特商法改正案が審議入り 野党が対案、「書面交付電子化」を削除

「ク・オフ通知電子化」は政府案通り可能に取消権なくす
    18〜20歳のク・オフ、7日間延長も

 政府提出の特定商取引法改正案に盛り込まれた「書面交付の電子化」に反対している野党は4月21日、電磁的交付を可能とする改正を削除した対案を国会に提出、 同22日の衆議院本会議で両法案が審議入りした。対案は、クーリング・オフの電磁的通知を認める改正を残し、 来春の成年年齢引き下げを踏まえて18〜19歳のク・オフ可能期間を1週間延長する改正を追加した。さらに、 消費者契約法で取り消しが可能な不安を煽る勧誘・契約の取り消しルールの強化も求めている。
 対案の名称は「消費者被害の発生及び拡大の防止並びに消費者の利益の一層の擁護及び増進を図るための消費者契約法等の一部を改正する法律案」。 立憲民主党、日本共産党、国民民主党の野党3党が共同で提出した。
 野党側は3月末、来年4月の成年年齢引き下げで未成年者取消権を失う18〜19歳を対象とした法整備を政府に要請。 ここで、書面交付電子化関連への対応を含む特商法改正案に対して対案の提出を予告していた。旧訪問販売法から特商法に名称が変わった2000年以降、 改正審議で野党側が対案を提出するのは初めてとみられる。
 対案では、政府案に盛り込まれている書面交付電子化の改正を削除。22日の本会議で趣旨説明を行った畑野君枝議員(共産党)は、 電子化により「かえって被害が拡大する」と述べ、「(紙による交付は)被害を防ぐ最後の砦」「(電磁的交付は)導入してはならない」と求めた。
 一方、ク・オフ通知の電子化を可能とする改正は、対案にも政府提出法案のまま盛り込み、メール等による申し出を可能とする。
 ク・オフできる期間を延長するのは、未成年者取消権をなくす18〜19歳。延長期間は7日間で、訪問販売の場合は15日間(現行法8日間)、 連鎖販売取引は27日間(同20日間)となり、通信販売の返品特約規定(第15条の3)も延長の対象とする。延長は「当分の間」行うこととしている。 畑野議員は趣旨を「契約ついて再考し、周囲に相談できるようにする」とした。
(続きは2021年5月6日号参照)