2020年版「消費者白書」

「モノなしマルチ商法」増加を問題視マルチ相談の過半数に、ターゲットは若者

 6月9日に閣議決定、公表された2020年版の「消費者白書」で、サービスを商材とする「モノなしマルチ商法」のトラブルが拡大傾向にあることが 取り上げられた。連鎖販売取引の手法で仮想通貨の購入や海外事業への投資などを持ち掛け、相談者の多くを若者が占めることが特徴。 商品を扱う連鎖販売関連トラブルには減少傾向がみられる中、社会経験が未熟な世代の交友関係をターゲットにした同商法が改めて問題視されている。
 白書において、「最近注目される消費者問題」の一つとして取り上げられたもの。昨年7月にも、国民生活センターがトラブルの実態を注意喚起していた。 相談事例では、大学生が友人・知人から話を持ち掛けられ、「お金がない」と断っても、配当金で埋め合わせられると言われ借金して契約するパターンなどが みられる。
 白書では、「マルチ商法」に関する消費生活相談件数の商品、サービス別構成比に注目(グラフ参照)。2010年時点で相談全体の?%にとどまっていた、 サービスを商材とする「モノなしマルチ商法」の割合は、19年までに30ポイント超も上昇して52%に拡大。18年で、サービスの相談件数が商品の件数を上回り、 構成比の大小を逆転させた。
 件数ベースでも、10年で2566件だった「モノなしマルチ商法」は、19年で2.3倍の6021件まで増加。その一方で商品の件数は、 10年の1万20件に対して19年は5610件と、44%減少している。
 扱われるサービスの中身は、仮想通貨の購入や海外事業への投資といった「ファンド型投資商品」、アフィリエイト(成果報酬型WEB広告)などの 「他の内職・副業」が目立つ。昨年の国センの注意喚起では、格安の海外旅行や各種福利厚生といった「複合サービス会員権」、 FX・バイナリーオプション投資用ソフトなどの「他のデジタルコンテンツ」も、件数の上位にランキングされた。
(続きは2020年7月9日号参照)