ダイレクトセリング化粧品 ニューノーマル対応の政策次々

回復基調もコロナ禍前≠ノは届かず カギはEC・デジタルの活用か

 新型コロナウイルスの新規感染者数、重症者数は、小康状態を維持している。さまざまな規制が緩和され、リベンジ消費≠ヨの期待感も高まっている。 ダイレクトセリング化粧品業界では、昨年はサロン等の全面休業など、業績に大打撃を受けたが、感染防止対策を万全に講じた上での店舗営業を行っているほか、 オンラインカウンセリングなど、ニューノーマルに対応したビジネスモデルの構築が進んだことで、回復傾向にある。 価値観やライフスタイルの多様化に合わせた商品・サービスの開発も相次いでおり、アフターコロナを見据えて事業展開が各社でみられる。 一方、コロナ禍以前の水準には戻っておらず、第6波への懸念もあり、油断できない状況にある。

スキンケア堅調もメーク品が減少

 本決算を迎えたノエビアホールディングスの2021年9月期は、連結ベースで売上高が前期比1.1%減の512億7200万円、 営業利益が同6.2%増の85億5700万円、経常利益が同8.9%増の89億7200万円、当期利益が同13.6%増の63億8300万円となった。 コロナ禍が直撃した2020年9月期と比較して、売上高はマイナス幅が縮小した。損益面は、原価率および販管費の低減によってプラスに転じたが、 コロナ禍以前の水準には回復していない。
 セグメント別にみると、主力の化粧品事業は、売上高が同1.1%減の383億2500万円、セグメント利益が同1.0%増の96億円となった。 カウンセリング化粧品では、コロナ禍の影響を受けてメイク関連が減少したが、ダイレクトセリングをメーンに展開している高級スキンケアラインに関しては、 前期並みの売上を維持した。この中で、新商品として投入した「バイオサインインナートリートメントリポソーム」や、 薬用シワ改善美容液「薬用リンクルセラム」が売上に貢献した。セルフ化粧品については、「なめらか本舗」が好調だった一方、メイクラインの「エクセル」は、 外出機会の減少などコロナ禍の影響を受けて売上減となった。「ノブ」といったセルフ化粧品については、にきびスキンケアが好調に推移した。
 栄養補助食品や医薬品を展開する医薬・食品事業は、売上高が同1.4%減の111億1700万円、セグメント利益が14億4200万円となった。 機能性表示食品として投入した「ウェイトバランス」などの栄養補助食品が好調だったが、「眠眠打破」シリーズなどのドリンク類は伸び悩んだ。 その他事業は、アパレル・ボディファッションが堅調だった結果、売上高は同0.2%増の18億2800万円、セグメント利益は1454.5%増の1億5600万円となった。
 2022年9月期については、全国に約2000店舗展開する「ノエビア ビューティスタジオ」や、全国?店舗を展開する直営店 「ノエビア サロン ド スペチアーレ」「ノエビアスタイル」を中心に、対面販売を基本とした営業を強化する。 また、顧客向けのインスタライブ、肌悩みや季節に応じたオンラインでのビューティレッスン、カウンセリングサービスも継続して展開するほか、 オンラインによる販売代理店向け新商品説明会なども実施して、機動力を高める。商品政策では、11月にエイジングケア美容液「セラミューン」を発売するほか、 セルフ化粧品でもリニューアル、新商品投入を実施する。通期業績については、売上高585億円(前期比14.1%増)、営業利益92億円(同7.5%増)、 経常利益94億円(同4.8%増)、当期利益65億円(同1.8%増)を見込む。

スキンケア堅調もメーク品が減少

 アイビー化粧品の2022年3月期第2四半期は、売上高が前年同期比35.1%増の19億4600万円と大幅増収となった。損益面は、営業利益が2億7200万円、 経常利益が2億7100万円、当期利益が1億9700万円となった。
 同社は、創業45周年という節目の年に、同社初となるシワ改善医薬部外品「アイビーコスモス U ナイトリンクルガード」 (シワ改善有効成分としてナイアシンアミド配合)を含む新スキンケアシリーズ「アイビーコスモスU」を投入したほか、 強化製品である「レッドパワー セラム」の受注活動に注力してきた。しかしながら、コロナ禍の影響を受けて、会議やイベント、 研修、新製品勉強会などが中止・延期となったほか、非接触型の会議、勉強会等の代替策を推進した。その結果、大型商品である「アイビーコスモスU」シリーズでは、 「│リンクルガード」が約9万5000本、「│エンリッチローション」が約9万3500本、「│Wエマルションクリーム」が約8万6500個と、 それぞれ受注が計画比8〜9割にとどまった。「レッドパワー セラム」においては、約6割となった。売上高は前期比大幅増となったが、計画を下回った。
 第3四半期以降は、「アイビーコスモスU」について、勉強会等を開催して受注を強化していく方針。また、研修会などについても、 感染状況を鑑みながら罹患対策を実施して行っていく方針。通期業績については、売上高42億円(前期比22.6%増)、営業利益5億円、 経常利益4億8000万円、当期利益4億円を見込む。

ECや新規事業で事業基盤強化

 DS化粧品最大手のポーラは、ポーラ・オルビスホールディングス2021年12月期第3四半期において、 ビューティケア事業・ポーラブランドで売上高が同5.8%増の771億4600万円、営業利益が同64.2%増の117億8200万円となった。 主力の委託販売チャネルにおいて、リニューアルした「リンクルショットメディカルセラム」がヒットしている。 販売チャネルでは、主要チャネルとなる「委託販売チャネル」のショップ数の減少が続いている。同チャネルでは、購入単価は微増となったが、顧客数が減少。 一方、国内ECや海外向けは売上が大幅に伸長しており、コロナ禍における顧客の消費動向の変化がみられる。
 シーボンは、2022年3月期第2四半期で連結ベース売上高が46億8300万円、営業利益が1億1600万円、 経常利益が1億9100万円、当期利益が1億8900万円となった。引き続きコロナ禍の影響を受けたが、新規事業として、 結婚相談所事業「シーボンマリアージュサロン」を立ち上げるとともに、主力であるサロン事業においては、 リアル店舗とオンライン店舗のシームレス化によって顧客との双方向的かつ強固なつながりの構築を図った。
 このほか、ヤクルト本社の2022年3月期第2四半期における化粧品事業の売上高は、前年同期比2.7%減の34億7100万円となった。 同事業では、同社が培ってきた乳酸菌研究から生まれたオリジナル保湿成分「S.E.」の「価値普及」活動に重点をおいたプロモーションを展開している。 7月には、大人の乾燥肌に向けた高保湿ボディケアシリーズの新ブランド「コクルム」を導入した。9月には、化粧品本格販売50周年を記念し、 保湿効果の高い基礎化粧品「ラクトデュウ」シリーズから「ラクトデュウS.E.ローション(ミニボトル付き)」を数量限定で発売し、接点拡大を図った。
(続きは2021年11月25日号参照)