19年の特商法 事犯検挙状況被害額4割減の27億、過去5年で最少被害 人数も4割減、訪販関連が6割台

 警察庁がまとめた2019年(1―12月)の生活経済事犯検挙状況によると、特定商取引法違反で検挙した「特定商取引等事犯(関連の詐欺、 恐喝等含む)《の被害額は前年比4割減、過去5年間で最少額だった。被害額の6割が訪問販売関連。被害人員数も4割減で、 こちらは7割近くが訪販関連だった。
 被害額は27億350万円で、前年比は40.4%減。過去5年は15年の約109億円がピークで、同年の4分の1まで縮小した。 15年は、被害額約73億円の学習教材訪販「アーサー教育社《検挙で金額が押し上げられた。
 被害人員数は3万7849人で、同39.7%減。過去5年は、6万2734人でピークだった18年に次いで2番目に多かった。
 検挙状況は、事件数が同12件増の132件、人員数が同3人増の230人、法人数が同4社減の20社だった。
 特商法の7取引類型毎の検挙状況は、もっとも多くを占めた訪問販売事犯で被害額が16億6627万円、被害人員数が2万5918人。 特商法検挙全体における構成比は、被害額で62%、被害人員数は68%を占めた。前年比は被害額が20.3%減、被害人員数が51.4%減。
 訪販の次に検挙が目立った取引類型は電話勧誘販売で、被害額が7億5998万円(前年比55.9%減)、被害人員数が2522人(同59.6%減)。 訪販と電話勧誘の2類型で、被害額全体の9割を占めた。
 なお、出資法や金融商品取引法、無限連鎖講防止法違反等の利殖勧誘事犯は被害額1037億9134万円で、前年比が3.1倊と急増。 被害人員数も同14.8倊の8万4150人と大幅に増やした。被害額ベースで5割を集団投資スキーム(ファンド)関連が占め、 459億円の被害を生んだ「テキシアジャパンホールディングス《の投資詐欺・出資法違反事件などで押し上げられた。
 特商法等事犯の19年の主な検挙事例は以下。
【電力小売の訪販(京都県警)】 
18年9月~19年4月、大手電力会社との契約プランの変更だけであるかのように装い、 「変更してもらえば料金が安くなる《「請求元だけが当社に変更となるだけ《と説明して、19都府県の約7200人と電力小売の新規電力供給契約を締結した。 9月までに代理店役員など2法人の8人を上実告知で検挙。
【仏像の送り付け商法(滋賀県警)】 
18年1月~19年2月、高齢者に電話をかけて「注文を受けていた観音様ができたのでお届けします《などと 嘘を告げ、仏像を送り付け。全国の104人から約4400万円をだまし取った。6月までに会社役員など1法人の5人を組織犯罪処罰法違反 (組織的詐欺)等で検挙