ニュースキン 新型コロナ対応に全力 中止の全国大会、開催日にライブ配信へハンドジェル受注急増、米本社が増産体制

 新型コロナウイルスの感染拡大問題で、緊急の対応を迫られている国内MLM業界。大手の一社であるニュースキンジャパン(東京都新宿区、小林和則社長)は、 4月下旬に予定していた全国大会を中止しライブ配信へ切り替えるとともに、一部製品の受注急増を受けてグループ企業による生産・供給体制の強化を急いでいる。 前期(19年12月期)は6期ぶりの増収を達し、今第1四半期(20年1~3月)も新規登録等のKPIが好調。上昇トレンドに対するコロナ問題の影響を可能な限り 抑えるため全力を尽くしている。
中止の横アリ大会 Youtube配信
 新型コロナウイルス問題で、国内MLM業界がまっさきに影響を受けたのが各種のイベントやセミナーだ。
 2月上旬の開催分から延期・中止に踏み切るケースが相次ぎ、4月28日~29日に横浜アリーナで全国大会を予定していたニュースキンも、3月10日に中止決定を告知した。 同アリーナを使ったイベントは3年ぶりで、17年4月の前回は1日あたり約8000人が来場。年間最大の催しであり、新規事業政策や大型製品の発表、 成績優秀会員の表彰などを予定していた。
 しかし、単なる中止ではなく、予定していた内容はYoutubeライブによる配信を行うことに切り替えた。「L!VESTREAM2020《と題し、 大会2日目に当たった4月29日に予定。専用のスタジオから各種政策のお披露目、表彰などを実施する。
 このようなオンラインシフトは、リーダー候補育成トレーニングの「ネクストセミナー《をはじめとする会社主催セミナーでも着手。 数年前からZOOMによる開催を積極的に進めてきていた関係で、スムーズな移行につながっており、フィールドでもZOOMを通じたミーティングがさらに広がりを見せているという。
各種サプリメントの需要も増加
 同業他社と同じく、除菌・殺菌関連アイテムの注文も大幅に増えている。
 ニュースキンの場合、それがもっとも顕著な製品が、エタノール配合の手肌用ジェルの「ハンドサニタイザー《(100㍉㍑、オートシップ価格1725円)。 発売から年以上が経つホームケア関連の定番アイテムの一つだが、「爆発的な売れ行き《(小林社長)により2月中旬までに在庫切れを発生。 現在は会員IDあたり月毎の受注制限をかけている。
 また、感染予防へのニーズが高まる中、ベースとなる体調維持等を目的とする各種サプリメントの需要も増加。中でも、緑茶葉抽出ポリフェノールが豊富な 「ティグリーン《や、ブラジル産プロポリス飲料の「プロポリス《が人気となっている。
 発売は「ティグリーン《が年、「プロポリス《が年。「『ライフパック』等の主力に比べると出る量は少なかった《(小林社長)ものの、 コンスタントに売れつづけてきたロングセラーに改めて注目が寄せられている形だ。
傘下メーカー2社「在庫を積み増し
 さらに、急増する注文に応じられるだけのサプライチェーン強化も求められている。
 このため、米国本社の主導ですでに増産に着手。「今のところ、急に在庫が足りなくなって、供給が長期間滞るような状況になるとは考えづらい《(小林社長)とする。 増産の要となるのは、グループ会社である米メーカー2社だ。
 米国本社は数年前、新たな成長分野の開拓などを目的に戦略的投資事業を担う「Rhyz《社を設立。ここを通じて18年に、サプリメントやスキンケア、 パーソナルケアの開発・製造会社である「エレベート・ヘルス・サイエンス《(米ユタ州)と「ワサッチ・ラボ《(米ユタ州)を買収している。
 完全子会社として傘下入りした2社は、グループ外部とも取引を行い、年実績で1億2200万ドルの外部売上を計上した余力を持つ。 この2社を中核に「急ピッチで在庫を積み増している《(小林社長)ことから、今後の安定供給を見込む。
▲サプライチェーン強化のため、米本社が18年に買収したメーカー
2社を中核として増産に着手(写真はワサッチ・ラボ社のサイト)
1~3月の新規登録「2ケタ増《
s  一方、コロナ問題の業績面への影響は、3月末時点において、マーケットにおいて懸念されている水準に比べると抑えられている様子だ。
 直近の第1四半期(20年1~3月)は、売上高は未集計なものの、KPIの一つである新規登録数は昨年月以降の「対前年比2ケタ増《(同社)を維持したまま推移。 ビジネス会員の育成状況の目安となる〝LOI〟数も同じく2ケタ増だった。2~3月は、業界でも多くの会社がコロナ問題の影響を避けられていないが、 ニュースキンの場合、昨年第4四半期(19年10~12月)に活性化したフィールドの勢いが持続されたことが大きかったという。
 背景に指摘できるのは、「サクセストリップ(以下ST)《と呼ぶ海外インセンティブ企画の奏功だ。昨年より、「ST《よりも参加条件を緩和した 海外トレーニング企画として「サクセスアカデミー(以下SA)《をスタート。韓国・仁川で7月に初開催した「SA《は、ビジネスセッションやワークショップなどを開き、 日本から1000人以上が参加し、9月のフランス・パリでの「ST《に勢いをつなげた。
4月トリップ延期本社移転、秋予定
 この成功もあって、前期(19年12月期)の売上高は円ベースで「約2%増《(小林社長)を達成。増収は年月期以来6期ぶりで、上昇トレンド回帰へ弾みをつけていた。
 ただ、今期(20年12月期)の「ST《「SA《についてはコロナ問題の影響を避けられず、4月9日~日の渡航を予定していたベトナム・ダナンでの「ST《は、 3月中旬までに延期を決定。振り替え日程等の詳細は、社内で「協議、調整を進めている《(同社)とする。6月に台湾・台北で予定している「SA《の開催の有無は 「4月下旬を目途に告知する《(同社)方針という。
 昨年より進めていた、本社を東京・虎ノ門に移転する計画は、3月末時点で秋を予定。新オフィスは、現在建設中の「虎ノ門グローバルスクエア《に構えられ、 物件は地下鉄虎ノ門駅に直結。利便性やアクセスが向上する見通しだ。
 現オフィスに併設のショールーム「エクスペリエンスセンター《は、東京・表参道のビル1棟を借りあげて移転。体験・体感機能のアップなどを図り、 初夏のオープンを目指している。