ダイレクトセリング化粧品企業 サロンの営業再開相次ぐ顧客接点の回復≠ナ盛り返しに期待

鍵は新規顧客との接点確保コロナ共生♂コのDSサロン展開
 5月25日、約1カ月半ぶりに緊急事態宣言が全国的に解除された。地域によってバラつきはあるものの、段階的に社会経済活動を再開、 自粛によって落ち込んだ経済の立て直しを図っていく構えだ。6月19日からは、都道府県をまたぐ移動も容認される見通しで、 各種イベントや観光業などへのテコ入れも期待される。一方で、海外の動向を踏まえると、コロナ禍≠フ第2波、第3波への備えを怠ってはならない。 ダイレクトセリング化粧品企業では、臨時休業やサービスの一部休止措置をしていたサロンを徐々に再開する動きがみられる。 同時に、オンライン会議など人との接触を抑えた手法を導入するなど、コロナ共生♂コでのビジネスモデル構築を急ぐ。

ブランドの入り口″ト開「自宅エステ」商品テコ入れ
▲「自宅でサロンエステ」で訴求する
「3DスフィアWH」(ナリス化粧品)
 ナリス化粧品は、約400店舗のセルフエステサロン「デ・アイム」において、全面的に休業措置をとってきた。緊急事態宣言が解除されたことを受けて、 同社は6月1日から既存顧客を対象に営業再開を決定した(新規受付は別途再開予定)。「デ・アイム」はナリスブランドの入り口≠フ役割を果たしており、 営業再開は「顧客接点の回復」という意味をもつ。なお、休業中は、化粧品などの物販はNBA(ナリスビューティアドバイザー)が継続し、 顧客とのつながりを維持していた。商業施設でクイックエステを提供している「ビューティサロン」については、5月20日から順次営業を再開している。
 同社はまた、美容分野に関心をもつ人を対象に、エステティシャンやメーキャップアーティストなど養成する 「ナリスビューティクリエーションカレッジ プリダージ」を運営しているが、こちらについては、大阪校および東京校では4月〜6月中の講座日程を 7月以降に順延したほか、大阪校(5月開校)中日本校(6月開校)、福岡校(7月開校)は、それぞれ10月開校、7月開校、10月開校という計画。
「プリダージ」ではさまざまな美容関連資格を取得できる講座を開いているが、ニーズが多いのは「年29回20万円(税別)」で 日本エステティック協会認定エステティシャン資格取得を目指すコース。リーズナブルな価格と通いやすい立地、資格取得後の開業支援もあることから、 人気を博している。
 緊急事態宣言が解除されたとはいえ、コロナ前≠フ社会経済活動に戻ることは容易ではない。少なくとも、ワクチンの開発などによって 新型コロナウイルスのリスクが大幅に低減される状況になるまで、生活様式もコロナ共生≠前提としたものにならざるを得ない。 企業側も、ライフスタイルの変化を踏まえた商品・サービスの提供が求められるようになると言える。
 ナリス化粧品では、自宅にいながらで出来るサロンエステの満足感≠コンセプトとしたセットアイテム「3DスフィアWH(ホワイト)」 (税別3000円)を、6月21日に発売する。「3Dスフィア」は、もともと「デ・アイム」などで取り扱うサロン専売品として展開しており、 2018年6月の発売以来、24万枚を超える販売実績をもつ。「フリーズドライヒアルロン酸」によって肌にハリ感を与える角層エステ施術が特徴で、 新たに美白機能も加えて機能性をアップした。新型コロナウイルスの影響によって美容分野でも巣ごもり消費が高まっている中、 「所要時間?分・1枚3000円」というサロン施術を自宅で出来るセットとして訴求していく構え。
キャンペーンで来店促進コラボ型集客は課題
▲来店キャンペーンによって
サロン来店者数の回復を狙う(シーボン)
 「フェイシャリストサロン」を全国展開しているシーボンは、5月11日から一部サロンを除いて営業を再開している。 連休明けに緊急事態宣言が解除されなかった東京、神奈川、千葉、埼玉、北海道などの26店舗においては、16日から再開)。 再開後は、来店が過密とならないよう予約制限をしている衛生管理やスタッフの健康チェックに留意していくほか、当面の間はオンライン予約を休止し、 電話予約のみの対応としている。6月1日〜30日までは「ありがとう月間」として、期間中の来店者にオプション施行を無料提供し、来店者増を狙う。
 同社は、「フェイシャリストサロン」における「サロンケア」と、顧客が自宅で行う「ホームケア」を両軸とした美容法を長年にわたって訴求してきた。 年に一度、ケアの成果を競う美容コンテストを開催し、顧客と担当フェイシャリストのモチベーション向上につなげてきたが、コロナ禍≠ナ一時的とはいえ、 サロンが休業したことがこの施策にどう影響するか懸念される。また、近年は異業種企業・団体とのコラボレーションやイベント出展が新規顧客との重要な 接点になっていたが、コロナ禍≠ナコラボ先も休業を余儀なくされたり、イベントの中止が相次いだことも業績に大きく影響している。 同社は現在、社内改革によって集客活動の構造改革を実施しており、Webマーケティングの推進を行っているが、 今後は非接触型≠フ接点構築が重要性を増すと言えそうだ。
デジタル活用の促進イベント再開にも期待
 直近の2020年12月期第1四半期で大幅な売上減となったポーラでは、ビューティーディレクター(BD)の活動において、 エステやタッチアップなど直接顧客に接触する行為を禁止し、物販などに制限していた。また、新規BDの獲得の重要な施策となっている 「ポーラリクルートフォーラム」についても中止していたが、北陸地方や九州地方など一部地域では5月下旬から再開予定となってい る。本格的な再開は今後の政府の動向や、感染状況を鑑みながらになると思われる。同社においても、ECを活用した顧客獲得策を強化する動きがみられ、 サイトリニューアルによる操作性・利便性の向上、SNSマーケティングによって成果が出始めているという。
 ワミレスコスメティックスでは、「ワミレスサロン」の運営について、感染防止の徹底を周知した上で、地域の販売会社の判断で行っている。 緊急事態宣言が解除され、臨時休業や営業時間の短縮を行っていたサロンにおいても、徐々に通常営業へ戻していくとみられる。 また、同社の選抜美容チーム「ワミレスラスティングビューティー(WLB)」は、数多くのショー・イベントのバックステージを担ってきた実績をもつが、 現在は関連イベントの中止・延期が相次ぎ、活動休止が続いている。そんな中でも、公式ブログにおいて「自宅で出来るケア」を紹介し、メンバーや販売員、 顧客のつながりを維持するよう努めている。各種イベントは今後、段階的に自粛要請が解除される見通しであり、そうなればWLBの活動も本格的な再開となる。 ワミレスは今年で創立?周年という節目の年に当たる。前半戦はコロナ禍≠ナさまざまな制約を受けたが、販促キャンペーンが本格化する後半戦に向けて 士気を高めていきたいところだ。