2021年のサロンビジネス総括 DX活かした施策に活路

オンライン施策導入相次ぐ ニーズの変化に柔軟対応

 ダイレクトセリング化粧品市場では、コロナ禍によってサロンビジネスのあり方が大きく変わった。顧客接点と販売チャネルの多様化を目的にスタートしたサロン展開は、 普遍化するにつれて多様化・細分化が進んできたが、「リアルでの対面」を基本とする点は、いずれのサロンも同じだった。 コロナ禍によって対面でのカウンセリングや施術に大きな制限がかかったことで、流れが変わり、拠点をベースとしながら、 オンラインでのカウンセリングやITを活用した教育、自宅訪問など、新しい施策が次々と生まれた。 ニューノーマルに対応した取組みは新たな需要の掘り起こしにもつながっており、サロンビジネスそのものが次のステップに入ったと言える。

28日間モニター自宅で手軽に

▲オンラインワークショップも提供(ポーラ)
 2020年から続くコロナ禍の中、化粧品企業のサロンビジネスは感染防止、3密の回避といったニューノーマルに対応した取組みを次々と導入した。 単に感染を防ぐという目的に留まらず、コロナ禍で変化した消費者のライフスタイルや価値観を汲み取り、それぞれの需要に対応できる商品やサービスを開発してきた。 コロナ禍によってDX推進はサロンビジネスにも急速に及んでおり、これまで店舗で行っていたカウンセリングをオンラインで実施することで、 さまざまな事情で外出が難しい女性でも、手軽に受けられる環境が整った。また、オンラインでのイベントやセミナー、インターネットやSNS、動画配信など、 ニューノーマル対応を契機にさまざま情報発信も行われるようになり、この2年でサロンビジネスのあり方は大きく変わった。
 ナリス化粧品は、サロン展開の中でも独自性が強い施策を強みとしてきた。同社はこれまでも低価格で手軽にお手入れができるセルフエステサロン 「デ・アイム」を全国展開し、差別化につなげてきた。近年は、「デ・アイム」のほかにも、商業施設型サロンではクイックメニューを中心に提供する 「ナリス ビューティサロン」を展開し、多様化するニーズに対応してきた。
 同社は、自宅に1カ月分のスキンケアセットが届き、専属の美容部員がオンラインでカウンセリングを行う「オンラインスキンケアモニター」 のサービスを今年から導入した。ニューノーマル対応の取組みと言うと、「対面でできないから、仕方なくオンラインで行う」と捉えがちになるが、同社は、 同サービスを「ひと目を気にせず、顧客の日常と同じ目線で行うことができるため、より納得度の高い内容を提供できるサービス」と位置づけて、 従来のサービスとは異なる役割を付与している。同施策では、基幹スキンケアブランド「ルクエ」6点セット(1カ月分)やマッサージングパック(10回分)、 ファンデーション(20回分)が送られ、専属の美容部員が28日間で4回のカウンセリングと、正しいお手入れ方法をアドバイスする。 肌の生まれ変わりに合わせた28日間という期間で最適なスキンケアを提案する「オンラインスキンケアモニター」は、 外出せずに自宅でカウンセリングやレッスンを受けられるサービスとして、新たなニーズ掘り起こしにも寄与している。
 同社はまた、ニューノーマルに対応したビジネス環境支援の強化として、兵庫県三木市の兵庫工場敷地内の研修センターを7月にリニューアル。 メーキャップアーティストやエステティシャンなどの専門技術をもつ社員が、ライブ配信や動画配信を行う「発信スタジオ」で、 オンラインで情報発信などを行える設備を整えた。オリジナル口紅づくりなどのリアル体験を行える体験スペース「ナリスラボ」や
(続きは2021年12月23日号参照)