トップインタビュー ナチュラリープラス 田嶋 隆志 社長

動画配信プラットフォームが本領発揮≠P0月大会はオンラインで「想像を超えるもの提供」

▲ナチュラリープラス 田嶋 隆志 社長
3千人超が視聴、日英中で同時配信
 新型コロナウイルスの問題を受けて、ナチュラリープラス(東京都港区)が事業のオンラインシフトを加速させている。 セミナーやトレーニングを独自の動画プラットフォームによる配信へ移行し、海外同時配信で数千人単位の視聴を獲得。 10月の全国大会はオンラインイベントに切り替える。会員によるオンラインの活動も活発で、新規登録はコロナ問題以前の水準を維持する。 田嶋隆志社長に現状と見通しを聞いた。
 (インタビューは5月13日にZOOMで実施)

―――コロナ問題を受け、3月から会社主催のセミナーやイベントの開催を一旦中止し、オンライン配信に切り替えている。
 「昨年4月、動画配信プラットフォームの『NP FANVS TV(以下ファンズTV)』を立ち上げ、運営してきた。配信は主に、 この『ファンズTV』を通じて行っており、ZOOMなどを併用している」
  ―――配信状況を伺いたい。
 「私がスピーカーを担当しているものだと、毎月、東京と大阪のサロンでやっていた『フェロートレーニング(以下FT、※1)』を、 今は配信で行っている。サロンでは6時間ほどかけていたが、オンライン版は3時間に凝縮している。また、コロナの問題が起きてから、 会社のフィロソフィーやビジョン、MLMビジネスの内容などを紹介する『オリエンテーションセミナー(以下OS)』を始めた。 どちらもライブでの配信。独自のプラットフォームなので、クリアに視聴いただける」
  ―――視聴状況は。
 「先日行った『OS』は、日本だけでなく米国、台湾にも同時配信し、合わせて3000人を超える会員がリアルタイムで視聴した。 内訳は日本が約1800、米国が約800、台湾が約500。海外向けは英語と中国語の同時通訳をつけた。『FT』は英語の同時通訳をつけ、 米国にも配信している。海外向けの配信は、いつかやりたいと思っていた試み。実際にやってみて、国毎に細かいルールの違いはあるものの、 基本的にこのビジネスに国境は関係ないと実感した」
 
新規登録変わらずオンラインセミナー活発
―――「OS」や「FT」以外の配信は。
 「イベントが開けず、リコグニションの場を用意できないため、私のホストで、『スピリットボーナス』達成者や新サミットメンバーなどを紹介する 番組を始めた。ほかは、コーディネーターによる事業説明会や、『FT』受講者を対象としたフォローアップ研修など。研修はコロナの前からやっている」
  ―――「ファンズTV」の加入数の変動は。
 「特にキャンペーンを行ったわけではないが、ここ2カ月ほどで500人くらい増えた(2月末時点の加入数は約2200人)。新規会員には、 登録から2週間の無料視聴期間を設けている」
  ―――新規登録の状況は。
 「横ばいだ。4月も月2000くらいのまま、変わっていない」
  ―――会員もセミナーやミーティングをオンラインに切り替えている?
 「ZOOMなどを使ったセミナーが毎日のように開かれ、リーダーの間でセミナーバトン≠ェ行われている。視聴数が1000人を超えるセミナーも 珍しくない。新規が維持されているのは、活発なオンラインセミナーのお陰もあると思う」
 
「仕事、専念しやすく」4月の製品販売好調
―――オンラインのやり取りで登録を決めたプロスペクトに対する概要書面の受け渡しは。
 「契約締結の前に会員から郵送している。会員に代わって、会社から郵送するサービスも検討中」
  ―――オンラインへの活動移行に関して、会員の反応は。
 「うまく活用されている方たちは『やりやすくなった』と。例えば、時間とお金をかけて毎月集まっていた会合は、 ZOOMを使えば家に居るまま出来る。タイムマネジメントが効率化され、自分の仕事に専念しやすくなったという声は聞く。 1年前に『ファンズTV』を始めたことで、組織の上から段階的に落とし込んでいた情報や方針などが、それさえ視聴してもらえばほぼ共有できるよう になっていた。会員の多くが、オンラインのメリットを実感していたことも大きいと思う」
 
▲ビジネスのオンラインシフトが
   先行していた日本と米国は、
   コロナ問題の影響を
   比較的回避(写真は米サイト)
―――受注状況は。
 「4月に関して言うと、オートシップ以外に追加購入される方が多く、どの製品も全体的によく売れた。キャンペーンをやった(オーラルケア製品の) 『ラクトエア』は注文が殺到し、2週間ほど欠品になった。今はもう普通にお買いいただける状態」
  ―――製品の調達状況は。
 「問題ない。委託メーカーのほうで、原料が手に入らないといった話も特にない。コロナが問題になりはじめた時点で、 メーカーに想定されるリスクを聞き取って、情報を共有した。これまでに懸念事項が具体化したことはない」
 
カロテノイド計測器コロナで導入に遅れ
―――会員のスポンサリングツールとして、皮膚のカロテノイド量を計測できる携帯型デバイス「カチックチェッカー」のレンタル方式による導入を 予定していた。
 「こちらは遅れている。4月のローンチを予定していたが、稼働しているのは?台ほど。実質的にまだ貸し出しをできていない。 機械に搭載する予定だった、中国製のバッテリーの納入がコロナの影響でずれ込んだ。ただ、計画通り用意できていたとしても、 今のような状況では使う機会は限られていたかもしれない。機械のセンサーに指などで触れてもらう度に消毒するのか、といった話になるので。 今後、効果的な使い方については試行錯誤も必要だろう」
  ―――「ユニヴァ共済(※2)」の加入状況に変化は。
 「こういう状況になり、加入を検討する方が増えているようだ。共済のセミナーもZOOMで始めたりしているが、 コロナの今だからこそといった提案の仕方は行っていない」
  ―――食材宅配の「ユニマルシェ」は。
 「利用者は多少増えた程度。既存の利用者の利用頻度は高まっている」
 
「ファンズTV」の無料版計画
―――今後の主な事業計画を伺いたい。
 「現時点で最大の決定は、毎年、横浜アリーナで開いている(全国大会の)『FESTA』の中止。今年は?月3日の開催を予定していたが、 オンラインイベントに切り替える。(米国法人の)NPUSA主催の6月6日の『FESTA AMERICA』もオンラインでやる」
  ―――どのようなオンラインイベントとするか。
 「作り込みを進めているところだが、想像を超えるものを提供したい。テレビ番組並みのセットを使うかどうかで、クオリティが左右されてくる。 ライブ配信ならではの企画も大切にしたい。秋の『FESTA』は、海外各国からも多くの会員が来るワールドコンベンションという 位置づけで開いてきた。各国の言語対応をどうやるかもポイントになる」
  ―――他の予定は。
 「有料サービスの『ファンズTV』に対して、無料で視聴できる『ファンズTVフリー』の開始を予定している。 目的は、新規の方のインビテーション。どなたでも楽しめるコンテンツや製品関連、事業説明関連の動画を用意したい」
 
オンライン浸透の日米は影響回避 
―――今期(20年8月期)の見通しを伺いたい。
 「業績は(海外市場を含む)グロスで見ると厳しい。マレーシア、ベトナム、フィリピンなどはコロナで外出自体が禁止された。 それらの国は、日本から見てうらやましいほど伸びていた分、ダメージも大きい。サロンを訪れて製品を受け取る会員が8割を占める国もあった。 配送の割合が少ない国も影響が大きい」
  ―――比較的、影響を免れている国をあげると。
 「韓国やインドネシアは善戦している。台湾も、進出国の中で歴史が一番古いだけあって、踏みとどまっている。このような中で、 もっとも影響を回避できているのが、オンラインの取り組みが浸透していた米国と日本になる」
  ―――日本の今期の見通しは。
 「上期で多少、伸び悩んだところがあった。前期を上回るには今後、努力が必要だろう。明るい材料は、 オンライン戦略の浸透はコロナ以降のほうが順調という点。当初、あまり積極的でなかったリーダーの方も協力していただけるようになってきた。 今週、当社の基盤を作ったトップメンバーで構成する『プラチナサミット』の集まりが、初めてZOOM配信で行われる。メンバーの平均年齢は70歳超。 これなども当社にとっては大きな一歩だ。引き続きオンラインの取り組みに力を入れていきたい」

※1…会社公式のビジネストレーニングプログラム 「NPファンクラブ」の加入者を対象とした、ビジネスへの動機付けを主な目的とするトレーニング。

※2…グループ会社で取り扱う共済サービス。 提供コースは入院・障害・死亡保障、交通事故保障