ナリス化粧品のニューノーマル戦略おうち美容℃要の掘り起こし

ネット通販や自宅エステサービス 人気美顔器の集中セットも投入

 新型コロナウイルスの変異株による感染拡大が国内外で急増している。東京、大阪など1都2府1県には3度目の緊急事態宣言が発出され、 5月の大型連休を前に人の流れを抑制して感染の抑え込みを狙う動きが強まっている。多くの消費者は、昨年に続いて外出自粛を強いられることになるが、 1年以上続くコロナ下の生活において、少しでも在宅時間を快適に過ごせるようさまざまな商品・サービスが開発・提供されるようになった。 ナリス化粧品(本社・大阪市福島区、村岡弘義社長)では、昨年から自宅エステサービスの強化などを展開してきたが、 長期化するコロナ禍に対応したおうち美容≠ノ着目した新しい施策を相次いで打ち出している。
コロナで変化した生活様式に対応
▲「メガビューティ」を軸とした集中ケアセット
 ナリス化粧品は、セルフエステをメーンとした「デ・アイム」や、専門のスタッフによるクイックエステを提供する「ビューティサロン」といったサロンを展開し、 手軽に受けられるメニューによって幅広い女性層の顧客を獲得してきた。コロナ禍によって、価値観やライフスタイルが大きく変化する中、 同社はニューノーマルに対応した商品やサービスを開発し、提案してきた。外出機会の減少に伴い、大きく伸長しているのがネット通販市場だが、 ナリス化粧品も昨年8月に新ブランド「クラリティア」を投入し、大手通販サイト等で展開している。サロンでの対面販売を主力チャネルとしている同社としては、 大手通販サイトでの展開は初めての取り組みで、多様な販売チャネルでナリスブランドをラインナップすることで、ブランド認知向上を図るとともに、 ユーザーが購入しやすい選択肢を提供する狙いがある。
 外出を自粛していても、自宅で美容を楽しみたいというおうち美容≠ヨの対応にも力を入れている。昨年10月21日からは、 究極のパーソナル空間≠ナある自宅でも施術が可能な新エステメニュー「プレミアムエステ」を行っている。同サービスは、 サロンと同一のメニューを会員が場所を自由に選んで受けられるもので、人との接触を気にする女性のニーズだけでなく、家事や育児、介護など、 さまざまな理由で外出が難しい女性に対しても、安心して美容ケアを受けられるサービスと位置づけている。さらに今年に入り、 1月21日には「オンラインスキンケアモニター」を導入し、自宅にいながら専属の美容部員とコミュニケーションをとってスキンケアレッスンが行える施策を導入した。 もともと「デ・アイム」などで実施してきた「28日間のスキンケアモニター」を、ニューノーマルに対応したスタイルで展開、より手軽・柔軟に受けられるようにした。 多忙な女性や、店舗への来店に不安を感じる女性など、多様な声を施策に反映されたものだ。また、2月21日に投入した新ポイントメークブランド「Vieta」では、 スマートフォンやPCから自分に合うメークをシミュレーションできる「バーチャルメーク」のサービスと連動させるなど、 既存のノウハウとIT技術を組み合わせたサービスとして多様化するニーズに訴求している。
主力スキンケアや生活衛生品が人気
▲大幅伸長したトイレタリーブランド「ピュアーチェ」
 コロナ禍の中、おうち美容℃要の増加は、各ラインナップの売れ行きにもあらわれているという。主力のダイレクトセリング(訪販)チャネルでは、 最高級ブランド「セルグレース」の高機能美容液「セルグレース フォーミュラ」が前年(2020年4月〜2021年3月)と比べて?%増となったほか、 基幹スキンケアブランド「マジェスタ」の「マジェスタ マッサージングパック」が同9%増、 美白ライン「ディアーゼ ホワイト マッサージング ジェルパック」が同16%増と好調に推移した。また、トレイタリーブランド「ピュアーチェ」のヘハンドソープ、 シャンプー、コンディショナーが同2.3倍〜3.6倍と大きく伸長したほか、ハンドクリームといった衛生用品も好調だった。 一方、口紅やファンデーションといったポイントメークは、テレワークの増加や外出機会の減少を背景に例年より数量を落とした。
主力スキンケアや生活衛生品が人気
 同社では、ロングセラーの家庭用美顔器「メガビューティ」ブランドから、初めての化粧品セット「メガビューティ エステティック」 (税込3850円)を6月21日に発売する。 1週間で集中的にケアするセットとなっており、「メガビューティ」の既存ユーザーをはじめ、これから同美顔器を購入する新規ユーザーへのフックとして提案していく。
 「メガビューティ」は2001年に誕生した美顔器で、累計販売台数80万台を超える。2005年、2009年、2018年にリニューアルを行い、現行品は4代目。 ナリス化粧品の美容理論の根幹をなす「ふきとり」を軸に、イオンバランシング、ホット&クールやLEDによる光エステや微弱電流によるケアなどさまざまな機能を 搭載している。新発売する化粧品セット「メガビューティ エステティック」は、「メガビューティ」との併用で、 「より質が高く、充実した自宅でのスキンケアを提供する」ことをコンセプトとしている。@ディープクレンジングジェル、AダーマCローション、 Bアストリンゼントジェルクリームの3品で、@はステップ1(エレクトロクリ
ーン)、Aはステップ2(イオンバランシング+ホット&クール)、 Bはクール機能と一緒に使うことでより効率的に肌をケアできるという。  同社が実施した調査によると、家庭用美顔器を所有している女性は3割超。20代では約4割の女性が所有しており、このうち約6割りが1年以内に美顔器を購入しているという。 新型コロナウイルスの変異株の脅威が世界的に広がり、ニューノーマルのライフスタイルは今後も続くとみられる。コロナ禍の中、「化粧品の効果を上げたい」 「サロンに行くよりも経済的」「サロンに行く代わり」といったおうち美容≠ヨの期待感が増しており、 ロングセラー美顔器を軸としたおうち美容℃要への対応を強めていく構えだ。