書面電子化・第2回ヒアリング 要件案に電子取引スキル・経験、印刷環境

「原則は紙の交付」、事前説明の義務化要請
 承諾プロセスの録音も「多大な負担でない」

 改正特定商取引法の「書面電子化」運用ルール策定のため、消費者庁の「特定商取引法等の契約書面等の電子化に関する検討会」は9月27日、 ワーキングチーム(以下WT)の第2回会合をオンラインで開催、日本訪問販売協会を含む4組織をヒアリングした(協会のヒアリング内容は10月7日号1面既報)。 電磁的交付の要件となる消費者の承諾の取得をめぐり、協会を除く組織から、取得の前に、消費者の電子商取引に関するスキルや経験の有無、 電子データの印刷環境の確認が必要とする意見が述べられた。 原則は紙の交付である旨の説明義務や、消費者の同意の下で承諾取得プロセスを録音し、要求に応じて開示するアイデアも示された。第3回のWTは10月下旬の予定。
承諾取得、対面の勧誘は「紙で」
 第2回会合に出席した協会以外の組織および意見者は、@全国消費生活相談員協会・石田幸枝理事A日本弁護士連合会・池本誠司弁護士B高芝法律事務所・高芝利仁弁護士。 ABの両弁護士はWT委員も務める。
 消費者の承諾のあり方に関して、@Aは、承諾を得る前に、原則として紙の書面交付を受けられる旨の明示的な説明を義務付けることを提案。 契約書面であれば、契約内容が記載され、受領日がクーリング・オフの起算日となることなど、その重要性を明示的に示すことも求めた。
 取得方法について、@は、口頭や電話ではなくメール、もしくは紙に限定することを要請。ただし、対面の勧誘・販売は原則として紙による取得を求め、 概要書面の電磁的交付は紙の承諾を前提にすべきと主張。消セン等に寄せられる消費者相談には「概要書面を契約書面と一緒に渡されたという人が多い。 概要書面の機能を果たされていないことが多い」などとした。承諾の取得後、控えを交付することも求めた。
 Aも、メール等のデータか紙の書面による承諾取得と、控えの交付を提案。メールによる取得は、 消費者被害のおそれが少ない取引類型をオンラインで主体的に締結する場合に限定することとし、 対面の勧誘や不意打ち型・利益誘引型の勧誘は紙で取得することを求めた。
65歳以上、第三者承諾・交付を提案
 加えてAは、データか紙かを問わず、承諾書に契約した商品名・数量・代金額、ク・オフ起算日となる旨の明記が必要とした。
 一方、Bは、オンライン完結型の取引は、原則としてメール等の電磁的方法による承諾取得に合理性があると考えられるとした。
(続きは2021年10月14日号参照)