消費者庁が特商法で オーナー商法「WILL」の承継会社を処分

VISION」「レセプション」に停止24カ月USBメモリを販売預託、レンタル料の還元謳う
 多目的テレビ電話機用USBメモリのレンタルオーナー商法(販売預託商法)を繰り広げ、特定商取引法違反で処分した「WILL(ウィル)」 (以下W社、東京都渋谷区)の承継会社が、同様の商法で被害を拡大させているとして、消費者庁は3月21日〜22日、「VISION(ビジョン)」(以下V社、 所在地・東京都新宿区、新間壽代表)と「レセプション」(以下レ社、所在地・三重県伊賀市、大倉満代表)を同法の不実告知違反で処分した。 同庁は18年12月にW社へ1度目の処分を行った後、19年に2度目の処分と関連会社に対する処分、消費者安全法に基づく注意喚起を実施。 今回が事実上、一連の商法に対する3度目の処分となる。この間、W社側は処分取り消しを求める不服審査請求も行ったが、20年4月に却下されている(表参照)。
2年で売上674億円60万払えば利益12万
 処分内容は訪問販売事業に対する24カ月の停止命令。V社には、不実告知の中身の周知等を求める指示も行った。V社の実質的首謀者で会長≠ニ呼ばれていた「大倉満」、 事務局長≠ニ呼ばれていた「赤ア達臣」には禁止命令を行った(同22日付)。2人には過去2度の処分の際も同命令を出している。
 同庁の調べによれば19年10月〜今年2月の間に少なくとも約674億円を売り上げたという。全国の消費生活センターに寄せられていた関連相談件数は253件。 相談当事者者の平均契約額は425万円。
 「ライセンスパック」の名称でメモリを販売。これを「ウィルフォン」と呼ぶ電話機に差し込めば、中のアプリによって格安の通話、 カラオケ、ゲーム、ネットショッピングなどが使えるとしていた。
 メモリは1セット約60万円で販売。購入したオーナーから預かり、海外の顧客にレンタルした収益から月2万円を36回支払うとしていた。 1セットあたり差し引きで12万円の利益が見込める旨を謳っていた。
 一連の取引は「CCPシステム」と呼ばれ、W社が展開していた「PRPシステム」と呼ぶ仕組みと酷似。事実上、W社の商法が承継されていた。
自転車操業なのに「ずーっと順調」

 過去のW社の処分では、売上の99%をメモリの販売が占め、レンタル料を原資とするオーナーへの支払いはほぼ行われていなかったことが判明。 預かっていたメモリの数に対して、レンタルされていた電話機の台数が大幅に少なかったことも判明し、自転車操業が明らかになっていた。
(続きは2021年4月1日号参照)