消費者庁が655社に要請特商法遵守の点検、電気小売りに

19年度の苦情 3分の2が「訪販」「電話勧誘」

 消費者庁は6月17日、電気の小売事業者に対し、特定商取引法の義務事項の遵守をより強く徹底することを同庁長官名で要請したと発表した。 勧誘・契約の委託先や関係会社についても、重点的な点検を行った上で遵守することを求めた。同小売事業者に関わる相談件数が増加傾向にある中、 国は過去1年間で小売り事業者3社を処分。さらに6月中旬、東電より電話勧誘業務を委託された大手コールセンターが違法行為を隠蔽するため顧客通話記録を 捏造した問題が朝日新聞の報道で明らかとなっていた。
 要請は、特商法が定める訪問販売、通信販売、電話勧誘販売に関する主要な遵守事項――氏名等明示、書面交付、各種の禁止行為への不該当などの 徹底を求めたもの。対象事業者数は655事業者。なお、電気の小売には現在、業界団体が存在しないという。
 国はこれまでに「あくびコミュニケーションズ」(19年4月、電話勧誘販売)、「ファミリーエナジー」(19年12月、訪問販売と電話勧誘販売)、 「イーエムアイ」(20年4月、電話勧誘販売)の3事業者を処分。京都府警も昨年、新電力の訪販代理店だった「FAiCE(フェイス)」 「Lavect(ラベクト)」の2社の従業員を特商法違反で逮捕している。
 16年4月の電力自由化後、電気の小売りに関する相談は増加傾向にあり、国民生活センターと全国の消費生活センター等で把握された件数は、
15年度=981件、
16年度=1307件、
17年度=1952件、
18年度=4991件、
19年度=5996件、
20年度=779件(6月15日時点)
で推移。
 PIOーNETで集計された19年度の「電気」関連苦情1万3361件(同17日時点)の取引形態別内訳の上位は、訪問販売が5256件、 電話勧誘販売が3608件、店舗購入が1042件、通信販売が374件。訪販と電話勧誘で全体の3分の2を占めた。