「新規増加」の背景に オンラインシフト コロナ下のMLMマーケット

 一連の新型コロナウイルス感染拡大問題を受け、MLM業界において真っ先に懸念されたことの一つが、新規登録への影響だろう。商業店舗の営業自粛のみならず、 人との間に一定の距離を取るソーシャルディスタンシングが奨励される中、対面や会合への参加も避けられておかしくないためだ。 一方、業界各社の間では、ZOOM等のTV会議システムを活用し、リクルートやセミナー・ミーティングをオンラインで行う動きが加速。 除菌・抗菌系アイテムや健康食品に対するニーズの高まりも背景に、新規増加を生じるケースも出てきている。

モデーア 4月のビジネス登録、前年比アップ オンラインセミナー盛ん 休眠客が購入再
 モデーアジャパン(東京都港区)は4月の新規が好調に推移、ビジネス会員にあたる「ソーシャルマーケター」の登録が前年を上回った。 コロナ問題以前より推進してきたWEBマーケティングや会員によるオンラインミーティングの取り組みが奏功したほか、 売上も休眠客による購入再開等で押し上げられた。
 3〜4月は各月とも前年を上回る新規登録を達成。コロナ問題の影響がまだ抑えられていた3月は、美容液のフェイスデモキャンペーン 「デモチャレンジ50」を通じ、愛用会員である「カスタマー」の新規が増えたことが大きく、前年比で「20〜30%増」(大井盛夫社長)の愛用登録につながった。
 その後、政府の緊急事態宣言などを受けて影響が拡大した4月は、愛用登録が抑えられたものの、ビジネス登録は増えて前年実績を上回った。 対面の勧誘が難しくなる一方、ZOOMを使ったオンラインセミナーを会員が開き、ここからの登録が増加した。
▲「エキナセア」(=写真)などの健康食品や
    除菌関連アイテムのニーズも受け、
    3〜4月は売上も前年を上回った
 同社は2年ほど前より、フェイスブックなどの各種SNSや動画を駆使したWEBマーケを推進。「トライ&エラーを続けてきた結果、40歳くらいまでの 会員は当たり前にZOOMを使い、主婦層の方などの多くも慣れていた」(大井社長)ことから、比較的スムーズなシフトが図られつつある。 日本よりオンライン活用で先行する米国本社は、3〜4月の新規で「過去最高」(同)を達成したという。
 日本は月次売上も、3〜4月は前年同月を上回る好調。新規の注文や既存会員の購入ボリューム増加が貢献したもので、製品はエキナセアなどの各種健食、 ハンドソープの受注が好調だった。さらに、休眠客による購入の再開も大きく寄与。「1年以上購入をしていなかった会員が、 3月は普段の月の倍以上、戻ってきてくれた」(同)。「こういう時だからこそ、より安全な製品を求める方が増えている」(同)と分析する。
ヤングリヴィング 新規40〜50%増、動画でEオイル提案TV会議サービスを割安で提供
 エッセンシャルオイル(以下Eオイル)MLMのヤングリヴィングジャパンインク(東京都新宿区)は3月以降、新規登録が大幅に増加している。 前年同月比で「3月が40%増、4月が50%増」(黄木悠支社長)を記録。5月も中旬時点で50%増を継続しており、 「オンラインの活動で毎月10〜15人の紹介を出している会員もいる」(同)という。
 活動の一例がSNSの活用で、フェイスブックやインスタグラムに同社のEオイルを使った石鹸づくりの動画などを投稿。関心をもった閲覧者からEオイルの 購入方法などを問い合わせられるケースが増え、希望者にZOOMで対応している。 画面越しに、石鹸づくりに一緒にチャレンジしてもらうといった試みも広がっている。
▲前年比30%増となった4月売上は、
抗菌ニーズに応える「ヤングシーブス」
ラインの受注拡大も寄与
    (写真は同ラインのオイル製品)
 このようなビジネス活用の高まりを受け、4月より、ウォーキングライブ社と組んでZOOMベースのTV会議サービスを新たに着手。 割安の月9.99ドル(約1070円)で提供する。
 また、オンラインコンテンツのさらなる充実を図るため、「YLチャンネル」と呼ぶ動画配信をスタート。公式フェイスブックを通じ、 「ほぼ毎日、テレビ番組のように様々な内容を流している」(同)。同社は昨年より、プロダクトファースト≠フ理念に立ち返ったフィールド戦略を推進。 その一環としてマス向けコンテンツの強化を進めていたところ、コロナ問題を受け、取り組みをさらに加速させる。
 一方、売上は4月で「対前年比約?%増」(同)を達成。新規の増加に加え、抗菌ニーズに応えるハウスホールドの「ヤングシーブス」ラインの好調が 寄与したもので、3月以降のライン売上は「それまでの平均の5倍くらい」(同)に拡大した。中でも、ハンドクリアジェルは「8〜9倍」(同)に急増。 一時的に欠品を生じたが、現在は、同ラインを含む百数十種類の製品全体で「3品程度」(同)まで抑えたとする
ゼンノア 3月の新規・売上、ともに過去最高ZOOMコールを定期化 通期売上で30%増目標
 ゼンノアジャパン(東京都港区)は3月の新規登録と売上が、4年前の開業以後で「過去最高」(土門大幸会長)となった。 第1四半期(1〜3月)は「前年比で20%以上の増収」(同)で、4月以降も前年を上回るペースを維持。通期で「30%増収」(同)の目標に向け、 オンラインミーティングの配信サイクルを整備するなどWEBシフトを急ぐ。
 コロナ問題で対面・集合式のミーティングが難しくなったことを受け、ZOOMを使ったオンライン開催に転換。 「毎週、何らかのミーティングに参加できるようにZOOMコールのスケジュールを組んだ」(同)。
 現在は5種類のミーティングを開催。このうち3種類ビジネス初心者向けの「ビジネススタート」(第2火曜)、ZEN4<^イトル以上が対象の 「リーダーシップ」(第2水曜)、最新情報等をシェアする「コーポレートアップデート」(第1火曜)は、毎月1回を実施している。
▲「過去最高の売上を計上した3月は、
     オーラルケアの「ステリオーラ」の売上が
     1月比で3.3倍に拡大
 登録間もない会員を対象とする「ウェルカムZOOMコール」は、新規増加を受けて毎週開催(実施曜日は金曜)。 製品セミナーも毎週、オンラインで行っていく。
 コロナ以前に比べると、ZOOM等を活用したビジネス活動が飛躍的に増加。「普段、連絡を取っていなかった方にも話を聞いてもらいやすくなっている」 「お茶会をやったり、スーパーフードを使った料理を紹介したり、オンライン上のやり取りが、高齢の方の間でも当たり前になってきた」(同)。 ただ、米本社等に比べるとまだ不慣れな会員も目立つため、定期配信で「リズムを作っていく」(同)ことで浸透を図る。
 製品は、オーラルケア製品「ステリオーラ」が売れ行きを伸ばし、2月の売上は1月に対して7割増。3月は「3.3倍」(同)に拡大した。 原料である各種スーパーフードへの関心の高まりから、酵素系健食の「ZEN(ぜん)生酵素」も好調という。