日本シャクリー 髙杉茂男社長に聞く「現状と見通し」

ビジネス会員の新規 前期「大幅増」、コロナ後も「ほぼ変わらず」

 前回(6月25日号1面)に続き、新型コロナウイルス問題にともなう影響や対応などについて、日本シャクリー(東京都新宿区)の髙杉茂男社長に聞いた。 (インタビューはZOOMで6月10日に実施)
オンライン勧誘 大半は「未体験か様子見」
  ―――新型コロナウイルスの問題を受けて、3月から会社主催セミナー、トレーニングの現場開催を控えてきた。この間、リクルート活動の状況はどうだったか
 「もちろん大きな影響があった。当社のフィールドでよく行われているリクルートは、名前や目的を告げた上で実際にお会いして、 お茶を飲みながら世間話もしつつ概要書面をお渡しし、製品を試してもらった上でファーストオーダーを決めていただく、といった流れ。 言わばダイレクトセリングの最もオーソドックスなアプローチであるため、対面が難しい状況では活動も難しくならざるを得ない」
  ―――ZOOM等を使ったオンラインリクルートの動きは。
 「既存のディストリビューター(ビジネス会員)で、ZOOMを使ってグループミーティングをやる方は普通にいる。会社によるビジネスサポートとしても、 1年以上前からZOOMミーティングを行ってきた。ただ、新規のリクルートとなると話が変わってくる。バーチャルのプレゼンテーションにチャレンジする方も 出てきてはいるが、大半は未体験か様子見という段階だ。
 オンラインの勧誘は『そもそもやってはいけない』『やったら会社に迷惑がかかる』と考えているディストリビューターが多いことも理由にあげられる。 そのため、法的に問題のない手順を踏めばオンラインでも勧誘は可能と聞いて、『びっくりした』という方が少なくない」
 
特商法クリアするプレゼン資料活用
―――法的に問題のないオンラインリクルートのやり方について、会社からアドバイスなどをしているか。
 「4月に全国9会場で開催するはずだった(ビジネスミーティングの)『ニュープロズカンファレンス(以下NPC)』をZOOM配信で行った(※1)。 この中で、バーチャルなリクルートの手順や注意点について私から話した」
  ―――手順のポイントは。
 「2年ほど前に作成した、『ブランドプレゼンテーション』というシャクリービジネスの紹介パッケージの使用を推奨している。リクルートで必要なデータが 一通り揃っているほか、特商法が求める3大告知義務≠笂チ定負担の説明などをきちんとクリアするテンプレートも用意されている。
 このパッケージに沿って話してもらえれば、消費者保護対策としても行き届いたものとなり、関連法規に則ったものとなる。作った当時は対面勧誘での利用を 想定していたが、オンラインの場合も同じように使える。『NPC』で利用を呼び掛けたことで、パッケージを利用したオンライン勧誘の事例が徐々に出始めた」
 
愛用会員は新規減背景に不要不急
―――コロナの影響が顕著となった3月以降の新規登録の状況は。
 「月によって増減にバラツキはあるが、先月(=5月)に関して言うと、ディストリビューターの新規は前年同月とほぼ変わらなかった。 しかし、メンバー(愛用会員)の新規は2〜3割ダウンした」
  ―――メンバーの新規が減った理由は。
 「メンバーは、先ほど話したようなオーソドックスなプロセスで入ってこられる方が中心。不要不急≠ェ叫ばれた中で、緊急性には欠けると見なされた。 一方で、ディストリビューターの新規は、組織構築にアグレッシブなグループの取り組みに支えられた。そういったグループはZOOM等のオンラインツールの 活用も進んでいる。コロナという壁を乗り越える方法を講じたということだと思う」
  ―――3月から、新規登録者の初回注文実績に特別ボーナスを支払う「シェア・イットボーナス」プログラム(※2)を始めた。反響は。
 「反応は非常に良く、スタートしてすぐ、2週間ほどで数十人がボーナスを獲得した。4月に入り、コロナの影響で(獲得者数が)減るかと思ったが、 今のところ変わらない。新規ディストリビューターの維持に貢献している。
 このプログラムでは、ボーナス獲得者の多くが3人〜4人を紹介していることも大きい。プログラムのコンセプトを理解してもらえたのだと思う」
 
リーダー引退≠ナダウンの購入減少
―――前期(20年3月期)の1年を通じた新規はどうだったか。
 「ディストリビューター登録は、その前の期(=19年3月期)に対して大幅に増えた。メンバー登録は微減だったが、それぞれをトータルした新規は前の期を 上回った。2年半前に私が社長に就任してから、新規の数を持ち直すことを目標の一つに掲げてやってきた。ここで結果を出せたことは非常に大きい」
  ―――前期の売上高は。
 「セールスの減収傾向に歯止めをかけることも目標としてきたが、減り具合はなだらかとなったものの微減だった(※3)。こちらは大きな反省を要する」
  ―――減収の要因は。
 「新規は増えているので、ニューセールスが理由ではない。ではどこかというと、リーダークラスの方が年齢を理由にシャクリービジネスを引退≠ウれたり、 残念ながらお亡くなりになるケースが影響としては大きかった。具体的な人数は伏せるが、会社として無視できないくらいの人数」
  ―――リーダーが引退等した場合、そのダウンラインによる購買が減る?
 「メンバークラスの方々の大半は、コンシューマーとほとんど変わらない年配の方たち。そういった方たちは、送料(520円)がかからないからと、 アップラインに自分の分も仕入れてもらい、後から分けてもらうケースが多い。もちろん、電話でもWEBでも注文いただけるのだが、 長年、リーダーを介して購入を続けてこられた方にとっては、それでもハードルが高いということになる。
 また、仕入れてもらった製品をミーティング等の機会に受け取ることが、インタラクションのきっかけにもなっていた。 その軸だったリーダーがいなくなってしまうと、購買意欲も落ちてしまう」
 
1Q売上前年並み 11月大会、夏までに判断
―――今期(21年3月期)の売上見通しを伺いたい。
 「第1四半期(20年4月〜6月)は前年並みで終わりそう。今後は、コロナの行方にも左右されてくるが、今より状況が悪くならなければ、 第2四半期(同7月〜9月)も同じくらいの調子でいけるだろう」
  ―――11月に、本社を置く新宿住友ビルのホールで「ナショナルカンファレンス」の開催を予定している。
 「これも状況次第だが、11月時点で会場を使ってやれるかどうか、夏までに判断する。使えない場合に備えて、複数のバックアッププランも用意している」  (おわり)

※1…7月から現場開催を再開予定。ZOOMを使ったオンライン配信も1〜2カ月に1回、実施予定。
※2…初回注文額が1万5000円以上の新規ディストリビューターもしくはメンバーの紹介に対して3000円(1人あたり)を支払う。 ひと月の紹介数が3人に達した場合、3人目の紹介実績には1万2000円を支払う。20年3月期に実施した「ファーストステップボーナス」プログラムの 改訂版となり、実施期間は9月末まで。
※3…19年3月期は売上割戻高控除前の総売上高ベースで100億7700万円。