特商法改正案 参院特別委で可決、電磁的交付・クオフが可能に

オンライン 完結型でも  被害の蓋然性高いなら「紙で承諾」

 5月18日に衆院を 通過していた特定商 取引法改正案が6月 4日、参院の地方創 生・消費者特別委員 会で賛成多数により 可決された。同9日 の本会議採決で可 決、成立の見通し。 公布後1年以内に施 行されるが、「書面 交付の電子化」関連 の規定は2年以内の 施行となる。施行ま での間に、電磁的交 付の要件となる「消 費者の承諾」の取得 のあり方などが政省 令、通達等で定めら れる。
消費者承諾、付帯 決議で厳格化要請

 法案には自由民主 党、公明党、国民民 主党、日本維新の会 の議員が賛成し、立 憲民主党と日本共産 党が反対した。PD Fの書面をメールで 送る等の電磁的交付 が可能とな るのは、交 付義務のな い通信販売 を除いた訪 問販売、連 鎖販売取引 など6取引類型。政 府原案で1年以内だ った施行時期は、衆 院の修正決議で2年 以内に先送りされ た。
 クーリング・オフ 通知も電子化され、 ハガキ等の書面に加 えてメール等の「電 磁的記録」による契 約申し込みの撤回、 売買・役務提供契約 の解除ができるよう になる。ク・オフ電 子化関連の施行時期 は公布後1年以内。 2つの電子化関連規 定を除いた改正は、 衆参とも原案通り可 決された。
 4日の参院特別委 では13項目に渡る付 帯決議が全会一致で 行われ、消費者の承 諾取得のあり方につ いては消費者が承 諾の意義・効果を理 解した上で明示的な 意思表明を行う場合 に限定される∞交 付義務が持つ消費者 保護機能が確保され るように慎重な要件 設定を行う∞高齢 者 などが本位でない 承諾をしてしまわな いように家族や第三 者の関与も検討す る∞悪質業者の手 口や消費者被害の実 態を十分に踏まえ、 学識経験者や消費者 団体、相談員等の関 係者と十分な意見交 換を尽くす こ とが盛り込まれた。 さらに、次の改正議 論に向けて政府が 訪問販売や電話勧誘 販売における高齢 者、障害者の消費者 被害を抜本的に予防 するため幅広く対応 策を検討する≠アと が盛り込まれた。
紙による承諾は 「少し面倒な方法」

 一方、消費者の承 諾取得のあり方をめ ぐっては、4日の特 別委で消費者庁側が 新たな考え方を答弁 した。
 福島みずほ議員 (立憲民主党・社会 民主党共同会派)が、 マルチ商法≠笂] 売ビジネスの説明会 をZOOMで行うケ ースが出てきている ことに触れ、「オン ラインの契約でも対 面勧誘と同様の問題 が発生していること をどう考えるか」と 質問したことに対 し、高田潔消費者庁 次長が「オンライン取引でも同様のトラ ブルが発生しうる状 況にあることは承知 しております」と回 答。

(続きは2021年6月10日号参照)