WEB集客が快調、「他店タイアップ」も フランスベッド販売の催事戦略

21年3月期は二ケタ増収、来店数・単価アップ
 ベッド・インテリア品の催事販売を主力とするフランスベッド販売(本社・東京都 調布市、木谷一彦社長)のWEB集客が快調だ。コロナ禍の悪条件にもかかわらず、 21年3月期は二ケタ増収を達成。来場客数、客単価も前期実績を上回った。巣ごもり 需要や公的給付金などの追い風も受けたが、親会社運営のショールーム等で行う催事 に自社サイト等から誘導する集客戦略が奏功した。昨年は、他メーカーの展示拠点に 自社の見込み客を誘導し、他社製品をお勧めするタイアップ販売も開始。新たな収益 源として有望視する。
催事売上25%増 ベッド単価20万
 フランスベッド販売の 21年3月期は売上高が前期比で12.2%増。二ケタ増収は、 全売上の63%を占めた催事等の「インテリア事業」 の好調が主因。部門売 上を24.8%増と伸ばした。12%を占めたネッ ト通販の「EC事業」 も59.2%増と拡大。 利益率の高い同部門の 貢献で、損益は経常利 益ベースで36.3%増 とした。
▲親会社のショールーム政策による
   売り場の拡大が増収要因として寄与
   (写真は6月に移転オープンした新潟ショールーム)
 コロナ禍に覆われた 同期は、1回目の緊急 事態宣言と重なり、営 業時間の短縮や休業を 余儀なくされた第1四 半期が「厳しかった」 (木谷社長)。が、宣言 が解除された第2Q以 降で盛り返し、上半期 の時点で増収増益を達 成。お家時間≠快 適に過ごしたいという 巣ごもり需要から、普 及品に満足しない層が 高品質なベッド、イン テリア用品を求めて催 事に足を運んだ。1人 10万円の特別定額給付 金も追い風となった。
 1月に2回目の宣言 が出された下半期は、 1回目のような大規模 な休業等は行わずに済 み、「集客に影響は出 たが、予想の範囲内に 収まった」 (木谷社長)。 結果、下期も増収増益 で終えられたという。
 増収増益は「インテ リア事業」における集 客数と客単価の向上も 大きい。期中に新規出 店した分を除く、既存 店の来客数は「10%以 内の増加」 (同)。単価 はベッドで20万円前 後、高齢者による使用 が多い電動ベッドは30 万円前後。抗菌仕様の マットレスなど付加価 値の高い新製品が売れ 筋に加わったことでも 引き上げられた。
催事来場者の 成約率は7割
 好調に推移する「イ ンテリア事業」の要は、 親会社が出店・運営す る展示拠点と、フラン スベッド販売のWEB サイト等からの誘客の 2つだ。
 展示拠点は現在、シ ョールームが全国に13 カ所、PRスタジオ (ベッド・ソファ等の 展示場)が9カ所、直 営する福岡ショップが 1カ所。ベッドの製造 工場の展示スペースや 貸し展示場なども使 い、毎月平均60会場で 催事を行う。
 昨年度は、電動ベッ ド専門のショールーム を東京・六本木で改装 オープンしたほか、P Rスタジオを長野・塩 尻と静岡・掛川の2カ 所に新設した。今年度 はショールームを新潟 で6月に移転オープ ン。7月10日に北関東 エリア初のショールー ムを宇都宮で開いた。
 ショールーム等の新 設は、「インテリア事 業」における売り場の 拡大に直結。親会社は 拠点新設を今後も進め ていく方針のため、売 上の増加要因に見込む。現時点では未定だ が、千葉や埼玉といっ たまだ拠点がない商圏 の開拓に期待をかけ る。接客するスタッフ は、親会社やグループ 企業を定年退職した社 員を受け入れるなどし て確保している。
 一方、もう一つの要 である集客は、WEB サイ トの催事案内コー ナーを活用。地域のミ ニコミ紙やタウン紙、 新聞オリコミなども使 っているが、来店する 顧客の数はサイト経由 が「圧倒的に多い」 (木 谷社長)という。来店 者の成約率は「7割」 (同)と高く、集客数 ・単価アップとの相乗 効果で増収増益に寄与 した。
「自社で取れない 売上を取る
▲タイアップする家具・インテリアメーカーの
   ショールームに営業スタッフを派遣し、
   自社サイトから誘導した顧客にメーカーの
   商品を販売
 さらに昨年度は、W EB集客のシステムの 活用範囲を拡大。家具 ・インテリア品を製造 ・販売する他メーカー のショールームの催事 に、自社の顧客をWE B経由で誘導するタイ アップ事業に乗り出し た。
(続きは2021年7月22日号参照)