「ジェンダーレス」発想のトレンド 化粧品企業の製品開発

化粧品利用も多様性の流れ

年齢性別問わないコンセプト

  昨今、さまざまな分野で「ジェンダー」というキーワードが聞かれるようになった。ダイレクトセリング業界、特に化粧品分野では、 社会情勢に先んじて「ジェンダー」を進めてきた。従来型訪販の時代から女性の力によって成り立ってきたビジネスだが、近年は特に、 年齢や性別を問わず働きやすい環境を整えて事業体制を強化する取り組みが増えている。 同時に、コロナ禍の中で価値観の多様化が急速に進んでいることを受けて、製品開発においても、従来の枠組みにとらわれず、 ユーザー個々人の価値観や考え方に沿ったラインナップを投入する動きがみられるようになってきた。 柔軟な発想でのものづくりが求められる時代になりつつあるようだ。

▲鉛N齢性別問わず使えるスカルプケア「ステムシグナル」(アイビー化粧品)
    ジェンダーフルイド#ュ想のACRO(ポーラ・オルビスグループ)    

男女共通の髪の悩みをトータルケア

 アイビー化粧品が6月1日に発売した薬用スカルプケア「ステムシグナル」は、男女問わず使用できるヘアケアアイテム(育毛剤)だ。 近年、ヘアケアの悩みは男性だけでなく女性においても増えており、年代もさまざま。生活環境やストレスの増加、加齢等によって髪へのダメージに対し、 同アイテムでは頭皮環境に着目し、有効成分によって発毛を促進し、美しい豊かな黒髪の育毛をサポートするという。 有効成分として、酢酸DL│α│トコフェロール、センブリ抽出液、グリチルリチン酸ジカリウムなどを配合したほか、 「アイビーステムコンプレックス」を配合。チョウジエキス、テンチャエキス、オノニスエキス、ベニバナエキス、 テンニンカ果実エキスなど9種類の植物エキスの複合成分で、男女の頭皮と髪の悩みにアプローチする。
 感触や香りについても、年齢・性別を問わない使い心地にこだわった。浸透感のあるローションタイプで、香りは、 性別問わず使えるスイートフローラルの心地よい香りを採用した。効能効果は、発毛促進、育毛、薄毛、かゆみ、脱毛の予防、毛生促進、ふけ、 病後・産後の脱毛、養毛と幅広く、トータルなヘアケアアイテムとして訴求している。

ジェンダーフルイド≠ナ男性にもメイク訴求

 ポーラでは、女性だけでなく、男性のニーズを掘り起こす取組みが活発化している。同社では、パーソナライズドブランド「アペックス」において、 男性(自認含む)の肌分析体験人数が4月末時点で1万人を超え、着実に男性需要をキャッチしている模様だ。 2021年1月〜2022年4月末までの男性の肌分析体験人数は1万286人で、年代別では20代が39%と最も多い。これに30代、40代と続き、 比較的若い年代においてスキンケア意識が高いことがうかがえる。コロナ禍でのマスク生活によって、以前よりも自身の肌状態が気になったり、 オンライン会議の普及により自分の肌を見る機会が増えたことも、美容への意識の高まりに関係しているとみられる。また、一度体験して終わりではなく、 季節毎の肌の違いや、日々のスキンケアの効果を確かめることを目的に、2度、3度と継続的に肌分析を受けるケースも増えているという。
 アペックスは、約1910万件の肌ビッグデータを活用し、862万通りのスキンケア化粧品を提案、その人に適した美容法を見つけるサポートも行っている。 肌分析を体験した男性からは、「マスク生活で目元のシワが気になり、リンクルショットを購入するために店舗に来店した」「自分の肌にコンプレックスがあり、 担当ビューティーディレクターに肌分析を紹介された」といった声が寄せられており、コロナ禍の中で意識の変化が進んでいることを示唆している。 アペックスだけでなく、シワ改善を訴求する「リンクルショット」シリーズもフックアイテムとしての役割を果たしている。
 ポーラ・オルビスグループではまた、ACROにおいて、 2月からタイでジェンダーフルイド発想のコスメブランド「FIVEISM × THREE」の販売を開始した。

(続きは2022年6月16日号参照)