DS業界の「影響」は? 新型コロナウイルス問題 オンライン会議・セミナーを推進 特例措置は期間延長、送料無料など

第2弾調査・33社の回答集計
 新型コロナウイルスの感染拡大を避けるため、イベント等の延期・中止や営業活動の縮小・自粛を余儀なくされているダイレクトセリング業界。各社の「影響」をまとめた第一弾(3月20日号1面) に続き、今号の第二弾では「対策」に焦点をあて、回答を得た33社の取り組みをまとめた(調査は3月4日~16日に電話・メールで実施、 グラフは各社の回答内容から該当する対策を本紙が抽出・集計)
時差・時短、実施7割
 回答を得た33社のうち、7割の23社で取られていた対策は「時差出勤、時短勤務、営業時間変更・短縮」。従業員が通勤等に利用する、公共交通機関のラッシュを避けた出退勤の奨励が多い。 奨励する部門がコールセンターの場合に電話受付の開始時間を通常より遅らせるといった、営業時間の変更・短縮も目立つ。
 次に多かった「マスクの着用・配布、消毒・殺菌薬の設置、その他の感染防止対策」は20社が該当。マスクの着用を従業員に奨励し、サロン等で接客の際も着用させるケースが見られた。
 オッペン化粧品は本社でマスクの在庫を用意し、必要な場合の連絡を周知。アトコントロールも「社内にマスクを常備」しているとした。
 一方、顧客応対時にマスクを着用させているメッドコミュニケーションズ(以下メッド社)は、「マスク不足で必ずしも全員が付けられるような状況ではなくなってきた」とした。
 社内でのアルコール剤等の設置も見られ、出勤時などに手指の消毒を徹底させているケースが多く見られた。
 他の対策は、サンクスアイが出勤時の検温を実施。シーボンも「毎日の検温」を実施するほか、「全スタッフに対する渡航調査」を行ったとした。
直行直帰を奨励
 16社が該当した「出張や外部催し参加の自粛、会社来訪者への要請・依頼」は、出張に関し、不要不急あるいは宿泊を伴うケースで取りやめているとの回答が多く寄せられた。 アトコントロールは、会員主催の会合にスタッフを派遣することも「原則、断っている」とした。
 サンライダー・ジャパン・インクは外部からの来訪について、「なるべく事前に知らせていただくように留守電に入力し、来社の際はマスク着用で対応」とコメント。 フォーエバーリビングプロダクツジャパン(以下FLPJ)も、来客者に感染防止対策への協力を依頼しているとした。
 モデーアジャパンは出張や外部研修への参加、来客の自粛に加え、「直行直帰を奨励し、飲み会等の集まりは当面控えるようお願いしている」とした。
札幌でテレワーク義務化
  時差出勤等と組み合わせた実施が多く見られた「テレワーク、在宅勤務、休暇取得奨励」は、11社が該当。在宅勤務の可能な職種や一斉休校にともない在宅が必要なケースでの採用が目立つ。 日本シャクリーは「リモートワークのための制度とツールを配備し、業務の生産性と支障の有無を5部門で試験的に検証」しているとした。
 緊急事態宣言が出された北海道(3月19日解除)に拠点をもつゼンノアジャパンは、「札幌営業所のスタッフは道内の状況を踏まえて完全テレワーク」とした。
 従業員にテレワークか時差出勤を選んでもらっているシナジーワールドワイド・ジャパンは、前者のケースで「毎日の検温と体調の会社への報告を義務付けている」とした。
 休暇制度の利用は、オッペンが「休暇の申請は特別有給休暇として申請」する仕組みを実施。モデーアは「休暇取得を奨励」しているとした。
ZOOMを活用
 テレワークや営業活動の縮小・自粛に伴い、「オンライン会議・セミナーの実施」に着手した会社は社。このうち、オッペンは3月に予定していた「BI(美容)会議を中止し、 一部をWEBで実施」したほか、エリア長・支店長会議も中止の上、WEB会議へ変更。さらに「全支店・部門の電子会議室作成と活用を図る」とした。ニュースキンジャパンは「顧客や取引先、 社内拠点間での打ち合わせは可能な限りZOOMを利用する」とした。
 3月~4月上旬のセミナー、室内・街頭イベント、海外ツアーなど計8種類の延期・中止を決めた日本アムウェイは、 当初より中継を予定していた美容スキルアップセミナーのライブ配信を公式インスタグラム上で実施。3月発売の新サプリメントの記念セミナーは上位会員限定公開のライブ配信(3月25日) に切り替えた。3月中旬に予定した海外ツアーも、渡航先の米マイアミでのビジネスセッションを限定公開配信した。
 3月の全イベント、セミナーの中止・延期を決めたヤングリヴィングジャパンインクは、以前より行ってきたZOOMによるセミナーを推進し、 「先日のZOOMセミナーは1日で900人が集まった」。ゼンノアも、米幹部が来日して5都市で予定したツアーをZOOMによるオンライン配信に切り替えた。
 4月26日のパシフィコ横浜での大型イベントを中止したモデーアは、予定した内容をライブ配信に転換。「リアルなイベントは重要かつ必要だが、数年前からデジタルイベントの実績がある。 変更の影響はそれほどない」とした。自社システムでウェビナーやeラーニングの体制を整えるナチュラリープラスも、会員による事業説明会などの配信を推進している。  このほかFLPJ、ネオライフインターナショナル、イオスコーポレーション、エックスワンが中止・延期イベント等のオンライン配信を準備しているとした。
ポイント1.5倍に
 同じく14社が該当した「販売促進政策、営業面での特例措置」は、アジアインセンティブの実績対象期間と重なったサンライダーが「米国本社によるリクルートサポートとして、 期間限定で通常獲得ポイントの1.5倍の付与」を実施。感染予防に役立つと考えられる各種製品のキャンペーンも展開する。
 特例措置はモデーアも、化粧品のデモ数を競う〝デモチャレンジ50〟キャンペーンの実績対象期間の延長に個別対応するとした。本社サロンカウンターの当面の休業を決めたシナジーは、 カウンターに注文書提出用のトレイを用意。トレイ経由の注文は後日、送料無料で配送する。
 販促政策は、シーボンが「毎年2月に開催している製品増量キャンペーンの期間延長」に着手。日健総本社は「免疫力を高める微細藻類応用商品の勉強会、啓蒙活動」を行っていく。
 タイセイは東京サロンの来場者に自社のミネラル回帰水ペットボトルを配布。ゼンノアは3~4月、コロナ問題を受けて受注が増えているオーラルケア製品を%割引で提供する。 オードビー・ジャポンは人気サプリメントのキャンペーンを検討する。
一斉休校で人手不足
 「製品・原料調達や製品配送のための取り組み」は、該当した6社のうちシナジーが「製造遅延の可能性がある中国製の容器と販促品について、まめに業者と連絡を取り、 通常より長いリードタイムを見越した早めの発注で調整している」と回答。加えて、一斉休校の影響で物流の委託先において出勤可能なスタッフの数が減り、「出荷遅延の恐れがあるため、 顧客向けに配送遅延の可能性を案内した」とした。
 休校による人手不足の影響は他社でも見られ、モデーアが「休校のため、一部の国内のOEMサプライヤーと契約倉庫において、スタッフの確保に懸念が出ている。 サプライヤーには早めに発注の内示を出して生産の準備を進めてもらっている」とした。
 このほか、季節関連化粧水の注文が好調なアトコントロールが「在庫を切らせないようメーカーに随時発注」しているとした。
車使用、アポ延期
 5社が該当した「その他の対策」は、日健総本社が感染予防のため従業員に「公共交通機関の利用を減らして車を使用」することを奨励。シーボンは「既存顧客に通販の利用を案内」しているとした。
 休校関連の対応は、メッド社が「休校で子供が家にいるため『訪問を控えてほしい』というお声もある。その場合はアポイントの延期等で対応している」と回答。サンクスアイは、 熊本本社の中に「(従業員の)子どもが使用できるスペースを準備」した。