代に合わせて形態を変えてきたが、ベテラン販売員の綿密なフォローという基本原則は変わらずにやってきた。かつてと異なるのは、そのベテラン販売員が高齢化によって次々と引退し、営業力の縮小が深刻な問題となっていることだ。一部企業では、販売員の世代交代が進み組織力の維持ができているが、老舗の多くが抜本的な問題解決には至っていない。ハイブランド化は、時代の趨勢を踏まえれば当然の流れではあるが、それを支えるだけの営業力がなければ、収益力の維持は容易ではない。
 ECの強化、新規市場への進出など、既存組織の縮小をカバーする施策は各社でみられるが、軌道に乗るまでまだ時間を要する見込みだ。予断を許さない状況は今年も続く。

(2026年1月22日号)