特商法改正と「書面交付の電子化」 衆院特別委で政府案を修正可決、施行を1年延期

「ク・オフ電子化」は発信主義を条文に明記

 法定書面の交付とクーリング・オフの通知を電磁的に行うことを可能とする、政府提出の特定商取引法改正案が5月14日の衆議院・消費者問題特別委員会において、 与党と一部野党による賛成多数で可決された。電磁的交付関連の施行時期を原案より1年延期することなどを盛り込んだ修正案は全会一致で可決された。 法案は同18日の衆院本会議で可決後、参院に送られる見通し。今国会の会期は6月16日まで。
 法案に賛成した議員の党は自由民主党、公明党、国民民主党、日本維新の会で、反対は立憲民主党と日本共産党。過去の特商法改正案の議決は全会一致が通例で、 一部議員が否決に回るのは異例。反対した立憲と共産、賛成した国民の3党は4月21日、書面交付電子化関連の改正を削除するなどした対案を共同で提出していた。
 電磁的交付を可能とする法定書面は、申込書面・契約書面・概要書面の3つ。紙による書面交付義務をもつ訪問販売や連鎖販売取引など6取引類型が対象となる。
 電磁的交付を行うには、契約を申し込んだ消費者から事前に電磁的交付を受けることに対して承諾を取る必要がある。承諾の取得のありは政省令、通達等で定められる。 書面が消費者に到達したとみなすのは、契約申込者が使用するパソコン等の電子計算機に「備えられたファイルへの記録がされた時」とされている。
 ク・オフの電子化は、ハガキ等の書面に加えて「電磁的記録」による契約申し込みの撤回、売買・役務提供契約の解除を可能とするものとなる。
施行の2年後に施行状況を検討
 修正案は、法案に3カ所の変更を加えるもので、電磁的交付関連の規定は施行時期を1年延期。原案では、 公布の日から1年を超えない範囲内で施行するとされているところ、「2年を超えない範囲内」に延ばす。
 ク・オフの電子化では、消費者がク・オフの申し込みを行った時点でク・オフが成立する発信主義≠ェ、 メール等による電磁的通知でも適用される旨が原案の条文に盛り込まれていないことから、明記する。消費者庁は、 メール等でも発信主義が適用される旨を通達で明確化するとしていた。
 また、いずれの電子化についても、施行から2年を経過した時点で、関連規定の施行状況を検討し、必要とされた場合、その検討結果に基づき必要な措置を講ずるとした。
(続きは2021年5月20日号参照)