社説 オーナー商法問題 消費者委、待たれる打開策

「ジャパンライフ」破たん問題を契機として、消費者委員会が”レンタルオーナー商法の撲滅”に向けた政策提言をまとめようとしている。 6月28日の本会議では、同商法を「販売預託商法」と見做した上で、新たな法規制の整備が急務であるとする提言の原案を公表。 ただ、同商法を一掃できるような具体的な法規制のあり方については、まだ議論を深める必要がある模様。打開策のまとめが期待される一方で、 当事者である消費者庁にも根本的な意識の転換が求められている。
原案は、急速な高齢化や一人暮らし率の増加などを背景に、ジャ社等に典型な「販売預託商法」物品の販売と同時に当該物品等を預かり、 第三者に貸し出す旨を謳い、コミッション支払いと最終的な物品の返還もしくは一定価格での買取を行う手口について、 「取引高に見合う商品の保有や運用等の実態を欠く」状態で事業が行われ、多くの消費者が高額かつ深刻な被害に見舞われていると問題提起。
さらに、周囲の想像以上に被害が膨らむ要因の一つに、「事業者が配当を実行している間は(中略)取引の問題性を認識しにくい」ことも指摘。 行政サイドが被害に気付くのは多くの場合、被害が広がってしまった後であり、「現行の法律では悪質な販売預託商法に対処しきれない」「新たな法制度が必要」と言及する。 ただ、まだ原案段階ということもあって、”レンタルオーナー商法の撲滅”に向けた制度のあり方については具体的な言及に乏しい。
対策の柱は(1)「販売預託商法」の規制対象化、(2)早晩破綻することが経験的に明らかな類型の取引形態の禁止および罰則規定による担保、 (3)被害拡大前の速い段階で取り締まりを実施できる要件の設定、(4)犯罪収益の没収と被害回復につなげる仕組みの導入の4点。 このうち(2)は、自転車操業必死な商法と問題なく行われている取引を区別する要件の設定に細心の注意を払う必要があり、 金融商品取引法をはじめたとした関連法規とのすり合わせが課題。 (3)は、まだ配当が(見かけ上)順調に行われている段階で取り締まりを可能とすることになるため、やはり慎重に要件を定める必要がある。
消費者委員会内部でも難題であることは十分認識されている模様。法学者を招いたヒアリングも行われた28日の本会議では、 様々な角度から要件に関する質問が飛び交った。
一方、当事者の消費者庁は、7月9日付で長官、次長が交代(7月18日号4面既報)。同庁のナンバー1とナンバー2が揃って一新された形となり、 同5日には特定商取引法を所管・運用する取引対策課の課長も交代した。前任者から引き継いだ様々な課題がある中、 優先して取り組むべきテーマの一つが”レンタルオーナー商法の撲滅”であることは疑いようがないはず。 一連のジャ社問題では対策課職員の天下り問題まで引き起こし、破産手続きは道半ば、警察当局による関係者の立件に向けた捜査も進む中で、 もう終わったこととは到底いえない。汚名返上の意気込みが多少でもあるなら、今後出る消費者委員会の提言に呼応し、 撲滅に取り組む必要があるはずだ。