ダイレクトセリング化粧品 「自宅ケア」のトレンド掴め 

コロナ禍で巣ごもり需要増加 美顔器や高級化粧品投入相次ぐ

 ワクチン接種が徐々に拡大している一方で、一部の地域では緊急事態宣言が延長されるなど、収束には未だ時間を要するとみられるコロナ禍。 ニューノーマルの生活様式は既に1年以上が経過し、消費者の意識も変化した。ダイレクトセリング化粧品では、自宅で美容に力を入れたい「おうち美容」に フォーカスした商品・サービスが相次いで展開されている。美容に高い関心をもつコア層を中心に、美顔器や高級化粧品が売れ行きを伸ばしており、 「サロンの代わりに自宅で」といった需要開拓につながっているようだ。こうしたトレンドはコロナ禍がある程度落ち着くまでは続くとみられ、 各社も昨年に続いて自宅ケアの商品・サービスに注力している。
ロングセラーの美顔器を軸に
▲ロングセラー美顔器「メガビューティ」と
組み合わせた集中ケアセットを展開(ナリス化粧品)
 ナリス化粧品では、セルフエステサロン「デ・アイム」やクイックメニューをメーンに展開する「ナリス ビューティサロン」といったサロンを中心とした事業を展開してきた。 コロナ禍の中で自宅での美容ニーズが増加していることを受けて、同社では自宅でもサロンと同じ施術を受けられる「プレミアムエステ」や、新メークブランド「ヴィータ」では、 自宅でも手軽に新しいメークを試すことができる「バーチャルメーク」サービスなどを導入してきた。ニューノーマルに対応したスタイルでのサロン営業を継続しながら、 需要が高まっている「おうち美容」へのアプローチを加速させるため、同社はロングセラーの家庭用美顔器「メガビューティ」を軸とした新たな戦略を展開する。 6月21日に発売する「メガビューティ エステティック」(税込3850円)は、3品のスキンケアアイテムと「メガビューティ」を組み合わせて使用することで、 肌を1週間で集中的にケアするもの。5月24日には新製品の説明会が開催されたが、コロナ禍のためオンラインで実施された。
 「贅沢おうちケアでむきたまごのようなハリ肌」をキャッチコピーとした「メガビューティ エステティック」は、 @ディープクレンジングジェル、AダーマCローション、Bアストリンゼントクリームの3品と美顔器「メガビューティ」を使用する。 @はステップ1(エレクトロクリーン)、Aはステップ2(イオンバランシング+ホット&クール)、 Bはクール機能と、「メガビューティ」に搭載されている機能と組み合わせて効率的に肌をケアする。 社内モニターでの使用感満足度は100%で、高品質の自宅エステを提供できると自信をみせている。
 「メガビューティ」は2001年に誕生した美顔器で、累計販売台数80万台超のロングセラー商品。2018年には4代目が発売され、 東京・丸の内の大型商業施設「KITTE」で大々的な紹介イベントを開催するとともに、SNSとも連動して話題を呼んだ。同社が実施した調査によると、 家庭用美顔器を所有している女性は3割を超えており、中でも20代では約4割が美顔器を所有しているという。コロナ禍で「おうち美容」が注目され、今後も「化粧品の効果を上げたい」 「サロンに行くよりも経済的」「サロンに行く代わり」といったトレンドが続くとみられることから、 美顔器として長年の実績をもつ「メガビューティ」をフックに既存・新規ユーザーへの訴求力を高めていく。
サロンの不振をホームケアでカバー
 シーボンも、この3月にエイジングケアのミスト状美容液「シーボン ナノグロウミスト」(税込6300円)を投入したのに合わせて、ウィズコロナ時代の美容法をコンセプトに、 より充実したホームケア≠提案する美顔器「シーボン グロウリフト」(同3万1900円)を数量限定で発売した。
 「ナノグロウミスト」は、エイジングケアのためのミスト状美容液。特徴成分として、ビタミンC誘導体、ハイビスカス花エキスのほか、 8種類のアミノ酸、アミノ酸誘導体MCAを配合した。美顔器によるイオン導入に効果的な水溶性美容成分を配合することで、美顔器との相乗効果が期待できるという。 また、美顔器「グロウリフト」は、プロのハンドケアを再現した「4Dドレナージュ」が特徴。 Y字型に配置されたトルネードローラーが肌の縦・横・高さに対して立体的に刺激を与えるとともに、「LIFT WAVE EMS」で効果的に筋肉を刺激する。 ローラーには、表面に波状のカッティングが施されており、肌への高い密着度を実現した。これにより、肌にきめ細かい刺激をもたらす。 防滴仕様でバスタイムでも使用できるため、家事やホームワークといったスキマ時間や、リラックスタイムでのながら美容≠ノ最適だという。
最高峰ブランドのテコ入れで回復図る
 最大手のポーラは、昨年刷新した最高峰ブランド「B.A」のラインナップを拡充し、高級スキンケア需要に対応している。 7月1日にはディープ洗顔マスク「B.Aディープクリアライザー」(税込1万3200円)を、8月9日には「B.Aベースメーク」(4品、9900円〜1万3750円) シリーズを一斉に投入。主力チャネルである委託販売チャネルは、エステによる売上はほぼ前年並みとなり、既存顧客を中心に回復基調がみられる。 商品政策においても主力ブランドをテコ入れすることで、コロナ禍で落ち込んだ売上回復を目指す。リアルでのカウンセリング販売をベースとしつつ、 コロナ禍の中でも好調に推移したECチャネルの強化を目指すほか、委託販売チャネルでは、 スマホアプリやSNSによる情報発信といったツールを積極的に活用して利益率の高いロイヤル顧客を育成していくとしている。主力の「B.A」ブランドは、それらの施策の軸となるものだ。
 「B.Aディープクリアライザー」は、糖化やくすみのある角層を洗い落とし、肌に透明感とハリをもたらすアイテム。血管内皮細胞のAGEs耐性を上げる 「耐糖化スイッチ」をONにする働きをもつ遺伝子「GATA6│AS」に着目し、新しいアプローチから肌をケアする。また、「B.Aベースメーク」シリーズでは、 B.Aスキンケアの主力アイテムである「B.Aローション」をベースメークに応用することをコンセプトに開発された。空気を活かして水を生み出して空気中の有害ガス(アセトアルデヒド) を分解する「エアリーオアシス」、ヒアk理を活かして赤色光で肌を育てる「ライトパウダー」の2つの技術を導入した「オアシスメーク処方」を採用し、 「B.A」のスキンケアだけでなく、ベースメークシリーズでも肌を育てることができるという。 また、「B.Aローション」を閉じ込めたような新開発のエマルション設計「ハイドレイティングエマルション設計」もスキンケア効果をもたらす。