トップインタビュー サンクスアイ 藤原 誠 社長

シンガポールから「社長ウェビナー」「これまでのやり方、変えられる時代」
▲サンクスアイ 藤原 誠 社長
 新型コロナウイルスの問題を受け、サンクスアイ(熊本市東区、藤原誠社長)はMLM事業のオンラインシフトを進めている。 フェイスブックライブを使ったオンラインセミナーのほか、シンガポール在住の藤原社長によるウェビナーを開始。 中止した3月の国際大会は、表彰パートの配信を検討する。コロナ問題への対応や今後の計画、見通しなどを藤原社長に聞いた。
 (インタビューはZOOMで5月18日に実施)

フェイスBライブでセミナー生配信

―――コロナ問題への対応を伺いたい。社内の状況は。
 「東京の拠点は一部、リモートワークに移行した。熊本のコールセンターは感染防止対策を取りつつ、通常通りに稼働している」
  ―――会社主催のセミナーの状況は。
 「オンラインに切り替えて、新規向けのライブ配信を定期的に行っている(※1)。初めはYouTubeライブを使っていたが、今はフェイスブックライブで 配信している。そのほうが、いいね!≠窿nートマークで反応がリアルタイムに分かる」
  ―――視聴状況は。
 「多い場合で200〜300人。平日か土日か、などの要素で変わってくる」
  ―――他のオンラインセミナーは。
 「先日、台湾のサンクスアイによるライブ配信を日本の会員にも視聴してもらった。スピーカーは台湾の責任者で、グローバルオペレーションの責任者でもある COO。入社の経緯など、普段あまり触れる機会のないことを話してもらった。日本向けの逐次通訳は、台湾の別のスタッフが担当した」
  ―――在住するシンガポールから来日し、「社長セミナー」を定期開催していた。現在は。
 「コロナで難しいため、オンラインで『社長ウェビナー』を始める(※2)。『社長セミナー』は2時間くらいかけていたが、オンライン版の 『社長ウェビナー』はダレないように1時間くらいに収める。また、いつでも視聴できる動画だと『そのうち観ればいい』となって中々、 観てもらえないかもしれないので、配信開始から1週間ほどで観れなくなる設定にしようと考えている」
 
「サンクスアイTV」YouTubeで

―――「社長ウェビナー」の中身は。
 「『社長セミナー』で話していた内容を凝縮するというより、いくつかのテーマに分けて、一つ一つ深堀りしていく内容を考えている。例えば、 サンクスアイの設立に至った思いや、(グループ製造会社のバイオマテックジャパンの)工藤(義昭)社長との出会いなど、私にしか出来ない話がある。 普段のセミナーでは時間の関係等から詳しく触れられていなかったことをじっくり話す。6カ月くらいかけて用意したテーマを一通り終えたら、 初めのテーマからローテーションしていく。そうすれば、途中から視聴を始めた方も前の話を見逃すことがない」
  ―――他の動画活用は。
 「『サンクスアイTV』という名前で、既存会員向けの動画の投稿をYouTubeで始めた。主な内容は製品やビジネス、会社の紹介。 日本のスタッフが説明を担当している。月2回のペースで、楽しみながら学んでいただけるコンテンツを充実させていく」
  ―――会員のビジネス活動の状況は。
 「インターネットを上手く使う方がどんどん増えている。年配の方が一番多いグループが問題なくZOOMミーティングをやられていたり、 こちらがびっくりしているほど」
 
中止の表彰イベントオンライン配信検討

―――新規登録の状況は。
 「昨年12月に行った創業10周年キャンペーンの反響がすごく、その反動も多少あって2〜3月の登録を下げたのだが、4月は回復した。4月は、新製品として (ファイトケミカル健康食品の)『ジョージェネックス』を正式発売し、注文1パックあたりもう1パックをプレゼントするキャンペーンをやったことも 大きく影響したと思う。売れ行きは好調。在庫は、コロナ問題が起きる前に用意できていた」
  ―――製品全般の調達状況は。
 「化粧品の『ア・マテラス プロテオイル』は、受注を一時ストップしている(※3)。製品に使っている、オリジナルの容器の生産が遅れていることが理由。 出来合いの容器に切り替える手もあるが、それもどうかと考え止めている」
  ―――3月4〜5日に東京ドームシティホールで予定し、海外からも会員数百人が参加するはずだったコンベンションを中止した。
  「中止を告知したのは2月の上旬。当時は、特に海外の会員から『行くのを楽しみにしてたのに』とお怒りを受けたが、今は『早い判断でさすがでしたね』と 言われている」
  ―――コンベンションで予定した表彰イベントは、国毎に行うとしていたが。
 「その時は、(コロナ問題が)ほどなく収束するという見通しだった。が、現状はその反対。皆で集まるのではなく、私や役員が出向いて表彰バッジや賞品の 授与を行い、それをオンラインで動画配信するといった方法を検討している」
 
今期目標、売上で 「前期と同程度を

―――今後もビジネスのオンラインシフトを進めるか。
 「私はどちらかと言えば、会社と会員あるいは会員と会員の関係は『実際に行って会わないと、伝わるものも伝わらない』と考えていたタイプ。何でもネットで、 という風潮には否定的だった。コンベンションにしても、最初は『中止したら売上が下がるのではないか』『一刻も早く次の手を打たないと』思い、 急いで6月に振り替えようとしていた。
 けれど今は、インターネットを通じてやり取りすることに違和感がなくなってきた。業界だけでなく世間一般の認識が、そういうふうに変わってきたと思う。 お金と時間をかけて会場まで移動していたような、これまでの仕事のやり方を変えられる時代が来たのかなと捉えている。例えばコンベンションなら、 バーチャルな形式で開催することも選択肢の一つだろう」
 
▲ファイトケミカル健康食品
「ジョージェネックス」は、4月の
正式発売後の売れ行きが好調
―――今後の見通しについて。海外はどうか。
 「台湾はほぼ影響がなくなってきた。ただ、ロックダウンでスタッフが出社できないフィリピンのような国もある(6月1日にマニラ市は規制緩和)。 マレーシアは7日〜10日に一度、出社して発送作業を行っている。ガンガンやるような感じではない」
  ―――日本の前期(20年3月期)と、今期(21年3月期)の見通しは。
 「前期は売上に関していうと、その前の期は上回る見通し。まだ正式に締めていないので数字は出せないが、12月の好調が1〜3月で相殺されて、 ぼちぼちといったところだ。今期は引き続き配信などに力を入れていくが、コロナの収束が具体的に見通せないと何とも言い難い。目標としては、 少なくとも前期と同程度の売上を維持したいと考えている」

※1…5月25日の緊急事態宣言の全面解除後、会場への集客によるセミナーを再開。消毒、換気などの感染対策を徹底の上、実施。
※2…5月30日にYouTubeで第1回を配信。視聴可能期間は1週間限定で、月2回(うち1回は海外向け)の配信を予定。
※3…6月下旬の出荷・注文受付再開を予定。