DS業界の「影響」は? 新型コロナウイルス問題 イベント延期・中止、集客の自粛が拡大感染防止ニーズ受け衛生アイテムは受注増

第1弾調査・33社の回答集計
 中国での発症確認後、またたくまに世界中に広がった新型コロナウイルスの感染問題。国内のダイレクトセリング業界では、2月の頭からMLMを中心にイベント等の延期、 中止が相次いだところ、2月25日の政府の対策基本方針発表などを受け、感染リスクを避けるため各社が事業活動そのものの見直しを余儀なくされている。 このため本紙は3月4日~16日、電話・メールで各社における感染問題の「影響」「対策」を調査。33社の回答をまとめ、その第1弾として各社の影響をまとめた (グラフは各社の回答内容から該当する影響を本紙が抽出、次号で第2弾として各社の対策を予定)
 回答を得た33社中、最多の32社で影響を生じていたのが「イベント・各種催しの延期・中止」。ほとんどの会社が3月中の会社主催セミナー等の中止を決定。 4月以降の開催分の中止等を決めたケースも複数あった。
 日本アムウェイは4月10日までに予定する会社主催のセミナー、室内・街頭イベント、海外ツアーなど計8種類の延期、中止を決定。延期したのは3月20日に本社で開く予定だった 「ニューSPフォーラム」(5月23日振替)。中止は3月12日~17日のマイアミ招待ツアー、同16日~21日のブエノスアイレス招待ツアー、 同16日~4月10日に11都市で予定した新製品セミナー、4月4日~5日のコスメ新製品のポップアップイベントなど。
 フォーエバーリビングプロダクツジャパン(以下FLPJ)は、3月末まで会社主催の全ての会と、本社および地方拠点のセミナールーム貸出の停止を決定。 3月26日の「ジャパンラリー」は中止か振替を検討中とした。4月から始まる「グローバルラリー」、5月の「ふるさとセミナー」は中止する。
 ナチュラリープラスは、上位ボーナス権利達成者の表彰のため隔月開催する「スピリットアワード」の3月分の延期を決定。ライフバンテージジャパンは2月26日の表彰イベントを中止。 参加権利を6月の次回開催分に持ち越した。
 タイセイは30人以上の規模のミーティングを中止。状況に応じて4月も継続する。3月末に予定した、100人規模の福岡本社招待旅行は無期限の延期とした。
 2月22日に全国大会を開催したエックスワンも3月のセミナー中止を決定。大会で発表した、3~7月に4都市で行う新ビジネストレーニングは、3月の第1回開催分を4月にずらす。
 毎月、静岡の製造工場の見学会を行ってきた日本シャクリーは、参加受付を無期限で停止。丸八ホールディングスは、本社ビルの催事場で毎月開催している落語会「新横浜コットン亭」の 3月分を中止した。NIKKENは3月12日に経団連会館で開く磁気健康科学セミナーを中止した。
 訪販系はシーボンが、3月10日に予定していたフェイシャリストの表彰・慰労を目的とする年間イベントを延期。全国のスタッフが集まる本社会議・講習、大型の集客イベント、 学会への参加も取りやめた。エフエムジー&ミッションは2~3月だけでなく、6月までの営業関連イベント全ての中止を決めた。
 4月以降に予定されていた大型イベントは、モデーアジャパンが4月26日のパシフィコ横浜での大会中止を決定。 同28日~29日に横浜アリーナで全国大会を予定したニュースキンジャパンも中止を決めた。3月開催分の中止は、東京ドームシティホールで2日間の大会を予定したサンクスアイ、 神戸国際展示場で3日間を予定したヤングリヴィングジャパンインクが決めている。
 各国が渡航制限に踏み切る中、海外から来賓を招く催しの中止も頻発。ゼンノアジャパンは米本社CEOと社長が参加を予定し、計700人の参加を見込んだ3月7日からの5都市ツアーを中止。
ネオライフインターナショナルが中止した同18日~22日の4都市ツアーは、米本社の科学者によるアカデミーを予定していた。
 国内資本・老舗訪販A社は米国、香港、シンガポールでの展示会への出展を見合わせた。
500人以上で自粛
 影響は販売現場にも及び、「販売員の営業活動縮小、会員によるセミナー等の自粛」は4割にあたる14社が該当。対面営業が困難なことに加え、 会社による自粛、感染防止配慮の要請に応じる形となっている。
 国内資本・新興連鎖販売B社は4月まで、会社だけでなく会員にもセミナーの自粛を要請。国内資本・中堅連鎖販売C社は、「顧客訪問やミーティングを自粛。 勉強会や試飲等の営業活動に支障が出ている」とした。
 自粛等を求める集客の規模は各社で異なり、ナチュラリープラスは「500人以上の場合に自粛もしくは開催時の注意喚起をお願いしている」。 ただ、実際は500人に満たない規模でも「中止を決める方がほとんど」という。アムウェイも500人以上の規模は中止か延期を依頼。 それ未満でも100人以上の場合は延期かオンライン会議への変更の検討を求める。イオスコーポレーションは「5~10人程度のお茶会、ミーティング」で自粛を要請。 日健総本社は「数十人以上の催し」で自粛あるいは感染対策を求めている。
 訪販系はオッペン化粧品が、「イベントやBコラボ等、不特定多数の新規の方と出会いが考えられる活動を極力避ける」との方針から、現場に対して既存客のフォロー、 業務習慣の見直しなどを推奨している。
テスターやデモ、休止
  次に多かったのは「接触型顧客サービスの内容変更・一時中止、試用品提供の一時中止」で、3分の1の10社が該当。訪販A社が 「お手入れ、メイク、マッサージは顧客の了解がなければ実施しない」としたほか、国内資本・大手連鎖販売D社も「サロンでのお客様の肌に直接触れる接客は中止している」とした。
 試供の休止も目立ち、外資・中堅連鎖販売E社が「ショールームで化粧品類のテスターを当面中止」、エックスワンが「サロンでのテスター(メイクアップ製品など)提供を一時中止」とした。 シャクリーはカウンター等での試飲、化粧品テスター、飲料水の提供を休止したほか、「ビューティセミナーでのスキンケア・メイクアップレッスン、デモの中止」も決定。 デモ関係は、ニュースキンやアムウェイもショールームにおける肌カウンセリングや試供品貸し出し等を取りやめた。
店舗、サロンを休業
 7社が該当した「ショールーム・サロン等の拠点の営業時間変更・一時休業」は、政府による全国小中高校の休校要請の影響で、シーボンが一部店舗における臨時の時短営業、休業に着手(3月 11日時点では対象店なし)。アムウェイは、道内に緊急事態宣言が出された札幌市のショールームで、3月20日まで、会議室とキッチンエリアの利用休止を決めた。 各店の喫茶スペースも営業開始時間を1時間遅らせ11時からに変更した。
 このほかナチュラリープラスが3月中の東京・大阪サロンのセミナールーム利用を休止。ライフバンテージも3月いっぱい本社サロンの休業を決めた。
 「コールセンターの営業時間変更」は6社が実施。多くは時短営業の形を取り、ゼンノアが通常より1時間短い11~18時で営業するほか、 ライフバンテージがカスタマーサポートとセールスの対応時間を10時45分~15時30分に短縮。アムウェイは3月21日まで、通常9時の営業開始を10時としている。
除菌・抗菌製品が売り切れ
 販売動向に関して「特定製品の受注件数の変動」が見られた会社は6社。感染防止ニーズの高まりを受け、アムウェイでは「除菌・消臭スプレー」やマスクをはじめとする 一部のホームケア製品に在庫切れが発生。当該スプレーは当面、注文可能数を1人1個に制限すると告知した。
 エックスワンは、卸事業で限定取り扱いを準備中だった消毒ハンドジェルを会員にも案内したところ「すぐに売り切れた」。  ゼンノアは、昨年秋に発売したオーラルケア製品の「STERIORA(ステリオーラ」の2月販売数が「1月に比べて170%」に増加した。
 連鎖E社はマウスリンスの注文が「通常の推移より大幅に増え、急遽、追加輸入を実施」。ヤングリヴィングは、抗菌作用の強いエッセンシャルオイル等の製品が2月で売り切れ、 「再入荷後も1000ユニットの製品が5分で売り切れる」といった現象を生じている。
 アトコントロールは、親メーカーから特別供給を受けている「季節関連化粧水の出荷が増えている」。メーカーは3月上旬、新型コロナウイルスを不活性化するダチョウ抗体スプレーを開発、 関係医療機関へ提供を始めると発表しており、同社でも取り扱いを検討する。
需要急増、納期に影響
 一方、「製品の在庫不足・品切れ、納期・発送の遅れ」も4社で発生。
 アムウェイは4月7日を予定していたコーヒーメーカーの発売延期を決めた。住設訪販のメッドコミュニケーションズ(以下メッド社)は、 「水回り品のトイレやIHクッキングヒーターは厳しい部分もある」。他のヘルスケア商品、塗装、リフォームなどの提案で対応する方針を話す。
 TIENSJAPANは現時点で影響はないものの、「資材調達が遅れたり国内メーカーへの移行が進んでいる」「一部の国内生産容器が買い込み需要の影響でリードタイムが長くなる予想」 と回答。国内資本・古参連鎖販売F社は「一部の資材が中国製のため、納入時期の見通しがつかない。対応策を検討中」とした。
収益への影響で明暗
 7社が該当した「収益へのプラス・マイナスの影響」は、訪販A社が「販売店の売上、業績に徐々に影響が出ている」、 メッド社が「アポイント(の取得)が5%ほど下がってきている」とコメント。TIENSは「濃厚接触を防ぐための配慮、営業自粛など制限が多く、売上への影響は否めないと予想する」とした。
 連鎖C社は「1月は売上 注文数、新客獲得で大苦戦した。2月は会員が落ち着きを取り戻して前年並み。ただ、3月現在は積極的な営業活動をやりづらい状況」、 連鎖F社も「対面営業が中心のため新規顧客の獲得が減る見込み」とし、各社の苦慮が窺える。
 一方、FLPJは「2月のキャンペーンの成功と健康への関心が高まった相乗効果で、2月の売上は対前年増」とコメント。ヤングリヴィングは「売上の詳細は控えるが好調」とした。