高杉社長に聞く「方針と戦略」(上)新規の購入条件を緩和 目標人数「十分に出せた」

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売上の減少 「率直に反省」
前期(19年3月期)の日本市場は売上目標に”フラット以上”を掲げたが2%減だった。
「売上の減少は率直に反省すべきだと考えている。事前にある程度予測がついていたのに、 効果的なアクションがタイムリーに取れなかったことも含めてだ」減収の主因は。
「昨年4月、ディストリビューター(ビジネス会員)の登録手順を見直したことが関わる。 従来は、メンバー(愛用/再販会員)として登録後、1人以上のメンバーを紹介しないとディストリビューター になれなかったが、未登録の状態から直接なれる仕組みを入れた。この直接登録の条件に、 4~5万円からする製品パックのオートシップ注文を求めたことが、 登録やその後のビジネス活動のハードルを高めた(※1)。 直接登録の導入は18年1月にフィールドにアナウンスしたことで、私自身も今のシャクリーには必要な仕組みと思う。 が、主婦層の多い会員の属性や登録までのアプローチ、登録後のスキルセットといった課題への対応が十分でないまま、 金額的に高いハードルを課したのは早計だった」結果的に新規が減った?
「数もそうだが、新規のディストリビューターが自分自身でもスポンサリングを行い、 ダウンラインを広げていく行動にブレーキがかかった。目指したのはディストリビューターの新規と、 それ以上に”エンローラー”として活動を続ける会員の数。そこが思惑通りにいかなかった」
エンローラーとしての活動が期待ほどに見られなかった理由は。
「登録したばかりのディストリビューターにとって一番重要なのは、 登録翌月もしくは翌々月にボーナスという収入があること。同時に、このパックで登録した甲斐があったと、 登録後3カ月以内程度で感じることができなかったら、その後はエンローラーとして動こうとはしないし、 アップラインとの関係にも影響する」
クオリティより数「優先すべき時期」
前期は6月に約2%の製品値上げを行った。売上への影響は。
「値上げは生産コストの一部としての原料輸送費の高騰が一番の理由。これ以上の据え置きは難しく、致し方なかった。 その点は会員の方々にも理解が得られたようだ」
今年3月、登録条件をもう一度見直し、1万円以上の製品注文でも登録を可能とした。 「ハードルを高めていたパックを購入せずとも登録できるようにした。メンバーの登録も、申請と同時の製品購入は求めず、 登録後いつでもお好きな時に注文していただければよいようにした」
どちらの登録条件も8月までの期間限定としてきた。9月以降は。
「永続制度として恒久化する。従来の条件はディストリビューター登録料(2160円)を除き、終了する。 メンバー登録後、新規のメンバーを紹介してディストリビューターに移行する仕組みも終了する」
半年間運用して成果が得られたからか。
「予想通り良い数字につながっている。初めから正式な制度としてスタートしてもよかったが、 本国にも十分納得してもらった上で導入したかったため、テスト期間を取った」
3月以降の登録状況は。
「新規のディストリビューターの数は前年同期の倍以上。目標としていた数はこの半年で十分に出せた。 メンバーの新規も倍とはいかないが増えている。構成比でいうと、新規全体の3割がディストリビューター。 かつては1割に満たず、エンローラーや『スーパーバイザー(以下SV)』の成り手が乏しかったことを考えると好転した。 一方で、パックを購入しなくても登録できるようにしたため、新規登録ディストリビューターの 月間平均購入額は前年同期より下がったが、今はクオリティより数を優先すべき時期」
登録後、スポンサリング活動に取り組むディストリビューターの数は。
「非常に増えた。当社でエンローラーと見做すのは、月に1人以上、メンバーかディストリビューターを紹介なさった会員。 紹介を出した会員の平均値は月1・2人~1・5人。登録から半年間は少なくとも毎月1人を紹介していただき、さらに、 紹介された方も毎月1人を紹介、また次の方も毎月1人……が理想と考えている」
既存ボーナスにプラスアルファ
活動を支援するインセンティブは。
「実施している。14年から『ファストトラック(以下FT)』という早期昇格プログラムを運用してきたが、 新規の参加受付を3月末で終了した(参加済み会員のための運用は継続)。この『FT』と入れ替わる形で4月から、 『ワン・モア・ボーナス(以下OMB)』プログラムを導入し、『SV』昇格や育成、スポンサリング数、 紹介した新規ディストリビューターの購入額に応じて特別ボーナスを支給している」
現場の反応は。
「目指すタイトルに届きそうで届かなかった会員の後押しになれば、という趣旨が大きかった。内容も、 『SV』昇格や育成に応じて支払うボーナスは、コンペンセーションプランにある『昇格ボーナス(※2)』、 『育成ボーナス(※3)』と条件は同じ。会員にすれば、 それら既存ボーナスの条件を達成したらプラスアルファがつくという感覚で受け止めているだろう。一方で、 新規獲得という点では、新規登録したディストリビューターの初回購入額が1万5000円以上であった場合に 3000円が支払われる『ファーストステップボーナス』が、一定の成果に結びついたと思う。 3月以降、ディストリビューターになるには1万円の購入でよいところ、実際の平均購入額が1万5000円を超えたのは、 このボーナスが意識されたからだろう」
「OMB」も8月までの期間限定でやってきた。今後は。
「今後のプランについては、現時点では未定」
((下)に続く)
※1…ディストリビューターへの直接登録は3万BV(会員価格で約3万円強)以上の製品購入でも可能。 ※2…新「SV」昇格後、3カ月間の平均パーソナルグループBV実績が35万以上で5万円を支払う。「OMB」は同条件か、10人以上の新規紹介で10万円を支払う。 ※3…「昇格ボーナス」を得た新「SV」を育成し、自身の3カ月間の平均パーソナルグループBV実績が35万以上で10万円を支払う。「OMB」は同条件で5万円を支払う。