DS化粧品 コロナ禍の影響、業績面で顕著
日本国内でもワクチンの接種がいよいよ始まろうとしており、新型コロナウイルス感染拡大の収束に向けた期待感が高まりを見せている。
株価も経済活動の本格回復を見込んで高水準で推移しているが、飲食業や観光業をはじめ、実体経済と乖離した動きという指摘もあり、予断を許さない状況には変わりがない。
ダイレクトセリング業界の化粧品分野においては、感染防止対策を徹底したサロン営業やIT活用のカウンセリングなど、ウィズコロナ、
アフターコロナに対応したビジネスモデルが整いつつある。コロナ禍によって多様化した消費者ニーズを敏感に汲み取り、
従来以上に細やかに対応できる商品・サービスの提供が急務となっている。
事業別の実績をみると、ポーラブランドを含むビューティケア事業は売上高が同20.1%減の1716億5800万円、営業利益が同57.1%減の129億6500万円となった。 このうち、ポーラブランドは売上高が同24.1%減の1028億8800万円、営業利益が同57.2%減の109億2700万円となった。 コロナ禍によるインバウンドおよびバイヤーの減少が続いた(インバウンド比率は約3%、前期比6ポイント低下)。また、緊急事態宣言の発出によって外出自粛傾向が強まったことや、 店舗の臨時休業および営業時間の短縮を余儀なくされたことで、「ポーラ・ザ・ビューティー(PB)」をはじめとする国内店舗事業で新規獲得が苦戦した。 海外市場では、前半戦ではコロナ禍の影響を受けたが回復は国内より早く、中国・韓国の売上は前期比60%増と好調に推移した。同社では、コロナ禍の中でオンラインによるカウンセリングを積極的に導入し、 非接触型サービスによるニーズ獲得を図った。商品政策では、最高峰シリーズ「B?A」をフルリニューアルし、計画を上回る動きを見せている模様。
売上構成比は、委託販売チャネルが73.7%、海外が15.4%、ECが3.4%、百貨店・BBが7.5%。各チャネルの売上伸長率は、委託販売チャネルが前期比26.8%減、海外が31.1%増、 ECが63.4%増、百貨店・BBが56.5%減となった。コロナ禍の影響で、人との接触が多い委託販売チャネルや百貨店・BBが苦戦した一方で、非接触のEC、 国内に比べて回復が早かった海外の伸長が目立った。
委託販売チャネルは、ショップ数が3780店舗で前期比176店舗減、PB店舗数が636店舗で同?店舗減。購入単価は同0.1%減とほぼ横ばいだったのに対し、顧客数は同26.0%減となった。 海外店舗数は110店舗で同?店舗増と好調に推移した。
通期業績については、①販売会社の実売はコロナ禍の中でも増収で推移している、②販売会社の売上原価は仕入高を上回っている、③販売会社の在庫水準が一部を除きほぼ適正水準という状況を踏まえ、 コロナ禍の影響や流通在庫調整といったマイナス要因が一段落していると分析。第4四半期では、新製品として美容補助商品「スリムケアプラス」、新メークシリーズ「チュリエ」、 連続生成型電解水素水整水器「キレイオン」を投入し、需要喚起を進めていく構え。通期業績予想は、売上高が前期比3.5%減の37億円、営業利益が1億3000万円、 経常利益が同440.3%増の1億1000万円、当期利益が同163.4%増の7500万円を見込む。
