ダイレクトセリング化粧品 活況呈す「目元ケア」化粧品

マスク生活で需要根強く 機能刷新で差別化相次ぐ

 コロナ禍でマスク着用生活が日常になり、スキンケアやメークに求められる内容も変わってきた。 マスク生活によって、「メーク時間が短くなった」「ノーメイクでも外を歩けるようになった」という声がある一方で、 「アイメイクに時間をかけるようになった」という意見も多く聞かれ、目もとのケアやメークへの関心が幅広い年代で集まっている。 特に、目元のシワについては、「シワ改善」をうたった医薬部外品がダイレクトセリング化粧品各社から相次いで投入されており、 目元悩みが多いシニア世代はもとより、エイジングケア意識が高い若年層への利用も広がっている。マスク生活は当分の間続くとみられ、 目元ケア市場は活況を呈している。
▲シワ改善アイテムの
先駆け
   「リンクルショット
 メディカルセラム」
(ポーラ)
大ヒットアイテム 傷の治りに着目

 ダイレクトセリング化粧品最大手のポーラが展開する「リンクルショット メディカルセラム」(20グラム・税込1万4850円)は、 国内初の「シワ改善薬用化粧品」として、2017年1月に発売された。主力のダイレクトセリングをはじめ、百貨店やEC、 海外展開などによってこれまでに300億円以上の売上を達成、135万人が利用しているヒットアイテムで、今年1月にリニューアルを果たした。 発売から半年以上が経過し、既に35万個以上を販売し好調に推移している。外出機会が減ったことに加え、 マスクの着用でリップなどのメーク品の売上が落ちる一方、目元ケアのスキンケアやメークアイテムは、 コロナ禍の中でも女性ニーズを着実にキャッチしている。
 新「リンクルショット」は、従来品に比べてシワの改善率が1カ月で2倍以上アップしたという有効性比較のデータもあり、 機能性の強化によって訴求力を高めたのが特徴。単品使いが可能なアイテムであることから、「リンクルショット」をきっかけに、 最高峰ブランド「B.A」など、他のラインナップの購入につなげるフックアイテムとしての意味合いもある。 ボトルデザインは、イメージカラーであるオレンジを採用。宇宙飛行士の宇宙服をイメージしており、 「チームで目標を達成する」という意味合いが込められているという。
 特徴は、シワの原因の1つである「好中球エラスターゼ」を抑制する「ニールワン」を配合し、さらに「3Dダイナミズム理論」 を導入して機能性を高めた。シワ改善の研究を進め、のべ約1600人の臨床試験を実施した中で、シワが極端に改善しやすい人がいることを見出し、 メカニズムを解明した。その結果、シワの改善力と傷を治す力には関係性があることが分かった。 傷が治るメカニズムにはコンドロイチン硫酸が深く関わっており、同成分の働きに着目し、研究を行った結果、 シワ溝の部分にはコンドロイチン硫酸が減少していることを発見した。同成分をシワ部分に増やすことで、シワ改善効果が向上する。

アンケート調査で女性の悩み把握

 エフエムジー&ミッションは9月2日、目もとの悩みに着目したロングセラー製品「ミッション トータル アイ プロ DX」をリニューアルし、 機能性を高めた「ミッション トータル アイ プロ LX」(12グラム・同6380円)として発売した。 上まぶた、下まぶたで異なる処方を採用したのが特徴だ。
 同アイテムは、上下 まぶたに共通の悩みに加え、それぞれの異なる悩みにも2つの処方でアプローチし、全方位から目もとまわり全体の「ぱっちリング」 (=目もと美を保つお手入れエリア)をケアする。容器には、上まぶた用のジェル(無香料)、下まぶた用のクリーム(フローラルブーケの香り) の2タイプをセットした。
 上下まぶたをケアする共通成分として、すっきり&引き締め効果のあるアミノコンプレックスMC&カモミールMMを配合。 また、アクアハイビスカスを配合し、目もとのふっくら≠ニうるおいをケア。 同成分は、ハイビスカスの花を乳酸桿菌で発酵・ろ過して得ることができるもので、肌に存在するタンパク質「アクアポリン」に着目し、 みずみずしい目もとに導くという。また、2種類のペプチドからなる「ストレッチコラーゲンヴェール」が目もとの肌を引き締める。 上まぶた用のジェルには、デンマークの乳酸菌とリンゴの皮に存在する「フロレチン」を配合し、弾力やハリ感をサポート。 下まぶた用のクリームには、ゴールドパールとアルファ・ビサボロールを配合し、くすみがちな下まぶたを明るい印象に整える。
 ナガセビューティケァが10月に発売するアイクリーム「ナガセ アイフォーカス」(15グラム・同1万9800円)は、 目元悩みに全方位からフォーカスするアイテム。
 同社が500人の働く女性を対象に行ったアンケート調査では、「顔のスキンケアやメーク時により意識するようになったパーツ」 で最も多いのが「目元という結果になった。マスクの着用で顔の下半分が隠れることで、 目もとに目線が集中することが増えたというコロナ禍での事情が窺える。目元は顔のパーツの中でも特に皮膚が薄く、汗腺や皮脂腺も少ない部位で、 毛細血管が多く、疲れ目などで血流が滞りやすいとされている。また、加齢や紫外線でリンパ機能が低下しやすく、エイジングの負荷が集中しやすい。
 「ナガセ アイフォーカス」は、新成分として、ハリや弾力をケアする「グルコシルナリンギン」を採用。 柑橘類に含まれる美容成分「ナリンギン」を、酵素技術によって化粧品への配合を可能にした。 整肌成分として独自成分であるローズマリーエキスNALをはじめ、メマツヨイグサ種子エキス、トレチノインRRを配合。 うるおい成分として酒粕エキス、トレハロース、肌に成分を届ける成分として清流紅花エキス、 グルコシルヘスペリジン、すっきりした目もとに整えるパッションフルーツエキスを配合した。

大型ブランドも「シワ改善」訴求

▲最高峰エイジングケアシリーズ「シーボンAC」
(シーボン)
 シーボンは10月1日に最高峰エイジングケアシリーズ「シーボンAC4」をリブランディングし、「シーボンAC」シリーズとして刷新する。 シワ改善(有効成分としてナイアシンアミドを配合)、美白ケアを訴求した化粧水(95ミリリットル・同1万9800円)、 美容液(35ミリリットル・同2万7500円)、クリーム(30グラム・同4万4000円)をラインナップ。アイビー化粧品も、 10月に基幹ブランド「アイビーコスモス」をリニューアル、「アイビーコスモスU」として発売し、 シワ改善アイテムとして「ナイトリンクルガード」(15グラム・同7700円)を新たにラインナップする(有効成分としてナイアシンアミドを配合)。 創業45周年の節目の年に基幹ブランドを刷新するとともに、需要が多いシワ改善アイテムを加えて訴求力を高めた。
(続きは2021年9月9日号参照)